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太陽の化身、タカギ・ガンドー

ニンジャ分析、今回のピックアップはタカギ・ガンドーである。
彼はニンジャスレイヤーの中でも特殊なキャラで、リブート・レイヴンを読めばわかるようにニンジャスレイヤーと出会う前から強烈な彼のオリジンストーリー、背景を持っている。
確かにフジキドと出会うことで彼自身の物語も急速に動き出すわけだが、彼の持つストーリーはフジキドとは特に関係が無いのである。
その彼が持つ要素を1つ1つ追っていこう。

・探偵

探偵というのは古来から創作と現実の狭間の存在であった。勿論創作としてのオリジンはシャーロックホームズなのだが、そこから無数と言える派生作品が登場する。そしてその先にあるのがパルプ小説であり、アメリカンコミックのヒーロー達なのである。
現実においても、アメリカで探偵は警察組織が未熟な地域においてほとんど自警団(あるいは傭兵)として機能していた。ピンカートン探偵社などが有名であるし、そもそも刑事も探偵も同じくDetectiveなのである。

そして、アメリカンコミックでDetectiveと言えばDetective Comicsであり、その看板であるバットマンのことである。ガンドー及びカラス・ニンジャが同じく黒い翼であることも偶然では無いだろう。

・三足烏と太陽

ガンドー及びカラス・ニンジャのモチーフとして用いられるのが太陽を持った三足烏であり、これは日本神話における八咫烏は勿論、世界で広く太陽のモチーフとして扱われるものである。
ウィキペディアによるとゾロアスター教における太陽神アフラ=マズダのモチーフであるハゲタカも三足烏と同源であり、ガンドーがマズダ・ニンジャ憑依者イグゾーションにトドメを刺したのと無関係では無いだろう。
そして、太陽には日没と日の出、死と復活のイメージが常に付きまとう。
ガンドーが「リブート」と関連付けられるのもこれだ。
あたかも奈落に落ちて復活するガンダルフのごとく、ガンドーは地に落ちてから再生を果たすのである。

・オーディン、吊られた男

もう1つガンドーに付与されたイメージに吊られた男というのがある。
タロットカードにおける吊られた男のイメージソースは世界樹ユグドラシルに吊り下げられたオーディンであり、琵琶湖に吊り下げられ、落ちてからニンジャとなるガンドーもこのパターンを追っている。
レイヴン、ワタリガラスを使い魔とし、片眼を失うことにより知恵を得るというのもオーディンに見られるモチーフだ。
デス・ヴァレイ・オブ・センジンでは、この「世界樹に吊られた男」はデスドレインに直結したガンドーという形で現れていると思われる。
オーディンをラグナロクで殺すとされているのは世界樹に繋がれた狼、フェンリルであるが、ここでその役割はアズールが担っているのだろう。(間接的であれ、ガンドーはアズールの獣に齧られている)
また、太陽神が殺されるという比喩で表されるものに日蝕がある。
ニンジャスレイヤーにおいては太陽=キンカク・テンプルであり、それを覆い隠す月=アルゴス及びアマクダリの再定義でもあるのだが、フジキドとアガメムノンの戦いにおいてカラスが現れたのも無関係では無いだろう。

・カートゥーン

当初に述べた通り、探偵とは現実と虚構、小説とヒーローの狭間の存在なのだがガンドーは作中においても漫画作品「サムライ探偵サイゴ」のモデルとなる人物である。
このことは「サムライ探偵サイゴならどうするか」というガンドーの人格形成の元にもなっているのだが、これはボンド&モーゼズがイメージする「ヒーロー」の現実における役割及び、ニンジャとモータルの理想的な関係を表すものでもあるだろう。


概していうと、ガンドーは探偵という原初のヒーローであり、現実社会に居を置きながら、様々な境界を渡り歩くマージナルマンであるからこそ様々な旅路における案内人ともなれるのである。

スシッ!スシヲ、クダサイ!