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銀座のOLは腐ったバーキンの夢を見るか?


煩悩はノンストップ

「もうしばらく服は買わない」
「もうしばらく靴は買わない」
「もうしばらくカバンは買わない」

そう誓った矢先に「運命の出会いだから」とショッピングバッグを片手に帰ったり予約品の控えをしまい込んだり、ECサイトから届いた箱に歓喜したことはあなたにもないだろうか。
私はしょっちゅうある。
今のところ1キャップ、3指輪、1靴の到着を待っているところである。

いい加減自分のこの癖をどうにかしたい、どうにかせねば。

いい加減にしろ私!

そう言って活を入れたところで私はにこにこで帰り道に百貨店を冷やかす。
「(働いている環境が悪い。だってここ銀座だもん)」
私の勤務先は銀座の外れにあり、その気になれば定時後の買い物も楽勝なのだ。
今日もいくつか百貨店を冷やかして目的のドーバーストリートマーケットに行く予定だったが
銀座三越でリミフゥのポップアップをやっていて担当さんがあれこれと夏物をおすすめしてくれたおかげで沢山試着が出来た。
特にボタンを外して裾をひらひらとさせた長袖のシャツにサルエルパンツを合わせてハイカットのスニーカーを履かせて貰った時には
一日の疲れが吹っ飛んで「かっこいい~!!」と悲鳴を上げそうになった。

やっぱり好きな服は力を持っている。
週末落ち着いたときに見に行こうと決めて品番を控えて貰う。
比較したいと言ったが多分シャツは二枚買うし靴も買う。勿論サルエルだって。
「夏の制服!!」と宣言して買いに行ってやるのだ、と心に決める。

……いや服買うじゃん最初の宣言何処行ったよ。

だって仕方ないじゃないか似合ったんだもん!!!!!!!

人生、ファッションが当たり前にそばにあった

私が試着して気に入って好きになった服をさらっと買うのは「ウチの家族がそういう人間だったから」というのが上げられる。
皆服が好きで、気に入った服を自分の金で買う。
当たり前に百貨店で買ったサラピンの服が揃っている家。

「(今にしてみれば全員ブランド志向なんだよな)」

特にすごかったのが母である。
いくつものブランドバッグをためこみ、ブランドの服に袖を通し(しかも一番記憶に残っている服がマルジェラ期のエルメスだから皮肉なもんだ!)、一般企業の勤め人だったが飲み屋のママに間違えられる人。
しまい込んだブランドバッグの置き場をクローゼットの一番上の隅っこにした結果湿気がたまってバーキンが腐ったという伝説を残している人である。

「(わたしもいつかはバーキンを腐らせてしまうのだろうか)」

自分がブランドのカバンを見るようになったときにそのことが過る。
エルメスの店舗で偶然持たせて貰ったバーキンは母親の面影を消すことは出来なかったし、
ヴィトンでエピのアルマを持った瞬間も「この真っ赤なやつよく使ってた!」と思い出したし
シャネルもエトロも……となるとちょっとした我が家はちょっとしたコメ兵である。

色々あったので「母親からブランドバッグを受け継ぐ」ことはなくなってしまったのだが逆に安心しているところがある。
なんせバーキンを腐らせた女の娘である。数々のお宝をどうするかわからない。

何より若干趣味が合うようで合わないんだよなあ……と母が手を出さなかったGUCCIやマルジェラを好きになった私は遠巻きにハイブランドを眺めている。

もしかして私、「5AC」をコレクションしたい?

私にとっての演歌バッグはブロークンミラーの5ACだったが、


かわちい


最近出逢ったのが花柄の5ACである。


とてもかわちい。


騒がしい色合いでぶれた様子で写った花がプリントされた5ACはかわいらしく
「花」というモチーフではブロークンミラーともつながっている。
ドーバーストリートマーケットで見てから「欲しいな……」と心のどこかで引っかかっていた。

そして今日改めてドーバーストリートマーケットに赴いて持たせて貰ったことで
「このド派手な子をお迎えしたい!!」と心の底から思った。思ってしまった。

ブロークンミラーと同じマイクロサイズの5AC。
どうせなら別のサイズだったり別の種類にすればいいのに
「この形の!この大きさの!この柄が良い!」と思ってしまったのだ。

これは一種の収集癖かもしれないと思いながら品番を控えて貰う。
ちなみにドーバーはカードになんて控えない。付箋に控えてくれる。
流石のドーバーである。

帰り道にGINZASIXの直営店で気になっていたトロンプイユの5ACを持たせて貰う。

「(これじゃない)」

もうわかっていた。ボーナスが出たら買おうとあれだけ惚れ込んでいたトロンプイユがかすんで見えるぐらい今花柄の5ACの鮮やかさに心を奪われている。金の算段も立てている。

全く同じ大きさのカバンばっか揃えて……と自分に問いかける。

「(逆に考えてみよう、5ACマイクロが私にとってのバーキンなのでは?)」

母があれだけ収集したバッグへの気持ちが、少しだけ分かった気がした。
まあ、私は腐らせないように努力はしなければならないが。

もしも「演歌」とするならば

Twitterではちょこっと話しているがもしかしたら今の仕事とは全然関係ない案件を副業にする可能性が出て来た。
話をしてみると会社でもとんとんと話が進んで行っている。
そのスタートの一歩を踏み出すためのステップアップバッグと考えれば……

賢明なJJG諸氏であればわかるであろう。
私はもう「買うための言い訳」をあつめているのでいる。
もういい加減、諦めた方が良いと思うよ……週末また銀座行こうね……。

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