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月のウサギは竹林の夢を見るか


睡眠不足の私は10時に目を醒ます。

最近中途覚醒が激しく、気付けば明け方近くの深夜ラジオを聞いて寝落ちるのを待っているのだが、今日は7時近くまで起きていていっそ早起きしてやろうかと思った瞬間にかくん、と寝落ちて気付いたら10時だった。
眠たいような、眠たくないような。ゆるゆるとした気分で過ごしているとあきやさんの記事に目が向かった。

「ぐっちのいんすたれーしょん……うつくし……おもてさんどう……おもてさんどう……きょういくなあ……」

そう、今日は午後から髪の毛を整えるために美容室に行く用事があり表参道ヒルズ方面に行くことが容易だった。
新装開店のマルジェラを覗こうという計画はあったが今から支度をすれば十分にグッチも見て回れるぐらいのはずだ。
というわけで寝ぼけ眼で公式LINEから予約展示室の申し込みをして、えいやと起きて身支度と朝ご飯を済ませようと起き上がると私が起きたことに気付いた配偶者が部屋から出て来て朝ご飯の支度を請け負ってくれた。
おかあさんか。

蕩ける暑さに負けずに展示へ向かう。

支度を終えて家を出る頃には太陽はとっくに絶好調を迎えていて、でりでりに照らし出していた。
サンバリアを片手に出かけると最近は男性でも日傘の方が増えたのを本当によく見るようになったと思う。
どちらにせよいいことだと思いながら歩いて駅に向かい一路表参道へ向かう。
無事に到着する頃には予約の15分前、少し急ぎ気味で表参道ヒルズに向かうと入り口に見事な提灯が並んでいる。

GUCCI音頭とかあるのかな


「G」「U」「C」「C」「I」
……和と洋の融合、と思いながら写真に残して入り口に入る。
インスタレーションの展示がどこかわからなかったが地下を覗くと竹林と大きな月がある。
「はあんつまりは地下に行けって事だな」と悟って一番下までエスカレーターで降りるが私は初見の場所で迷うのが滅茶苦茶怖い人間なので何も案内なしなのは恐る恐るで少し怖かった。

表参道の坂の傾斜、すり鉢状の一番底。
そこは竹林で覆われて大きな偽物の月が昇っていた。
いくらか写真を撮ろうとするがやはり人気の場所なので人が入れ替わり立ち替わりする。
僅かなタイミングを覗いてさっと一枚撮って予約時間が来るのを待つ。

もと光る竹なむ一筋ありける。

数分後、館内に定時を知らせるチャイムが鳴ったところで予約展示室に向かうとすぐにLINEからチェックインして入室出来た。

月の裏で。

入り口はこんな

案内された真っ暗な空間は密やかでフラッシュ撮影は止めるように注意されて足下に注力しながら展示室内に歩いて行くと一気に星が広がる。
宇宙の中に放り出されたようで、乱視気味の私の目では星の光が少しにじんで見えた。
バンブーの作る工程、のぞき穴から見るヴィンテージのバンブー。

工房のような空間


壁に光る地球と対面した、バブルの中に浮かび上がるバンブー達。
荒い土の上を浮遊するバンブーは何を示しているのだろうかと少し考えてはたと「ここは月だ」と気付く。
私たちは月の上から地球を見ている。バンブーが示しているのは月に帰ったかぐや姫。
今は遠くなった地球を思っていくつものバッグが浮かび上がる。

かぐや姫の宝物たち


遠く輝く地球

昨年の満島ひかりさんを起用したバンブーのCMが好きだった私はほうっと思いながらバンブー越しに地球を眺めて最後の展示に向かう。
シアタールームでは映像作品2本が流れる。昨年制作された『Kaguya by Gucci』と、
満島ひかりさんとMONDO GROSSOのタッグによる新曲「Shadow Dance」のMV
「ゆ、、ゆうしょう~~~~!!!」と叫びたくなるのを堪えて最前列でしっかり見てきました。

ぼんやりと夢を見たままで表に出るとまだ残像のように星の光が目の前にまたたいていた。

黄色いタビの足跡を追って。


恵比寿は白だけど表参道は蛍光イエロー!

表参道ヒルズからすぐ向かいのマルジェラ新店に向かうとちょっとした列が出来上がっていた。
とりあえず靴が見たい(あるけど)と伝えて案内をして貰ったが新しい店はそれだけで景気が良い。
よく見るとちゃんとロゴが入った立派な袋が用意されていて、ここは白いズタ袋ではないのだなと気付く。
靴を見てみると今まで見たことがないハイヒールがあった。
タビなのに煽惑的な赤いハイヒール。
「こちらこの秋冬からの新作でして」と案内をされてものは試しと試着しようとしてみるが
残念ながら私のサイズが店舗になく、別途手段を執らないと無理だということを知り断念。
今まで赤いハイヒールに憧れたことは無かったけれどあの靴だったら履いてみても良かったと思う。

鞄のコーナーも覗かせて貰うとカラフルな5ACが沢山並んでいる。
個人的にはスワロフスキーの貼られたシルク地の淡いパープルのマイクロ5ACがとてもよかった。追いマイクロをしても良いぐらい好き。
表参道店限定の2種類のバッグも持たせて貰ったが毛皮仕立ての方がシンプルな服にもドレスアップした服にも合いそうで思ったよりも色んな服としっくり合いそう。
起毛の方はテディベアのようにかわいらしくもっと冬時期の服になってから持ち直したいと思うなど。

沢山持たせて貰ったことにお礼を伝えて帰ろうとしたところで、
先ほどのタビハイヒールのシリーズでスワロフスキーが貼られた黒い靴を見る。
「(こりゃ何か受賞したときの靴だな)」そう思いながら時間がもう少し空いていたので上階のCFCLを覗く。かわいらしい黒ワンピースがいくつかあるが試着をするまでの時間は無かったので、店員さんからも声を掛けられたが残念ながらこの後すぐに用事があることを伝えて終わり次第時間が合ったらまたお邪魔させて貰うことをお伝えしてビルを後にした。

その後私は三時間掛けて金髪を染め直して「やっぱハイトーン似合いますね」「毛質が良いから切れ毛がない」と感心されるなどしていた。

波打つニットに包まれて。

まだ時間があるからとCFCLに戻ると先ほどの店員さんはいなかったが、
他の店員さんに気になっていたワンピースを二着伝えて試着させてもらうことにした。
一つはシャツワンピース。すっきりとしていて羽織でも使える素敵な仕立て。
もう一つはパフスリーブがやわらかいチュールになっているワンピース。
ドレッシーで裾のまくり上げなどで色々遊べるタイプ。
「(このドレッシーな方はいい透け感もあるし受賞したときに着たいな!!)」

だからさっきから何をどう主張しているのだろう。
……何か受賞したいのかな。何賞かな。
(配偶者「アカデミー賞?」私「私が?」)

地球に帰ったウサギは飲み物を買って帰る

さすがにつかれたと思いながら家路に就く。
昼ご飯も食べてなかったと思い出して気になっていた飲み物を買って帰る。
お土産用にも一つ買って、もうすぐ仕事が終わる時間の配偶者にも差し入れを用意しよう。

急遽決めた月世界旅行から帰ってきて、金髪になったウサギはぼんやりと考える。

「やっぱ、試着の旅、久々にやるとたのしかったな……」
(この夏休みは体調不良からの回復と睡眠障害でほとんど家から出られなかった残念な私の夏イベント初日が今日なのでした)

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