スマヲタ、横浜アリーナの地に立ちて

2023/06/21

「信じられない。」この日何度この言葉を口にしたか知れない。
「アンジュルムが横浜アリーナに立つ」そのことは頭では分かっていた。いや、ちゃんとは分かっていなかったのかも知れない。横浜アリーナに立ち、その会場を埋めるとはどういうことなのか。

2019/6/18

この日付が何を意味するのか、このnoteの読者の大半は分かっているとは思うが説明させていただくと、前リーダー和田彩花さんの卒業公演が日本武道館で行われた日である。この日の武道館は満員で、「もうアンジュルムに武道館は狭い」と言われていた。
なので、コロナ禍の間にファン層を拡大し、さらに集客力を強めたアンジュルムにとってリーダーの卒業公演が日本武道館では狭いのは自明の理…とそこまでは考えていた。いや、そこまでしか考えられていなかったのだと思う。私は「横浜アリーナを埋める」ということについてこれっぽっちも理解してはいなかったのだと思う。


2013/11/09

この日は私の「スマヲタとしての始まりの日」である。
この日の前週、モーニング娘。(まだ後ろに年号がつく前である)のコンサートに入り「ハロプロって楽しーなー」とふわふわした思いで、「泉大沢」のイオンでスマイレージのインストアイベント(それが「リリイベ」と呼ばれるものであることを知るのはまだだいぶ先の話である。)が行われると知り、ふらふらと不用意に出かけた日である。
その時私はスマイレージについてはいわゆる「ミリ知ら」であり、「ハロー!SATOYAMAライフのCMで流れる『ヤッタルチャン』の前で踊ってるちっちゃい子かわいいなー」くらいの気持ちで不用意に立ち入ったのがそのリリイベであった。その時、(今にして思えば)まぁまぁのクソ番だったのだが、相当な至近距離でメンバーのパフォーマンスを拝むことが出来た。この際に前リーダー、和田彩花さんを初めて目にし、「なんて美しい人だ!」と感銘し私のスマヲタとしての歴史が始まる。
そしてこの際、「スマヲタのコール」があまりにも楽しそうで「自分もあっち側の存在になりたい!」というのが私のコール廚としての人生の始まりである。
そしてこのリリイベ、先述のように「まぁまぁのクソ番」でもメンバーのパフォーマンスを至近距離で拝むことが出来た。
「泉大沢」というのは仙台の北の果てであり、当時の「スマヲタ」が首都圏から遠征するのは困難な土地ではあったが、そもそも充分な集客力を持つグループであれば地元からの集客だけあれば「クソ番なのに至近距離」ということはない。
つまり、当時のスマイレージの集客力はそのレベルだったのだ。

2023/06/21

そして現在。
横浜アリーナに到着し、「YOKOHAMA ARENA」の文字の前ではしゃぐ人々は、皆見知らぬ人だ。その光景を目にし、「そうだ…昔は10人程度のヲタクとすれ違えば知り合いがいた…」とよぎる。
しかし今日はどうだ。すれ違う人、ほぼ知らない人しかいない。しかも女性ばかりだ。
昔、タケが「男性の皆さーん!」に続いて「女性の皆さーん!」と言った際におっさんヲタが無理して裏声を出して呼応した、というエピソードなんて最初からなかったことにすら思える。


2019/12/31


私が横浜アリーナの公演に参加したのは実は初めてのことではない。
和田彩花さんが卒業した後、ソロで参加したももいろ歌合戦に参加しているのだ。
その時は早い時間からロビーが解放され、中の売店などお祭りムードを盛り上げるものがたくさん目に入ったことを覚えている。


2023/06/21

翻って現在の横浜アリーナ。
早めのロビー解放こそなかったものの、「ここにいる人は皆アンジュルムを愛する人なんだ…」という感慨がある。こんなことでいうのは浅薄かも知れないが、『BIG LOVE』を感じる。
何しろグッズ列に並ぼうとした際、目の不自由な私を一人の女性がグッズ列最後尾まで連れて行ってくれたくらいなので、「見たか、アンジュルムのヲタクには充分なBIG LOVEがあるのだ」と胸を張ってもいいと思う。(なお彼女は横アリのチケが取れなかったらしく、「これからライビュに行くんです」と言っていた。願わくば彼女に席運の神様が舞い降りんことを。いや、きっと舞い降りる。アンジュルムの世界はきっと「愛のある人」には須く幸運をもたらしてくれるはずと信じているので。)
近くの公園で仲間とダベったのち、いよいよ横浜アリーナへ。
客席へ向かうエスカレーターを登るに際して「これはまるで小説のラスト3ページではないか…」という感覚に襲われる。
作家がエンディングに向かい、「最も効果的なエンディングを迎えられる言葉を」と紡いでいくそんな風景が思い浮かんだ。

終演後

なかなか退場出来ない。しかし、「なかなか退場出来ない」ということはそれだけ「たくさんの人が来た」ということを意味するのだ。
そして、これだけの人が集まったというのに「コールが成立していた」と言えるレベルで男女問わずしっかりと声が出ていた。これじゃまるで「ぼくのかんがえたさいきょうのアイドルげんば」じゃないか。
何度も「信じられない…」とつぶやいた。
彼女たちは恒常的にマスメディアに現れるような存在ではない。しかも元々事務所に推されていたかというとそうでもない。「嘘つけ!アンジュは推されているぞ!」という方がいるなら過去に遡ってスマイレージを見てほしい。それは叶わないことだが。
そして、「ラスト3ページ」と思っていた小説には既刊の続編があった、という気分になった。この子達の物語はもう明日にでもすぐに続いていく。
所々に「一塊になってなかなか退場出来ない」というところがあったと思う。しかし昔はその「一塊」しか客がいなかったのだ。
そのことを思うと、「なかなか退場出来ない」ことすら感慨以外の何者でもない。
私が見そめたあの悪ガキたちはこんなとんでもない境地に来たのだ。
そしてそんな境地に辿り着いたことを、「別にお前関係ねぇだろ!」とつっこまれるかなと思いつつも誇らしくもあり、同時にまるで夢のようにも思う。

改めて問いかけますけど、これ、夢オチじゃないですよね?
もし明日アンジュルムに改名した日まで巻き戻ってても私はおかしいとは思いませんよ?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?