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あなたが優しいのは、私がアジア人女性だからですか

ベルリンの街を一人で足早に歩いていたら、知らない男の人にドイツ語で話しかけられた。

ドイツ語話せません、すみません、と断ると、

「英語なら話せますか?」

という。


私は東京にいた時も、シドニーにいた時も、そしてベルリンにいる今でもよく道を聞かれる。また道を聞かれるのかな、と思いスマホを握りしめる。

男は恥ずかしそうに目を逸らしながら話す。

「実は…なんて言ったらいいのかな。つまり……、あなたがとても可愛いなと思って声をかけました。ベルリンに住んでるんですか?」


血の気が引くのを感じた。

「えっと、はい。ベルリンに住んでいます…」

赤になった横断歩道の目の前、逃げ道を確認する。


質問を続けようとする男を遮って「あの〜……ごめんなさい、私ゲイなんで」と言って逃げた。赤信号を無視して、曲がってくるバスに轢かれないように走る。

これでついてこれないだろう……。


男が「Oh」と短く呟いたのが聞こえた。それからは動揺して道を間違えながらもS-Bahnに乗り込み、呼吸を整えた。


Yellow feverという言葉を知っているだろうか。アジア人女性を従順で無力な存在として決めつけ、自分が彼女たちよりも格上の存在である、と自尊心を満たすためにアジア人女性とばかり付き合う人のことを指す。Yellow feverは基本的に白人男性が多い。

あの男性は私の『アジア人女性である』という要素だけを見て、声をかけてきたのではないかという気持ちがじわじわと天井の染みのように広がって行くのを感じる。モヤモヤが雨雲のように広がる。


友達の白人のレズビアンがインスタのポストにいちいち性的なコメントをつけてくるようになった。彼女は日本人とばかり付き合っている。最近まで日本人の彼女が別にいたらしい。別れてから今度は私に声をかけているというわけだ。

韓国料理店で食事をした時、一緒にいた友達に撮ってもらった写真につけられる性的なコメント。観光名所に行った時に撮ってもらった写真につけられた私の容姿に言及するコメント。私が笑顔で写っている写真に「セクシーだね」とコメントしてくる彼女を、そっとブロックした。


重たい、黒い雲が心の中に広がる。



寮で仲良くなったブラジル出身の男の子は、ご飯を食べる時も「こっち来なよ」と誘ってくれる。タバコを分けてくれる。学校のイベントにも一緒に行って、目があった時にっこり笑ってくれた。


あなたも、

あなたが私に優しいのは、私がアジア人女性だからですか。



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ドイツのHornbachというホームセンターチェーンが公開したCMが物議を呼んでいる。白人男性の使用済み下着の匂いを嗅いでアジア人女性が興奮しているというストーリーラインだ。女性蔑視、アジア人フェチ、人種差別のてんこ盛り丼である。

実際にこれにちなんだ差別発言を浴びせられたドイツ在住のアジア人女性もいるそうだ。私も、街で男に話しかけられた時、頭によぎったのはこのCMだった。

この気持ち悪い広告への反対署名を集めています。



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mimi

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ベルリンでパソコン盗まれ、買い直したため財布がスッカスカです。サポート助かりますTTT

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mimi

クィアでフェミニストなデザイナー。ツイッターに書ききれないことを書きます。ベルリンにいました。無料で読めます。バーチャル積ん読: https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/1NKAQN3SOD6Q9?ref_=wl_share

ベルリン留学日記

おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。
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