見出し画像

沙知先輩が一番欲しかったもの、という話【活動記録16話】

 梢部長が一番欲しいもの、という話は、前回の活動記録15話で明らかになりました。

 だけどもうひとつ、忘れてはいけないのは、蓮ノ空スクールアイドルクラブを繋いでくれた、沙知先輩が一番欲しかったものだと思うのです。

____

 お世話になった人たちのために、お礼を伝えるライブをすることになった蓮ノ空。曲を作るのに、作詞は梢先輩と二人三脚だった花帆ちゃんですが、カッコつけたくてひとりで作詞をすることに。ノート一冊分をダメにしてもまとまらない花帆ちゃんに、沙知先輩が招待状渡しついでの気分転換についてきてくれます。

 ラブライブ!決勝の結果をまだ引きずっていた花帆ちゃんでしたが、応援してくれた人たちは、地元のスクールアイドルが決勝まで行けたこと、夢の舞台に立てたことに、勇気をもらったと感謝しきりでした。

 沙知先輩は、花帆ちゃんのスクールアイドルを信じているので、ただ温かい目で見守るだけでしたが、それだけで、花帆ちゃんの作詞に背中を押してくれた形です。

 スクールアイドルに必要なことはどれも70点、しかしステージ作りは得意分野。そのように語る沙知先輩ですが、沙知先輩はひとりで、梢先輩たち3人とそれぞれ伝統のユニットを組んでいたことが判明します。

 梢先輩たちが入学したとき、沙知先輩に直接助けてくれる先輩がいたかどうかは分かりませんが、冷静に考える沙知先輩はそのとき、ラブライブ!優勝よりも、喜んでくれる歌詞よりも、一番欲しかったものがあったと思います。

 今まで先輩たちが残してくれた蓮ノ空スクールアイドルクラブの歴史、衣装、曲を引き継いでくれる存在。
蓮ノ空スクールアイドルクラブを応援してくれる人々。

 インターネットを通じて、遠い金沢の地から元気や勇気を発信できるようになったからこそ、12月の危機を、精一杯沙知先輩は乗り越えようとしていたと思います。

 そして今回、12月の危機以上に作詞に焦りを感じる花帆ちゃんを見て、沙知先輩は一番欲しかったものを手に入れたことを実感できたと思います。

 思えば、理想と現実の違いにショックを受けるもなお、蓮ノ空スクールアイドルクラブで花咲くことを選んでくれた花帆ちゃんを導いたのは、もともとは、梢先輩たちを導いた沙知先輩になるでしょう。

 さらに、導いたはずが未完成のまま置き去りにしてしまった綴理先輩をスクールアイドルにしたさやかちゃん。

 そして、沙知先輩でさえも一度は助けられなかった慈先輩を再び舞台に立たせてくれた瑠璃乃ちゃん。

 彼女たちを遠くから引き寄せたのは、紛れもなく蓮ノ空スクールアイドルクラブのスクールアイドル、大賀美沙知でした。

 私には、なぜ、早く沙知先輩と出会わなかったのかという後悔があります。それでも、沙知先輩が卒業する前に出会うことが出来た嬉しさを噛みしめて、沙知先輩の卒業に立ち会いたいです。

____
ここまで読んでいただいたみなさん、ありがとうございました。みなさんが楽しめるものを、気軽に楽しめますように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?