「ゲームで学ぶ心理学」図解まとめ6個

山田 裕希です。
「ふんどしパレード」というゲーム会社の代表をしています。
会社名だけでも覚えて帰ってください。

僕は普段ゲームを作る仕事をしていますが、ゲームには人間の心理を巧みに突く仕組みがたくさん盛り込まれています。

これを逆手に取ると「ゲームを題材にしてわかりやすく心理学を学ぶことができるかもしれない」と思い立ち、「ゲームで学ぶ心理学」という図解シリーズを作ってみました。

とりあえず6個まで作ったので、noteにまとめておきます。
それではご覧ください。

1. 「目的が複数あるとやる気が出る」

オンラインゲームでよくある「サブクエスト」という仕組みが代表例です。

「サブクエスト」はゲーム本編とは関係のないチャレンジ要素で、たくさんのサブクエストから好きなものを選んで挑戦できます。

そして「ゲーム本編とサブクエスト」または「サブクエストとサブクエスト」は関連性を持っていることが多くあります。
たとえば、ゲーム本編の次の目的地とサブクエストAの目的地が同じであるとか、サブクエストBで必要なアイテムはサブクエストCのモンスターを倒すと手に入る、とか。

多くのユーザーはこういった関連性を意識し、「一石二鳥」になるようにゲームを進めていきます。
この「一石二鳥」があると、それだけでやる気が出ますし、クリアしたときも大きな達成感が得られます。

ゲーム開発やサービス設計においては、複数の「目的」をタイミングよく提示し、「一石二鳥」に感じてもらえるよう意識すると良いです。

2. 「変化は階段の形だと実感しやすい」

ゲームにはたくさんの「変化」があります。
代表的なものはプレイヤーの成長と敵の強さの変化でしょう。

これらは「階段状」にすべし、ということがよく言われます。
なぜなら、直線状だと変化を実感しづらく、「退屈」に繋がるからです。

プレイヤーの成長を階段の形にすれば「強くなった!」という実感を得やすいですし、敵の強さを階段の形に変化させれば「敵が強くなった!」という難易度上昇を実感しやすくなります。

そして、複数の変化のタイミングを「ずらす」こともポイントです。

敵が強くなる段差を先に、プレイヤーが強くなる段差を後に持ってくると、「敵が強くなった!」→苦しい→「自分がさらに強くなった!」→気持ちいい、という風にポジティブなメリハリをつけることができます。

3. 「『毎回もらえる』より『たまにもらえる』ほうが嬉しい」

心理学用語で「部分強化」と呼ばれる現象で、ギャンブル依存症の要因のひとつと言われています。
それだけに扱いには注意が必要ですが、うまく使えば絶大な効果も期待できます。

ゲームでは「ガチャ」の仕組みなんてまさにこれです。「低確率でレアアイテムを落とすモンスター」なんかも同じです。
運良くレアなものを手に入れたときの、声を上げたいほどの気分の高揚を経験したことがある人は多いでしょう。

これは恋愛や人間関係にも応用できると言われています。
好きな人にはいつも優しくするのではなく、時々そっけなくした方が好意を持たれやすいということですね。
つまり「ツンデレ」が最強ということか……?

4. 「正反対の情報を与えられると興味がわく」

これは『リンダキューブ』『俺の屍を越えてゆけ』などで有名なゲームデザイナーの桝田省治さんが「RPGの町の人のセリフを書くテクニック」として紹介していたものです。
http://www.alfasystem.net/a_m/column/sub.14.9.htm

汎用的で使い勝手がよく、町の人のセリフに限らず様々な場面で使える心理テクニックです。
僕がゲームシナリオを書くときは、ほぼ必ずこのテクニックを使っています。

5. 「良いものを1つ手に入れるとすべて良いもので揃えたくなる」

心理学用語で「ディドロ効果」と呼ばれるものです。
人間は「一貫性を持ちたい」「統一したい」という性質を強く持っているので、身の回りにあるものも同じグレードで揃えたい、と思ってしまうのですね。

これはコレクションを促すテクニックとして応用できます。
その方法はとってもカンタンで、「良いものを1つだけ、先にプレゼントしてしまう」ことです。
ゲームだと、チュートリアルで何か1つだけもらえるケースは非常に多いですね。
RPGだったら装備品、生活ゲームだったら家具や洋服など……。

現実世界でも、家具や洋服を1つ買い替えたら全部新しくしたくなって散財してしまった……なんてことに覚えがある人もいるのではないでしょうか?

6. 「よくできたゲームは人間の欲求をすべて満たしてくれる」

最後はみんな大好き「マズローの欲求5段階説」です。

大規模なオンラインゲームは、プレイヤーが段階を追って欲求を満たしていける構造になっていて、そのおかげで長期間のサービス継続が可能になっています。

もし長期間楽しまれるゲームやサービスを作りたい場合は、図のそれぞれの欲求に対応するコンテンツをちゃんと用意して、多重のレイヤー構造を作っておくと良いです。


——
ということで、6個の「ゲームで学ぶ心理学」図解をまとめてみました。

ゲームをよく遊ぶ人は「わかるわかる!」「あのゲームのあれのことか〜」という気持ちになったのではないでしょうか。

ゲーム作りやサービス設計をしている人は、自分のプロダクトに応用できるものがひとつでも見つかったら嬉しいです。

ゲーム作りに心理学のテクニックが多く使われていることは事実ですが、それらは「暗黙知」として属人的に理解されているに過ぎず、明文化して共有されているわけではなかったりします。
今回は自分がよく使っているテクニックを思い出して図解してみましたが、もっとたくさんの暗黙知が形になって共有されたらといいなと思っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
反響があればまた「ゲームで学ぶ心理学」図解を作りたいと思います。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートいただいた分は、他の方のnote購入/サポート費用にすべて使わせていただきます。

これが嬉しくてずっとクリエイターをしています。ありがとうございます!
209

週刊ふんどしパレード

狂ったゲーム会社『ふんどしパレード』の代表の2人がそれぞれの視点で記事を投稿するマガジンです。 スマホゲーム『君の目的はボクを殺すこと』シリーズの裏話を中心に、ゲーム・アプリ・サービス・UI/UXのことまで内容はさまざま。 『君の目的はボクを殺すこと』シリーズは全世界300...
10つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。