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keyballなどリバーシブル基板のジャンパブリッジのやり方

※主にkeyballで初めて自作キーボードの世界に足を踏み入れた方、はんだづけに自信がない方に向けた記事です。

keyballのはんだ付けで一番難しいのは、LEDよりもジャンパのはんだ付けではないでしょうか。
うまくブリッジできなかったり、何度も挑戦しているうちにパッドが剥離してしまったり。

そこで、ジャンパが利用されているHelixやkeyballをいくつか組み立てた経験から、最も成功率の高かったやりかたを動画にしてみました。

手順

  1. ジャンパパッドをふたつ同時に温めます

  2. こて先にはんだを送ります

  3. 送ったはんだがこて先と基板の間に溜まるように、少しこて先を浮かせます

  4. 基板とこて先の間に溜まったはんだが自然に離れるまではんだを送りつづけながらこて先を基板から徐々に離していきます

コツとしては、はんだはこて先側に供給すること、はんだの供給を最後まで止めないことです。

うまくいくと、このようにプクッとしたブリッジができます。

うまくできない場合

  • 吸取線で残ったはんだを除去し、フラックスクリーナーでフラックス残渣を完全に除去してから再挑戦しましょう。

  • こて先を一度きれいにして、はんだをもっと思いっきり、ドバドバつぎ込みましょう。こてから滴るギリギリぐらいで丁度いいです。

  • 3回やってだめなら、諦めて短く切ったリード線を使ってジャンパしましょう。

道具について

はんだごてとこて先

この動画では、HAKKOの温度調節機能付きはんだごてFX-600と、2C型のこて先を使用しています。

あまり高温に晒し続けるとパッドが剥離してはんだ付けできなくなってしまうので、温度調節機能はあったほうがいいですね。
特に、熱に弱いLEDを実装する場合には必須機能です。
270℃に設定して鉛入りはんだ線を使うのが良いと思います。

2C型こて先の斜めにカットされた平面部分が、ジャンパのパッドを2つ同時に温めるのに丁度いい大きさになっています。

標準でついてくる円錐形のB型や、表面実装部品のはんだ付けに便利なD型でも不可能ではありませんが、隣接するふたつのパッドを同時に加熱することが難しいです。
こて先交換可能なはんだごてを使っているなら、手持ちのこて先で無理に頑張るよりも2C型のこて先を用意するのがおすすめです。

はんだ線

動画で使っているのはこのはんだ線ですが、見ての通りけっこう多めに送るので、もう少し太いものでもいいと思います。

鉛フリーはんだは融点が高いので難しくなります。
幸い日本では鉛入りが規制されていないので、作業性が良く比較的低温でもきれいに融ける鉛入りがおすすめです。

フラックスについて

他の部品、特にRGBLEDを実装するときには便利なフラックスですが、ジャンパのはんだづけには不要です。
より正確には、はんだ線に入っているフラックスで十分です。

フラックスの効果として、融けたはんだの表面張力を下げ、流動性を高めるというものがあります。
この効果により、表面実装チップのような細かいパターンの手はんだでもブリッジを防ぐことができるわけです。

ブリッジというのは隣り合った接点に跨ってはんだが付いてしまい、本来なら導通すべきでない場所が導通してしまうことを言います。

はい。ここで思い出してください。
我々は、隣り合ったふたつのジャンパパッドをブリッジによって導通させたいんですよね?

なので、フラックスは不要どころか、ジャンパの成功率を下げてしまいます。もし以前の失敗や吸取り線によってパッドの周りがフラックスで汚れている場合は、事前にフラックスクリーナーでしっかりと掃除しておきましょう。

※ただし、フラックスが完全に飛んでしまうと粘度が上がりすぎてうまくいきませんので、そうなってしまったら一旦こて先と基板をきれいにしてから新しいはんだでリトライしましょう。

最後に

予算に余裕があれば、組立サービスや遊舎工房工作室の利用も検討しましょう。

とはいえ自分で組み立てるのも自作キーボードの楽しみのひとつですから、せっかくのkeyballという傑作キットをはんだづけで諦めてしまうのはもったいないと思い、この記事を書きました。

読んでくださった皆様のキーボードライフが充実したものでありますように!

おやくそく

この記事はMacbook proの内蔵キーボードで書きました。

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