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ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第9話 ハリの故郷惑星ヘリコン

191第9話ハリの故郷惑星ヘリコン
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ

第9話 ハリの故郷惑星ヘリコン

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階で、かつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャン(当時19歳)が待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

 ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

 彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

 ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。

 ペイリー・リャンはまた彼女の名前の由縁も解き明かす。

 そこから、イルミナの歴史消滅以前の情報量が異常に増えはじめ、またたくまに全銀河の図書館にそのデータを拡散させていった。

 イルミナの歴史消滅からの復興という大事業の伸展の裏で、彼女のホントの正体を遠回しに吐露する。

 ミーターは、それに知ってか知らずにイルミナに向かって、「アルカディアの魂君」と呼んだ。

 新たな旅がはじまろうとしていた。
 このとき旅には小さな夢も、第一歩からはじまって、次の一歩を踏み出すのも「真摯さ」が大事であろう。
 しかし、それは素晴らしい旅となることには違いないが、その旅には終わりがあろうともなかろうともそれを一歩一歩味わうことに意味がある。
 彼らの帰途、ガール・ドーニックの故郷惑星、シンナックスに立ち寄り、3人(?)は、長旅のバカンスを取ることにした。

 そして、彼らの帰途、ターミナスに悪い予感を抱いた3人は、もうひとつの惑星に下船した。

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ミーター ペイリーさん、ブルー・ラグーンはどうでしたか、月とは、全然違ったでしょう?

ペイリー まるでおとぎ話に出てきた世界でしたわ。海っていうのね。波や空気はとっても気持ちよかったですよ。ありがとう、お二人さん。

イルミナ また来ましょうね、ペイリーさん。それに、お月様に帰還したら、もう地球にもきっとおんなじ世界がありますよ。

ミーター ところで、ペイリーさんに訊きたいことがある。

 あなたのパパはトランターで皇帝に次ぐ位にいたのですね。

ペイリー そうです。そしてこの銀河全体のコントロールをパパは一手に引き受けていたんです。パパは全エネルギーが尽きるまで働いたそうよ。でも、パパでさえも、力が及ばない事件でその地位から退かなければならなかったと言ってました。人間社会は複雑怪奇で無秩序が実体だとも。
 それで、パパが何回も絶望した時、宇宙の大霊に「祈った」と言ってました。
 そして、後任にハリ・セルダンを指名したとか。

ミーター そうだったんですね!あなたのパパは、いうならば全銀河の苦悩を一身に背負っておられたんですね。そんなことが一ロボットの身で可能であろうか?
 ダニール・オリヴォーというお方はなんという崇高な存在なんであろうか。
 その有り様が、「真摯さ」というものであろうね!
 感服するほかない。

ペイリー パパは、わたしに、「わたしの経験してきた2万年というものは、ずっと宇宙潮流に導かれれ、ロボット第零の法則を遵奉してきたに過ぎない」と言ってました。

ミーター イルミナ、その「ロボット第零の法則」の宇宙像がハリ・セルダンの「心理歴史学」という形で投影しているんだな。

イルミナ そうですね。ハリ・セルダンがトランターに来た当初、ある逃避行の最終場面のワイ市の反乱の際にハリがトランターに導かれた理由をそれとなくペイリーさんのパパはハリに悟らせた、ということなんじゃないんですか。
 ハリがトランターに導かれた理由。
 それが、「心理歴史学」を完成させることだったんです。
 そうですよね、ペイリーさん。

ペイリー はい、そう聞いています。

ミーター イルミナ、古代の地球に、「故郷喪失」と言った哲学者がいたよな?

イルミナ はい、まさに、人類は、地球という故郷を記録もろとも消されて今日の銀河に散らばって行きました。

 そして、古代の地球に、やはり人類は「鉄の檻」に入れられてる、と言った社会哲学者もいましたね。マクシマムとかいう学者でした。

ミーター 実際、ベイリーさんたちスペーサーが地球から宇宙に脱出して行った当時には人類は硬いコウラに囲まれた鋼鉄都市に住んでいた。
 それが、人類の習性でコンポレロンでも、ずっと後のトランターでも硬い殻の中で安住していたんだからな。

ペイリー その殻を破って、出ていくことが大事になるっていうんですね。

ミーター そうなんですよ。それでパパは何回も何十回も、人類が繰り返して来た「脱皮」を指導し、誘導してきたということですね。積み木倒しのようにね。果てしのない努力の連続ですね!

イルミナ 涙ぐましい苦労ですね。

 ミーターさん、わかりました。
 あなたは、もしかして、ハリ・セルダンの故郷惑星、ヘリコンに行って人類の恐怖の全体主義からの克服できる世界を覗こうとされるんですね。

ミーター ああ、イルミナ、なんで、そこまでお見通しなんだ!

 そうだ、心理歴史学をその誕生地から再考できないかどうか探ってみたくなったんだよ。

ペイリー また寄り道ですね。ターミナスには直行しないんですね。

イルミナ お嫌なんですね?

ペイリー いいえ、その逆ですよ。ヘリコンってタバコの産地ですよね。タバコってどういうものか、みたいと思ったもので。

ミーター そういう狙いで、ですか?

ペイリー ダメですか?

ミーター いいや。

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