古文を読む力をつけるには

 長編小説『源氏物語』を読むにあたって、まずネタバレ覚悟であらすじをチェックしちゃえ! という主張で、あらすじ全五十四帖をご紹介している
ワタシ。

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『源氏物語』全話あらすじはやわかり一目でわかるページ
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 ここまでは『源氏物語』入門者には誰にでもおすすめしている話です。

 ▼受験生用に大学受験古文対策の為のメッセージ
が少し後の方にあります。

 ▽この辺は大学受験を終えた方々や主に社会人の皆様向け中心の話です。

 『源氏物語』をさらに深く読むために、あらすじチェックまでやっておけば、あとさらに間を埋めるだけなんですよ。全話の細部まで結局気になりません? あと一寸ですよ~(笑)。とまあこうくるわけですね。

 それに楽しい恋愛話が多いのでするする読めます!
 (勿論読んでみたらそれ以上に深いテーマに気づいて感動します。) 
手に取ってみて相性の良さそうなマンガや現代語訳でまずは読み通してみて下さい。既に沢山出回っています。上記でチェックした後なら気になった所から手をつけても良いのです。社会人の皆様なら自由に読みたいように読めるでしょう。光源氏の経験した恋愛パターンの気になる所から読んでも良し、光源氏の息子夕霧と一緒に勉強や出世を頑張っても良し、等といろんな読み方が可能なのです。

 『源氏物語』は後々も繰り返されて生かされるモチーフがあり、
これが物語の中で大変効果を上げています。登場人物達が、なんだかよく似たことを繰り返し行っているのがよくわかるでしょう。

 当時の大ベストセラー! まるで現代の新聞や雑誌での連載小説のように、リアルタイムでは人々が続きを楽しみにしたことでしょう。
 『国語便覧』等も当時の生活など含めてわかる良い資料集です。ここまで楽しんでおくと、大学で国文学を勉強中の学生も卒論のご指導を受けながら読む専門書や論文が楽になるでしょう。興味が深まったらもっと読みたくなるので、もっと沢山の原文に触れるのも心地よい状態になります。
 正確に読むには、大学受験レベルの古文の知識なら、参考書が手に入りやすいと思います。(それでもその先の勉強がたっぷりまだ広がっているのでとりあえずという感じです。)

 ぜひ『源氏物語』以外の古典文学にも、そして文学作品全般にも、興味が広がることを願っています。

 △△△

 ▼▼さてここからは古文問題と格闘中の
  受験生へ元受験生からのメッセージです▼▼

 まずこれらのあらすじの流れを把握する、ここまでは受験生を含めて、
社会人などの入門者にもおすすめの『源氏物語』の楽しみ方です。
 古文で書かれた古典文学もこんな風に近づいていけるわけです。

 しかし、受験生の皆さんについては、ざっと基本的な事柄をおさえたら、他にもやるべきことがたっぷりあります。特に入試が近づくシーズンになったら、もう後は他の教科も含めて、むしろ全体的なチェックに、時間を使って下さい。
 それだけ大学入試を突破する古文の力になると準備期間が必要である
という事です。

  ▼(長いので、それってどういうこと? 
    と思った方々だけ続きをどうぞ。
    既にわかってやれているなら、それでいいよ!頑張れ!
    ってことが書いてあるだけです。
    長いよな、でも大人になっても大事だな、
    と思ってる事なのと、
    メッセージ程度の事を
    何日も受験生相手に引っ張ってわけて書くのは
    却って親切ではないと考えているからです。
    ただし関連して、入試に限らず、その先にも続く
   「本番の日」を迎えるまでの過ごし方、
    にも触れて書いています。)▼

*入試の「本番の日」までどうすればよいのでしょうか。古文が出ます。*

 あれこれあるので試験問題の目的から順に考えてみましょう。
 試験の場合は「わかりにくいところだからこそ受験生が理解しているかを調べたい。」という目的があります! いやー意地悪ですよね(笑)主語がわかりにくいのでストーリーを追いにくいとか(それで敬語表現などをヒントに解くわけです。)文法問題が難しい場所であるとか、出題者にとって都合の良い受験生の力を効率よく把握できる場所が使われるのです。ただし、そういういろんな要素が入っている良い題材であるのがまた『源氏物語』でもある、ということなのです。また長編小説なので、どこが出るのか予想するのはやはり範囲が広すぎます。(さらに『源氏物語』の為のあらすじや問題攻略の為の対策参考書問題集の類は山ほど既に出ているので、あえてはずそうかな、と考える出題者の存在の可能性はゼロとは言えないでしょう。)
 そして入試傾向というのは年によって事情が少しずつ変わりますし、学校によっても知りたい力の範囲が違います。去年出た問題がそっくりそのまま出るかどうかなんて却ってどうだろう? ってフツーに思いますよね。

 結局未来の事なんてわからないのです。
 でも慌てないで本番の日を迎える為の準備をしなくてはならないのです。
 ここでは古文対策を例として、入試本番の準備とは? こういう切り口で考えてみましょう。

      *

 上記の物語のあらすじのまとめについては、
これはこれとしてチェックする。
 また自分の受ける試験内容の過去問題、これをチェックする。
 これらは現実的な入試本番についての対策の方法です。

 これらがまだまだ凄く難しいとか時間がかかるのか、いけそうな感触なのかということです。難しかった場合どうするか。そのためにも基本的な事項を焦らずできるだけ再確認することです。自分に合っている問題集の問題にとにかくあたっていく、これがやはり良い練習になると思います。「いつもこんな感じで質問してくるなー。」という分野や形式の問題を先にやっつけられると、安心できる項目を増やせます。

 これらを『源氏物語』ばかりにとらわれず、受験科目全体で、確実に解ける問題を再確認する作業にあてます。沢山あることに改めて気づくと思いますが、小問でも確実なのが積み重なると頼れます。
 楽でもないし、派手な作戦でもないし、かっこよくないかもしれないけど、そんなの気にしないことです。
 基本的な力をしっかりつけておく態度が、(入試に限らずですが)結局長く自分を守ってくれます。

     ***

 大学入試における古文の基本的な力ってなんでしょうか。

 『源氏物語』攻略の為の基本的な力から見ていきましょう。
 これはとにかく『源氏物語』が全体的にどんな話なのか、
あらすじをざっとさらっておくのが早道でしょう。
 これをまずクリアすることで次の段階が楽になります 
 その内のどういう巻が実際には古文の問題として取り上げるのに出題者側にとって都合が良いのか。やっとこの段階で「どうしてこの問題が出るのかな?」と考える余裕が出てくるわけです。例えば、身分の高い登場人物が沢山いるわけですから、敬語表現が読み取れるかどうか、出題内容に入って来る可能性があるな、とすぐ予想がつく、こんな感じですよね。
 また『源氏物語』は和歌も入っている話ですが、これも人間関係などストーリーが背景にあって登場人物の心情が出てくるなどの内容の歌です。風景描写などだけに収まらない表現も出てきます。すると物語の流れが読み取れてないと、和歌だけを単独で取り出してみてもわかりにくい場合があるでしょう。 
 これも和歌に対する基本的な力を確認しておく必要があるでしょう。
 まずは単独でも楽しめる百人一首などで、掛詞などを理解できることを確かめておくことでしょう。それからは次の段階として、たとえ知らない物語中の和歌が出てきてもあまり慌てなくてすむ筈です。

 つまり『源氏物語』だけが入試に出るとは限りませんよね。
 入試で受験生の力を知るためには出題者はなにも『源氏物語』だけに頼る必要はないのです。小説だけでなく、『枕草子』『徒然草』『方丈記』などの有名随筆問題もあります。その他出題者は沢山古典文学に親しんでいます。だから「この事項を理解しているかを調べたい。」という目的さえ達成できればいくらでも他の題材を探せる力がある相手なのです。これって英語の長文読解などでも同じことでしょう? 出題に向いた良い文章は勿論存在するので、これをふまえて練習しておく必要はあります。しかし「かなり出やすい」とは言えても「絶対にそれが出る」とは誰にも言い切れないのです。『源氏物語』の場合は長い(しかも危険なお話も入ってる)話なので、実際に過去問や問題集に存在している問題を中心に解いて、全体のあらすじの内ではこの辺が出たんだなーと確認しつつ練習しておくのが、やはり現実的な対策だろうなと思います。

      *  

 古文でも英語でも、まずは文法問題や単語をおさえておく、これこそが基本的な力なのです。 

 だからこそ初めて出会う文章でも基本的な力を使って攻略していけるのです。外国語学習と古文は同じような勉強なのです。でも古文の方は日本語ではあるので、現代日本語とある程度やっぱり雰囲気が似てたりしていますよね。親しみやすい分勉強しやすいだろうと思います。用言の活用や係り結びの法則など、よく問われるパターンがありますから、問題集を解いてみて間違ったところはくりかえしてチェックする、この地道な努力の積み重ねです。これらを日本史の勉強にも関連させながら、楽しく慣れていって欲しいと思います。過去問で文学史をおさえた方がよさそうな傾向だったら流れを把握しましょう。擬古文が過去に出たことのある大学なら、近代文学の文章もある程度見慣れておいた方が良いでしょう。漢文も古文と同じように問題にあたっての対策です。和歌から俳句・短歌の分野も手を広げやすいでしょう。国語はさらに現代文での評論問題や近代小説・随筆など様々なパターンの文章に慣れておく必要がありますよね。

 特に論説文は応用のきく「文章を読み取る力」です。
 文章の構造を把握する力とも言えるでしょう。
 評論問題は、論理的な文章ですから、数学を解く進め方と共通点があります。原因と結果を意識するのは理科でも同じことです。時事問題から派生するテーマが取り上げられる可能性もあるので、社会の動きも気にしながら、日々を過ごせるのがベストです。現代社会は歴史の流れの積み重ねの延長で動いているのです。

 国語だけが入試科目ではない受験生は多いと思います。
なのに1科目だけでも結構チェック項目があるのがわかると思います。
 入試の本番の為には、沢山の教科を限られた時間で効率よくチェックして解いていく、そういう一連の全体的な練習もしておかなくてはならないのです。
 「『源氏物語』大好きだから現代語訳でも訳違いでいろいろ読んだし、マンガもおもしろかったからほんとはまってる!」という高校生達はいますから、それでも慌てない自分を作り上げておいて一緒に静かに試験を受けなければいけないのです。

     ***            

 だから入試の近い季節になったら、あえて『源氏物語』ばかり気にせず、本番の日をどう過ごすかという全体練習にあてて下さい。

 これが、かなり出るとは思われるが『源氏物語』がもし本番の日に出なかった場合、それでも慌てない実力に繋がるのです。これが基礎的な力の結集の姿です。(こればっかりは誰にもわからないのです。未来の事に「絶対」なんて言い切れません。やっぱり出ることもあるだろうし。でも五十四帖の内どこが出るかはやっぱりわかりませんよね。)丸覚えの暗記作業だけでは、応用が必要な場面で慌てることになります。小さくて良いので、確実な力を練習によって着実に蓄積していくことです。
 気軽に読めるものばかり読むのでなく、バランスよく一寸骨のある文章にも慣れておく。さりとて実用的な文章以外にも触れる、この訓練のきっかけに試験を利用して欲しいとは思います。
 頻出問題もチェックした上で、受験科目全体への時間配分を忘れずに、 バランスよく入試対策を、ということです。

 『源氏物語』などの頻出問題としてとりあげられやすい教材そのものの
チェックも勿論必要なのですが、
入試科目全体の内どれくらいが古文の配点なのか考えて、
「まずは大学という所に入っちゃう作戦」で頑張って欲しいのです。

 とまあ、こんな風にあれこれあるので、現役生は特に問題に慣れる時間が足りないものです。
気がついたらゴールデンウィーク明けに大学の構内にいた、
そんな感じです。

      *     

 「まずは大学という所に入っちゃう作戦」が何故大事かも、
書いておきます。

 大学に入る前によく勉強しておくことは立派な事なのですが、一旦大学
入学後の勉強内容を知れば、高校での内容というのは、本当に入門コース
だったのにすぎないのだということも実感する事でしょう。
本当に古典の世界を専門的に勉強したい人なら、大学入試程度の勉強を
繰り返しているだけでは、先の世界にいつまでも入れないでしょう。
時間がもったいないと思いませんか? 

やりたいことを本当にやれる場所にまずは近づくこと、
これはかなりおすすめです。


 実際には、大学の卒論を終えて、やっと興味の対象を調べる方法に触れることができた、という感じでしょうか。
 大学院になると、さらにその分野での適性があるかどうかが、将来に影響する事でしょう。
 研究になると、受験勉強のような勉強の仕方とは形が変わってきます。
 その分野の専門家に進まなかったとしても、社会人となってからの学び方というのは学生の試験勉強とは違います。
      *
 学校に行かなくても本屋さんで売っている本なら、誰でも買えるし自由に読めるのです。
 しかし適所から適切に読み取る力は、専門家の元である一定量以上の訓練が必要です。学校を出てからどういう勉強のやり方を選ぶかというのも、
そもそもどんなやり方があるかを知らない内は、選ぶ力が育っていないので難しいものです。最新情報でいろんな方法を学んだり、いろんなチャンスを掴みやすい場所には、うまい作戦を立ててまずは入っちゃって欲しいな、と私は思っているのです。比較的のんびりと、「何物でもない自分」で居ることもできるし、とにかく選択肢が多い場所は貴重です。


 勿論行ったからには実力をつけて出て行かないと、「学校に行っても仕方がない」と言われるだろうし「本当に実力のある人」に差をつけられます。その場合も何故差がついたのかを考える力がついていれば、何らかの形で自分へのダメ―ジを少なくできるだろうと私は思っています。

      *
 受験勉強に話を戻すと、このような各種の試験勉強の練習は、上記でもわかるように、先の人生が長いので、まだまだ先々でも役立つ体験になります。
 大学に入っても学部の間は試験はありますし、社会人になってからの仕事に必要な資格試験にも応用できます。〆切のある日々の過ごし方、それらのクリアの仕方にもヒントになります。勿論勉強の方法は、大学の学部の間の勉強、さらに大学院生以降からの研究のとりくみ方、社会人になってから仕事への対応で必要なスキルを身につける方法、と人生のステージによって形が変わります。その時も、学生の時の試験勉強とはこんな所が違うんだな、と違いをわかった上でなら、クリアに向かって作戦を立てる応用力はある程度期待できるのでは、と私は考えています。予測できない新たな未来の出来事にも、問題集も正解もない問題などに出会っても、その時は今までの自分に蓄積したデータをヒントに、完璧でなかったとしても、できるだけ時間内で対応するしかないのです。

 自分の勉強を自分なりに深めたい方々もおられると思いますが、仕事での勉強なのか、生涯学習のように、あるいは趣味で深めたいのかでも、
対象とのつきあい方が変わってきます。
時間は、誰にとっても無限ではありません。
 自分の力につりあう形を模索していけますように、と願っています。

 「本番の日」
これは入試とはまた違った様々な姿でこれからも現れるのです。

     ***            

 長くなりましたが、沢山うまくいかないことがあったり、いろんな失敗も一杯やっている元大学受験生から、反省点を元に、以上心を込めてエールを送ります。とにかく健康に気をつけてお過ごし下さい。

・自己紹介 
こういう立場からの視点で作成しています
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  紫式部もいるよ!
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