3種の地鉄とレイニーマンデー
ホテルをチェックアウトして、2日目。昨日より10℃低い冷たい雨の朝。
まずは目の前でバスに飛び乗って富山駅へ。ただ、「どこまで4DAYS」は初っ端では使わず、最初は「富山地方鉄道」へ。
宇奈月温泉へフリーきっぷで。
電鉄富山駅へ行って、まずはきっぷを買う。鉄道線と路面電車が2100円で乗り放題となるフリーきっぷ。今回は宇奈月温泉まで乗るので3分の2以上は元が取れそう。
きっぷを買って、ホームへ。2年ぶり2度目ではあるが、前回とは見た目が違っている。
実は高架工事がなされていて、4つあったホームのうち2つを閉鎖。このスペースに高架ホームを造っている。大手私鉄のような荘厳さではあったが、どのように変貌するのか…
閉鎖されたホームの先には仮設ホーム。ここから乗ることができる。
レッドアローの普通列車
止まっていたのは「16010形」。西武線で「レッドアロー」という特急で活躍していた「昭和のフラッグシップ」丸いライトと銀の飾り、赤とクリームというレトロな雰囲気が印象的だ。
見た目からは分からないが、運転台や台車、モーターなどは京急やJRの部品を調達してくっつけた。これは当時の新型車両へ“おさがり”したため。
それでも、カラーとデザインは「レッドアロー」そのものでリクライニング、栓抜きもそのまま、ワンマン改造を受け、一部は「立席スペース」にしてキャパアップもしている。間口もかなり狭く「ラッシュ耐えられる?」と思ってしまうが、北陸線に似た経緯を持つ電車がいたから大丈夫そう?(知らんけど)
心配はさておいて、この「普通/岩峅寺行き」に乗って「寺田駅」まで向かう。宇奈月温泉行きは後から発車するが、興味本位であえて途中まで別の列車にした。
富山を発車するとしばらくは北陸新幹線と「あいの風とやま鉄道」と並走。貨物ともすれ違う。「あいの風」が北陸線だった頃は富山地方鉄道と線路が繋がっていて、「サンダーバード」「スーパー雷鳥」などが大阪から直通していたこともあったが、新幹線建設と高架化により分断された。
路地裏のような住宅街を大雨の中とことこ進む。地方の私鉄らしくかなり家々は密な感じ。
「常願寺川」を渡っていく。「セーヌ川」「利根川」といった世界や日本の名だたる河川に並んで、教科書で比較対象にされている常連。短い距離ながら流れが急なのが特徴的で氾濫が度々起こる。「これがあの常願寺川…!」と地理好きとしては嬉しいもの。
寺田駅までやってきた。ここから宇奈月温泉行きに乗り換えるために線路を渡る。
今朝から降ってた雨は雨足を増していた。屋根が無いので一苦労。さらに今日は寒い。パーカーとシャツ2枚は間違えた。というか暖かくてボケてた。
東急で山道へ
冷たい雨の中待ってるとやってきた。こちらは「17480形」。東急田園都市線で走っていた車両で神奈川在住の僕の叔父母、従姉妹ゆかりの電車。
譲渡にあたっては
ワンマン機器設置
4扉のうち真ん中2扉常時締切
豪雪対策の「スノープラウ(雪除け)」
など手が加えられているが、携帯電話ステッカーや運転台のハンドル、赤い帯、さらには「『K』と書かれた丸いステッカー※」もそのまま。
また、前面オレンジを纏った色違いもいて、こちらは大井町線時代の名残りで、二子玉川駅や溝の口駅における乗り間違いを防止するため。色は違えど、同じ改造はされている。
打って変わってロングシート。地鉄ではむしろ珍しい類だが、キャパは良さそう。
上市駅までやってきた。行き止まりのこの駅から列車の方向が変わる。
滑川から魚津までは「あいの風とやま鉄道」が並走。かつては北陸線と呼ばれた大動脈故の線形の良さでかなりスピードが上がる。
電鉄黒部までやってきた。上市方面の列車を待つ間に写真を撮った。
雨っぽい曲をたくさん選んで、「ヨルシカ」「美波」などが楽しい。
そして、途中の「長屋駅」を通ると「緑黄色社会」をたくさんかけた。好きなバンドメンバーと同名の駅となると興奮してしまう。
山奥深くになってきて杉木立や渓谷美を駆けていく。首都圏の地獄のようなラッシュとは真逆の風景だ。
約1時間ゆっくり揺られて宇奈月温泉へ。
帰りはおけいはん
温泉でゆったり1時間。次なる場所へ向かうべく元来た道を魚津まで戻る。
次に乗るのは「10030形」。元京阪電車の「3000系(初代)」で特急として活躍していた。
最初は赤とオレンジの塗装だったが、黄色と緑の「地鉄オリジナル」に変更。「フルーツ」から「カボチャ」になった。
その一方で、車内の設備はほぼいじられてはおらず、座席も古巣から変わらず「ふっかふか」。京阪ユーザーだからこの点は関西を思い出す。赤くなった座席もよくみると昔のカラーが顔をを覗かせる。
さらに京阪電車全車両に付いている「成田山大阪別院」のお守りもそのまま。交通安全の守護神は富山でも活躍している。
ただし、ワンマン運転開始に伴って、補助椅子は使用停止と一部に整理券箱を設置された。また、「レッドアロー」と同じく、車体のみの譲渡。日比谷線やJRの台車、モーターなどを付けている。
ちなみに、1編成は元の塗装に戻った上で2015年には2階建てを連結した「ダブルデッカーエキスプレス」を名乗っている。ただ、不定期運行のため、なかなか狙いづらいし、座席指定とされる2階建てはもっと狙いづらい。
モーター音を聴くとどこか北陸線チック。後年の改造ではがっつり地元を走ってた電車の台車に交換してるとのこと。音を聴いていると10数年前の故郷を思い出す。「おけいはん」なのに。
そんなサウンドとともに「新魚津駅」へ。ここから個人的に行ってみたかったあの場所へ。。。
ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。