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鉄オタアナトークショー

こないだあるトークショーに行ってきた。その主役というのはNHK京都放送局竜田理史まさしアナウンサー。京都局赴任直後から鉄道好きを公言し、京都市営地下鉄の最新型車両を生放送で全国へ発信、取材するなど筋金入り。京都ローカルの『ニュース630ろくさんまる京いちにち』でも視聴者が寄せた鉄道系のお便りを熱く語っていて、聞くところによると台本レスなんだとか。ツイッターで知った僕は応募し、当選。行ってみることにした。

見慣れた顔にびっくり

入場すると、竜田さんの上司澗随操司かんずいそうしアナがお出迎え。「8時45分」で見慣れた顔でちょっとびっくりしたが、この人も関わってるってことは相当後輩思いで、なかなかアナウンサーらしくないながらも、面白さを感じて企画に協力してくれたのだろうか。

関西らしい先輩の技量

アンケートを書き、しばらく待つと、澗随さんの前説。大阪出身でナチュラルな関西弁に軽快でコミカル、嗄れ声の語り口。ブラックジョークを交えて、後輩をいじるところもベテランアナの技を堪能できる。というか、「ゴゴスマ」の石井亮次さんも大阪人だし、大阪育ちだとみんなそういう環境で磨かれたんかなぁ。

ソワソワしつつもやっぱプロ

そして、主役である竜田さんが登場。ニュース直後ということでスーツ姿に制帽というプチコスプレ。澗随さんの言う通りちょっとソワソワしつつも、立ち姿や声色は「京いちにち」で見る竜田アナそのもの。やっぱりプロだ。

鉄道遍歴

まず手始めに竜田さんの鉄道遍歴として、出身地西武線の思い出や生まれ故郷で親のルーツである函館五稜郭を走る市電の話からスタート。いずれも竜田さんにとっては「育ての親」だそうで竜田少年と「レッドアロー」のツーショットや市電や西武の運転体験などのエピソードを見ると完全に僕の生き写しのように見える。さらに大学時代には日本全国を時刻表片手に乗り回ったり、イタリアミラノへ行ってトラムに乗りに飛んだりもしたそう。こうしてみると行動力恐るべしと思ってしまう。なかなか海外なんて1人で行けるもんじゃないし言葉も不安だし。でも、こういうところを見ると竜田さんのアナウンサー人生にプラスになっている要素なのが見てとれる。

初任地の話

竜田さんがアナウンサーになって、配属された初任地というのは「沖縄局」だった。もちろん、竜田さんにとってみれば、「ホームシック」いや「レールウェイシック」になりそうな場所で「ゆいレール」だけではけっこう飽きてしまいそう。竜田さんの本音もそんな感じ。とは言え、やりたかったことのために沖縄行きを受け入れたり、南大東島での中継をわざわざ立案して、その合間に「シュガートレイン※」の面影を探したりしたそう。「公私混同」と澗随さんに突っ込まれながらもそうやって、楽しみを見つけつつ、約3年の沖縄ライフを充実してきたのだと思う。

※かつて「日本最南端」と呼ばれ存在した県下唯一(当時)の鉄道でサトウキビを運ぶSL貨物列車が走っていた。今でもそのSLが島内に保存されている。

鉄道の宝庫、京都

そんなこんなで今度は京都の鉄道の話。タイトルにある「鉄道の宝庫」と呼ぶ所以として、京都市内を中心に走る鉄道や府内南北に伸びる鉄道の豊富さや京都鉄道博物館があること、さらに110年前に走った「日本初の電気列車」が京都の路面電車(後の京都市電)だったなどを竜田さん目線で解説していた。

アーカイブと思い出の数々。

途中ではNHKに残る京都市電全廃当日のアーカイブス映像が放映。今にも通じる「無法地帯のラストラン」、埼玉から帰省してきた親子と「西陣織」を作る職人のおじいちゃんという人間の営みに密着。そして、廃線翌朝の引っぺがされるアスファルトと焼き切られるレールがクルマ社会に敗れてしまった「夢の跡」のような儚さを感じる。ラストでは広島や松山に陸送される市電の映像で締め括られた。見終わった後には市電を生で見たというお客さんが「通学で乗ってた」「市電がいない光景が嫌だった」など貴重な思い出を聞くことができた。僕は知らない映像だが、以前、松山に譲渡された「京都市電」を見かけたときはバイブスが上がったもんだ。ちなみに奇しくもトークショーの日はちょうど廃線の日と全く一緒だった。

他にも

他にも客席でキッズが鉄道知識を披露したり、ファンとの交流や事前募集の質問に答えたりなど非常に楽しい1時間半だった。最後にはメッセージ付きグッズ詰め合わせを話が盛り上がったキッズ1人にプレゼントしたり、写真撮影、個別に話したり撮影したりと楽しかった。

愛と支え

アナウンサーというとタレントの裏方に徹するところもありつつ、アイドル的要素もあったりする。特に最近は大阪局の近田雄一アナがや名古屋局の別井敬之アナなど鉄道好きが熱く語っているアナウンサーがNHKではよくいるし、「NHK鉄道150年」企画のインフォメーション番組では「模型鉄」を公言する糸井羊司アナが登場している。そんな竜田さんもこの人らに負けない感じの愛が伝わって、上司の澗随さん始め、スタッフ、竜田さんの「相方」石井美江キャスターなどいろんな人の支えでこんな楽しい企画を作ってくれたのだと思う。

「鉄道開業150年」ということでさまざまなところで盛り上がっているが、NHKもかなり気合いが入っていて、今年の「スポーツの日」にはラジオ第一で鉄道だけで朝から晩まで約11時間喋り倒す「〇〇三昧」的特番をやるそう。竜田さんも参戦するそうだし、これはぜひ聴いてみたい。

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