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いざ縁結びの里へ

米子で1泊した翌朝。いよいよ出雲へと向かう。

チケットレスで指定席700円。

買っても1000円しない特急券を別途買ってもよかったが、昨日が特急だったのでゆったりと普通列車に決めた。

米子から高性能な普通列車で

鳥取行きの「スーパーまつかぜ」
3者競演。
爆睡中の「ねこ娘列車」
キハ121がポツンと。
折り返し快速とっとりライナー。
今回乗るキハ126の普通出雲市行き。

まずは普通列車出雲市行きに乗り込む。車両は「キハ126系」。山陰線のスピードアップのために「キハ187系」とセットで導入された普通車両。国鉄型と比べると速度は向上し、特急と共通設計でかなり高性能となっている。これの1両verとして「キハ121」もいる。

珍しい「ボタン式」

ボタン式。山陰ではコロナ禍であっても継続されている。

ボタン式のドアはかつては関西圏でも僕の地元やローカル線、長時間停車時などに頻繁に行われ、阪神電車でも採用されていたが、換気の必要性や不特定多数が接触する衛生面からか、関西では地元を含めたJR、阪神はほぼ0になった。しかし、山陰のJRや一畑電車はなぜか、ボタン式を継続している。2年前に乗ったときは車掌さん乗務の上でボタン式。どういう差なのか?

絶景とラッシュアワー

2車線ではかなり飛ばす。
安来駅。安来節の里。
田園。そして、剥がれかけの乗車方法ステッカー
中海。宍道湖とごっちゃになりがち。
とはいえ、広くて絶景。琵琶湖の大津あたりを思い出す。
キハ47と出会う。

そんなこんなで、米子を発車。右に目をやると「中海」「宍道しんじ湖」がよく見えるし、普通列車でもかなりのスピード感と線路の安定感。その一方でラッシュアワーで松江に近づくにつれて混んでくる。

松江駅。都会的高架駅。
曇り予報やのに朝陽が差し込んでくる。
こんな晴れてるけど…
朝陽浴びる田園。

選曲と赤っ恥

JR西日本「アオタビ」CMタイアップを筆頭に朝っぽい曲をセレクト。車両の性能がいいからか普通列車でもかなり楽しい。余談だが、『ノーチラス』かけた後にイヤホンとったらそれがどこからともなく流れてきて「!?」と思ったら僕のスマホがポケットの中で勝手に流してたという…恥ずかった。そして、前の人が冷たい視線を向けてた理由も…

木次(きすき)線のキハ120。国鉄のフリしたJR生まれ。
木次線はここから南下して備後落合(びんごおちあい)という「秘境のジャンクション」に至る。
ボックスにも座れた。

行き違い→待ち合わせ

直江で数分停車。
待ち合わせ相手の「やくも」

直江駅では「反対列車の“待ち合わせ”」。奈良線や草津線などエリア内他の路線では「行き違い」と表現し、以前はそうしていたが、〝「縁結びの里」へ行くのに残念〟という乗客の意見と提案から、出雲へ向かう列車は縁起良く「待ち合わせ」と放送するように変えた。

出雲に到着!

もうすぐ出雲。
斐伊(ひい)川。
ピンクのガソスタ。山陰にめっちゃあんなぁ。奇抜なご当地チェーン(?)

いろいろあって1時間ぐらいで出雲市到着。

出雲市駅。前回来たとき右の「スーパーホテル」に泊まった。
また歓迎。

映画に出てきたあの電車へ。

出雲市からは出雲大社を目指すべく乗り換える。

ちょっと歩く。
一畑電車「電鉄出雲市」駅。

奥にある「電鉄出雲市」から「一畑電車」へ。地元では「バタ電」と略して愛されている。

あの映画の舞台。

2010年公開の映画「RAILWAYS」の第1作はこの「バタ電」が舞台で中井貴一さん演じる主人公が50歳目前で「バタ電」の運転士になる夢を目指しながら、悪化した家族との関わりの変化を描いている。「デハニ」というオレンジ色の旧型を始め、一畑電車や地元が総力を上げてロケを決行。この後2作目に「富山地方鉄道」3作目に「肥薩ひさつおれんじ鉄道(鹿児島、熊本)」とシリーズ化された。

使えるキャッシュレス多ない!?
出雲大社前まで500円。交通系ICで買うという超絶違和感。
列車別改札。北海道と同じ。

そんな「バタ電」で「出雲大社前」へ向かう。きっぷはキャッシュレスOKでコンビニで使えるものは全部使える感じ。それと北海道でしか見ない列車ごとの改札をしていて、ダブルで驚いた。

首都圏から山陰で余生

2100系松江(しんじ湖)温泉行き。

エレベーターを上がると待っていたのは「2100系」の「松江しんじ湖温泉」行き。オレンジに白ラインという映画でも出てきた「バタ電」のイメージカラーが目を惹く。個人的には青と黄色のツートンを図鑑で見たが、映画の影響はものすごい。

そんなこの電車はかつては「京王線」で走っていた「初代5000系」。京王の悪いイメージを変え、殻を破る存在として新宿と八王子を結ぶ特急を中心に活躍してきた。1990年代に引退したものの、「富士急行線(山梨)」や「ことでん(香川)」「伊予鉄道(愛媛)」など地方鉄道に譲渡され、現役を続けている。さらに、「伊予鉄道」から「銚子電鉄(千葉)」「富士急」から「岳南電車(静岡)」などへ2次譲渡された珍しい変遷もある。

「KTR」と書かれたスピーカー。
デビューから半世紀以上。やのに「ここWi-Fi飛んでんなぁ」

それでも、譲渡元の昔の社名「KTR(京王帝都電鉄)」の文字や古いモーターや壁、ドアが変えられていないなど往年を偲ぶ点が散見される。

入線するピンクの電車。
「しまねっこ」がちょこんと。
1両は座席もピンク。

さらに数分後にやってきた当駅止まりは「ご縁電車しまねっこ号」。ピンクのビジュアルに「縁結び」や島根のゆるキャラ「しまねっこ」をあしらっている。

つり革が東急っぽさ。

そんなこの電車も譲渡車。かつては東急電鉄にいて、東横線から東京メトロ日比谷線北千住への直通列車を中心に活躍していたが、副都心線などとの直通開始で撤退。上田電鉄(長野)や伊賀鉄道(三重)福島交通飯坂線に譲渡された。「バタ電」のものは中間車に運転台を付けたため東急時代とは異なる顔つきだが、車内やコルゲートの凹凸、茶色い座席などがその懐かしさを漂わせる。

雨とバタ電

ホームに駐輪場なんて初めて見た。
地元の園児が手を振り、列車も軽めの警笛で応えた。

さて、10時25分に電鉄出雲市を発車。さっき晴れてたのも束の間、雨が降り出してきた。乗ってる車両は年代物ではあるが、雨でも空転することなくガタゴト揺らしながら軽快に駆け抜けていく。

乗り換え

小雨の中乗り換え。

川跡かわとまでやってきたところで乗り換える。そこにいたのは「7000系」。譲渡車ではない自社発注の最新モデルだ。

どことなくJR、どことなく地元

見覚えのあるドアボタン
ピクトグラムも
平成29年製。
「後藤工業」製。JR車両のメンテナンスを手掛ける他、京阪神の普通電車も造ったそう。
こんなとこにも「しまねっこ」。
片側ボックス、片側ロングのミックス。

JR四国の電車と同じ車体に「新快速」の225系電車の電装品を組み合わせたもの。米子にある「後藤工業」というJR系メンテナンス子会社が製造した「メイドイン山陰」だ。

225系のライトやモーター類に
JR四国の7000系の車体や運転台の形を取り入れ
こうなった。

比べてみるとどことなくそっくり。音に至っては個人的にいつも聴くモーター音。地元を思い出す。

同じでも個性いろいろ

青い「7002」は宍道湖をイメージ。
ここで3つの同型が勢揃い。
赤色の「7004」号。
紅葉?と思ったら火山の赤。
緑の「7003」は棚田をイメージ。
灰色の「7001」は出雲大社をイメージ。

現役唯一の1両で昼間は何度も出会し、遂には在籍車両をフルコンプで見た。それでも、4両全てラインの色が異なっていて、「出雲大社」「三瓶山さんべさん※」「宍道湖」「棚田」をイメージしたカラフルさ。

※島根県大田おおだ市と同飯南いいなん町にまたがる活火山。温泉やスキー場などがあり、国立公園にも指定されている。ちなみにかつて山陰線ではこの名にちなんだ急行「さんべ」が走っていた。
山の上が霞む。
本降り打ち付けるホーム。
雨に遭遇することは少ないが、日本海側行ったらまぁこんなもん。
「出雲科学館パークタウン前」からは高架。
大津町を過ぎるとJRと合流し出雲市まで並走。

行きでは小雨。帰り道では本降りの雨となったが、『雨とカプチーノ』や『DROP』がハマる感じ。『六月は雨上がりの街を書く』『蕾に雷』はワイパーのリズムと合って心地良い。「晴れ男」寄りな僕だから嬉しい旅路だ。

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