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音楽とともに振り返る列車旅(2日目ラストスパート)

「関西どこでもきっぷ」の旅も終盤戦。そんな音楽と列車の旅はちょっとしたハプニングもあり、何が起こるか分からない旅らしい一コマもあった。

和歌山電鐵貴志川線

御坊ごぼう駅から「SDGsなパンダくろしお」で和歌山駅へ。そこから和歌山電鐵貴志川きしがわ線に乗り換える。

南海電車時代に廃線寸前まで追い詰められたところを岡山電気軌道が運営を引き継ぎ、「たま駅長」で一世を風靡。ドラマチックな起死回生ストーリーを持つ。この路線では「たま電車」や地域の名産品をテーマにした「いちご電車」「うめ星電車」など水戸岡鋭治氏プロデュース、いわば「水戸岡マジック」にかけられたたくさんの電車があり、どれもデザインが異なる。そして、僕が乗るのは、、、

動物愛護を呼びかけるラッピング電車。こちらは「水戸岡マジック」がかけられてはいないが、可愛らしいイラストとともに社会問題である多頭飼育や虐待などの防止を啓発している考えさせられる車両なのだ。

南海電車の名残であるけたたましいブザーが鳴り、和歌山駅を出発。軽便鉄道由来で路地裏の狭いところや急カーブの連続。電車の揺れも激しい。

途中駅では「いちご電車」や「うめ星電車」とすれ違い、伊太祈曽いだきそ駅の車庫では「たま電車」や岡山電気軌道で走っている「チャギントン電車」のPR電車、数日後に完成披露した「たまミュージアム電車」も姿を見せていた。

乗ること30分で終点貴志駅に到着。

たま駅長を模した茅葺の駅舎が目を惹く。こちらも「水戸岡マジック」だ。

「たまII世」を襲名した「ニタマ駅長」がご出勤。そっぽ向いて寝ていたが、なんとも愛らしい。その横には在りし日の先代たま駅長の写真がある。この他伊太祈曽駅には「よんたま」が駅長見習いとして勤務している。

そんな貴志川線で聴いた曲はやっぱりゆったり系。日が傾いた後半は「〇〇ちゃん」や「LEMON SOUNDS」など夕方に合う曲をチョイス。電車も古いから曲のノスタルジー感も非常にピタッと来る。

和歌山から関空へ

「ニタマ駅長」に会った後、関西空港へ向かうべく、和歌山から紀州路快速に乗り込み日根野へ、そこから関空快速に乗り換える。スーツケースを持ち歩いていたから、完全に搭乗するとしか思えないスタイルに反して今回は食べたいもの食べて、ぶらりするだけという矛盾。

それはともかく音楽へ。本当はこの中に南壽あさ子さんの『わたしのノスタルジア』という曲もかけていたが、あいにくApple Musicには載ってなかったためプレイリストには入れられなかった。しかし、ラジオで知った思い出の曲で日没前にこの曲を聴くとエモい気持ちになる。そんな曲をこのサブスクで共有できないのはちと残念だが、PVで少し聴いて頂けたらと思う。

関空特急はるか46号

たこ焼きを食べ終え、ハーゲンダッツをデザートに購入。ホームに入って、たまたま見れた『すみっコぐらし』の特急ラピートで大興奮した後、今回の旅のラストを飾る特急はるか46号に乗る。

「はるか」は10年前以来3回目。前回はユニバ帰りに当時停車駅だった西九条から京都まで乗った。乗った以外では、高校時代に大津に大会に行く途中で米原でお泊りしてる「はるか」に興奮し、大学の頃の駅員のバイトでは毎朝「はるか」の安全を見守る一翼を担っていたなどたくさん思い出がある。

今や、デビュー以来最悪の状況が長らく続いている「はるか」。朝晩の米原発着→野洲やす発着に短縮され、滋賀の湖東、湖北エリアに来なくなった。それに、運転本数もインバウンドで旺盛だった時期の3分の1以下のわずか。感染状況が落ち着いたことで「ラピート」が元通りにするなど復調傾向になってる反面、まだ「はるか」は元通りにすることに踏ん切りがつかないようだ。しかも、今は恐ろしそうで怪しい変異株も出始めているから、活用のアイデアが出ない限りはずっと低空飛行だろう。

ネガティブな話題ばかりになってしまったが、車内は華やかだ。座席カバー、壁面、ドアがハローキティで彩られ、デビュー20年以上の古い電車ながらそんなことを感じさせない。関西と世界をつなぐ架け橋がキティちゃんにあやかったのは大いに成功したと言える。コロナさえなければもっと良くなってたろうに。

関空を発車すると、本数の多い阪和線を減速せずに次々と飛ばす。普通電車の他、関空・紀州路快速も2本追い抜いてしまうぐらい。関空の次は天王寺にすることで程よく止まる快速との棲み分けが図られている。(ラッシュ時に日根野ひねの和泉府中いずみふちゅうに止まる便もある。)

そして、乗ったら見てみたかったこの光景。西九条から大阪駅前の一等地「うめきた」エリアを抜けて新大阪に至る梅田貨物線というショートカットルート。ここからは大阪ステーションシティやグランフロント大阪、変わりゆく「うめきた」を一望できる都会の隠れた絶景スポットだ。しかし、この線路は地下に移される予定でこの光景が見られるのももう長くない。その代わり、大阪駅の拡張部分である地下ホームが建設されておおさか東線や大阪駅をスルーしていた特急が「西日本最大ターミナル」に念願の停車するというのだから楽しみだ。

「サイサイ」を皮切りに多くのスピード感ある曲をセレクト。最初はノンストップで気持ち良かった。しかし、環状線、貨物線を挟んだ新大阪から先は琵琶湖線で発生した「列車とお客様の接触」でダイヤが乱れていた。最初は飛ばしていたものの、貨物か回送車と思わしき列車に阻まれ信号待ちした影響が『冬眠』をかけたあたりで発生。再生を止め、その後緩やかに動き出したところで最初から聴き直し「本気の回復運転」でそれなりにいい気分で聴けた。その後は2回減速はあったが、到着は約5分遅れただけに留まった。こういうときってだいたいイラつきがちだし、僕も音楽が楽しめず軽くイラついたが、「パンダくろしお」と「オーシャンアロー」出会えたんだし、表裏一体的にツイてないこと起こったっていいじゃないと心の中に寂聴さんを宿らせて割り切った。

そして、速達列車でのラストナンバーに選んだのが、『NOW ON AIR』。赤い公園では一番のお気に入りをこの旅の締めに選んだ。減速はありつつも、いい気分で京都に着けた。

それから最寄りまでの普通電車はあいみょん3コンボ。終わりよければ全てよしとはまさにこのこと。

4回に分けて綴ってきた。音楽とともに綴る列車旅。前回よりは普通列車多めでゆったりめの曲をたくさん聴けた。最後はハプニングもありつつも、落ち着いた心とこれも醍醐味と割り切れたことでいい気分でフィニッシュできた。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。