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vol.11-4 国際協力の関心分野や専門分野、どうやって絞ればいいの?(延岡)

「職業として国際協力に携わるために」を前提にして大丈夫です。というよりも、もっと細かく言ったら、「海外での国際協力(支援・援助)に携わるために」ですね。

なるほど!わかりました。


先に専門分野に関してもう少しお話を続けていきますね。


現状として、原さんもわたしも「これ」と言った専門性を持ち合わせていないことは、これまでの話でも確認しましたね。

でも、原さんはこれからコンフロントワールドの有給職員として働かれますし、わたしも昨年4月に大学卒業と同時に、こうして国際協力NGOの職員として働いています。


「職業として」国際協力に携わると言うと何かしらの専門性を求められることが一般的な印象だと思います。確かに海外での支援現場において特定の専門性は必要とされてきた事実があります。


国際協力の歴史を遡ってみると、いわゆる「慈善型」の開発・援助が出発点だと言うことができます。一般的に国際協力の世界の原点とされる、19世紀の赤十字活動などもこれに該当しますね。しかし、一方的な支援になりがちであったこのアプローチに対して「慈善に基づく支援だけでは問題が解決できないのではないか?」むしろ、「現地の人たちにとってマイナスの影響の方が大きいのではないか?」という疑問が生じるようになりました。


そこで方向転換がなされ、次の段階として「技術移転型」の開発・援助が主流となりました。

ざっくり説明すると、こんな感じでしょうか。

開発途上国が抱える問題を解決するために、先進国側が有する優れた技術を最終的には途上国側に何らかの形式で移転することで、対象者/対象地域の自立を目指した、より計画的かつ専門的なアプローチ。

かなり簡単な説明ですが。この「技術移転型」の開発アプローチにおいて、専門家は超重要です。というか、必要不可欠な存在です。いわば、学校の先生と同じような立場にあるわけです。そのため、より良い支援を行おうとすると、より高度な専門性を有した、より質の高い「専門家」のニーズがあるんですよね。


次のステージとして、「参加型開発」が提唱されました。かの有名なロバート・チェンバース氏が提唱し、「1990年代の開発協力」を主導する理念として広く認識されていますね。

「参加型」のアプローチの特徴は、端的に表すと「現地の人(受益者)がプロジェクトの意思決定に参加して、開発を進めていくこと」と言えるでしょう。


もちろん「参加型開発こそ善」とする姿勢はあまり良いとは思えません。まだまだ、十分な議論がなされておらず、改善していくべき点がたくさんあります。これを学んでいくことも重要ですが、前提として「支援のアプローチにおける完成形は、まだ存在しない」ということを意識しておきたいですね。


もしも、完成形とされる手法があれば、みんながそれを実践して、とっくに世界中の問題は解決されているはずですからね。


さて、何を伝えたかったかと言うと「技術移転型」の開発・援助が主流となっていた(いる?)時に築き上げられた「専門家」に対する優遇的な視線、あるいは「専門性」を何よりも大事とする価値観が、今なお根強く存在しているんじゃないかな、とわたしは感じています。「専門性こそすべて!」みたいな。


もちろん、専門家の持っている専門的な技術や経験は、実際に現場でプロジェクトを実施していく上でとても重要ですし、なくてはならない資源です。

でも、それだけじゃないですよね。コーディネーターというか、ファシリテーターというか。専門家も巻き込んで、一緒に活動を推進していける人も必要です。


なので、個人的には「ジェネラリスト系」「マネジメント系」のキャリアというものも、もっと注目を浴びてほしいですし、全体として、この辺りの質を高めていく必要があると思います。


要は、「スペシャリスト(専門家)」だけが国際協力をしているわけじゃないですよってことです。



次に、専門性を身に付けるタイミングについてお話ししますね。

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