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ブランドは人に置き換えて考える

多くの本やウェブサイトでも「ブランドとはこういうもんです。ブランディングとはこういう行為です」という説明があり、ふんふんなるほどと眺めているのですが、じゃあ実践するには? という疑問に答えているものは少ない気がします。それはそうだ、デザイナーにとって回答を導きだすルートは一つではないわけですし、その人なりのアプローチがあって良いものですよね。ここでは、ブランディングとは何か。という難しい話は一旦置いて、あまり具体的になりすぎない程度に私なりのアプローチをまとめてみたいと思います。

人に置き換えて考える

タイトルの通り、私はブランドを一人の人物に置き換えて考えてみることが多いです。例えばある企業から問い合わせをいただき、「当社のブランディングをお願いします」というオーダーをいただいたとします。あなたはまず最初に何をしますか? 私はこのとき、この企業のことを人に置き換えて考えて、どんな人なのかを想像してみます。

その人は「どんな服を着てるんだろう?」「男性?」「女性?」「話し方は?」「草食系?」「肉食系?」「性格は?」「休みの日は何してる?」「どんな本を読むんだろう?」「本を読むなら電子書籍?」「スマホはiPhone?」「Android?」「趣味は?」…などなどここに挙げたものは一例ですが、大体いつもこんな感じです。私はいつもこういった漠然とした質問を用意してクライアントへのヒアリングに望みます。(もちろん質問はこのまま持っていくわけじゃありませんよ)

どう思われたいかを考える

なぜこんな考え方をするかというと、私の中でブランディングとは、「その人(企業やサービス)がどうあるべきか、どう思われたいかを表現し・熟成していくこと」だと考えているからです。どんな服を着ているかは、外見上の特徴です。シュッとしたスーツを着ているのか、デニムなのか。性格は内面的な特徴や振る舞いです。信頼できる雰囲気なのか、ほっと落ち着く雰囲気なのか。初対面は生真面目なヤツだけど、よく知っていくと遊び心のある楽しいやつだとか。もちろんさまざまなテストは必要ですが、これらはそのままデザインやコンテンツに落とすことができますよね。

長く愛されるブランドを作るために重要なことは、その企業が「魅力的な存在であること」はもちろん、その企業自身が「無理をしていないか・自分らしくあるか」もとても重要です。自分らしくない振る舞いをするブランドは、消費者や顧客にウソをついているのと同じことですから。長く良い関係を構築するためにもその人のらしさを引き出し、魅力的に表現してあげましょう。

ブランドの押し売りはよくない

最後に、ブランディングを考えていくときにもう1つ大切にしていることがあります。それは、押し付けないということ。あなたがよっぽど人間ができているか、かなりの聞き上手じゃなければ、初対面の人の退屈な話を延々と聞かされるのは耐え難いものです。ブランドも一緒です。「こうだこうだ!」と強く自己主張をする一方的なコミュニケーションでは、そのブランドを好きになってくれる可能性は低いでしょう。「オレは魅力的だから好きになれ」と強要しているようなものですからね。中には強引な人が好きな人もいるかもしれませんけどね。笑

最後に、これはまた別の記事で書こうと思いますが、その人の「らしさ」を発掘するには質問を繰り返すしかありません。そしてヒアリングを繰り返すうちにその人の良くないと思われる部分や、意外な一面もいくつか出てくるでしょう。その時はその部分を隠すようなことをせずに、頭の片隅に置いておきましょう。良い部分を磨いている時に、その意外な一面がギャップとなり、モテるブランドを作るのです。それも人と同じですね。

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