川村雄介(大和総研副理事長)

川村雄介(大和総研副理事長)

最近の記事

いまこそ、日本の協力が

コロナウィルスが猛威を振るい始めました。大方、日本人の予感どおりだなあ、当初言われていたように簡単なものではなかったなあ、というのが実感です。 で、皆さん、感染の拡大、被害、二次被害(経済面も含めて)ばかり強調しますが、まずもって犠牲になった方々のご冥福と感染発症して苦しんでいる罹患者の皆さんに、心よりお見舞い申し上げます。 思いやりとおもてなしを「うり」にしている日本人なら、「移ったら大変だ」「お客が来なくて大損害だ」と騒ぐ前に、まずは被害者にお見舞い言えないのかなあ、

    • 大人が若人と老人を煽る

      ダボスでも、環境活動に熱心なグレタさんは健在だったようです。 彼女の言説やパフォーマンスに、喝さいを人々が大勢いますが、反発する人も少なくはない。とくに、高位高官、年配者からは強い反発が寄せられている。私の世代では、後者がマジョリティのようです。 でも。本当の大人であれば、彼女の主張を冷静に受け止め、未熟な表現や礼儀については優しく諭してあげれば良いのではないでしょうか。なんだか、元気で生意気な孫に対して、お爺さんがムキになって叱っているような感じがします。 それに、彼

      • 外圧頼みではないフィンテックが欲しい

        デジタル技術やIT環境の革新には凄まじいものがあります。生活はとても便利に。 金融の世界もそうですね。でも、中国や欧米先進国に比べるとまだまだだと痛感もする。 とくに資金決済。近々にもこの分野の法改正による規制緩和が実現しそうです。 でもその割に、民間銀行の動きが鈍いような気もする。イギリスのフィンテック企業の参入が、国内勢の刺激になりそうだ、という見方がありますね。 ここでもまた外圧頼み、ってのはチト悲しい感じがします。

        • 期待に応えてね、国会さん

          国会が始まりました。 昨年末あたりから、議員の不透明な行為、逮捕、醜聞などが相次いだこともあり、これらを「徹底追及」するのが国会の使命だ、という論調(にしたいというメディア?)が盛んでした。 国政を担う人々の廉潔性や行動の透明性は厳しく問われなければならない。疑いを呼ぶような行為には、説明責任があります。国会の場で、そこを議論すべきことは言うまでもありません。 でも、決して忘れてはならないことは、今の日本は、課題先進国なんてきれいな言葉に酔ってはいられない状況にあること

        いまこそ、日本の協力が

          ゴーンの反日キャンペーンにはガーンと

          日本の最大の弱点は、国際的広報です。表現も控えめすぎるし、やり方も地味。 たとえば、日韓問題のキャンペーン戦でも凝りています。日本国内で当たり前のことがグローバル社会では通用しません。言論の世界、メディアの世界も、「日本の常識は世界の非常識」なんです。 ゴーン問題は、論点すり替え、逆捩じ、逆切れの典型です。 冷静に分析する必要はもちろんありますが、グローバルな熱いアピールがそれ以上に大切だと思います。

          ゴーンの反日キャンペーンにはガーンと

          日中関係2020

          国際関係が複雑化して、どことなく地球上にギスギス感が残った2019年でした。その中で、日本外交は基本的に上手く回せたと感じています。 新年にわたって重要課題が日中関係、特に経済関係です。年末立て続けに北京に出張し、学会から文化関係まで、いろいろな分野の中国関係者と会話してきました。 個人的な感想ですが、1980年代の両国関係を思い出すような良い雰囲気。 折しも、中国最大の国営メディアと日本のエンタメ再大手の広範な提携が報じられています。これは、少なくとも日中の文化交流を

          ガバナンス元年となった?令和元年

          コーポレートガバナンスが話題になる時代になってかなり経ちますが、今年はとりわけいろいろと考えさせられることが多かったと思います。 大手自動車会社、大手コンビニ、大手エンタメ企業、日本郵政グループ、どれもこれも超有名会社ゆえ、テレビのワイドショーやスポーツ新聞にまで盛んに取り上げられたものでした。 そこで、印象と感想を。 印象。ガバナンスという言葉が言ってみれば葵の印籠になっている。これを持ち出されると、皆さん、ははーっ、と土下座してしまう。ある種の思考停止状態になる。宗

          ガバナンス元年となった?令和元年

          地方空港とインバウンド

          インバウンド客が地方空港を利用する回数が飛躍的に伸びているようです。各地方の地元経済活性化に資すると思いますが、とりわけインバウンドの外国人を呼び込む効果が高いですね。 急増するインバウンドが、何らかの経済効果を有することは明らか。最近は地方空港同士のネットワークも充実しつつあるようで、何よりです。 ただし、ここから先は、より訪問客のタイプや嗜好に応じたきめ細かい対応が求められます。 ツアーでさーっと回るお客さんは、ともかく有名な場所と著名な食べ物、そしてポピュラーなお

          地方空港とインバウンド

          人を裁く難しさ

          元中央官庁トップの痛ましい殺人事件に一審判決が下った。なんともやり場のない悲しみ、重い気持ちに包まれる事件だ。 被告人は、官僚として最高の地位に上り詰めるまで、さぞや寝食を忘れ、国のため、という使命感で頑張ってこられたのだと想像している。 だが、他方で、家庭内には大変な問題を抱えていた。仕事と家庭を峻別して努力されていたのだろう。 人間、仕事は仕事、家庭は家庭と簡単に分けられるものではないと思う。相当に意志が強い人物でも、これは容易いことではない。 ちょっと子供が熱を

          博士号も大事ですが・・・

          日本は他の主要国に比べて高位の学位の取得者数が少なく、しかも最近とみに減少傾向にあることが問題視されています。 確かに、国際会議で会う各国の代表らはPh.D保有者が非常に多いし、中身はともかく、まずは名刺の「看板」で負けている感じもします。 また、スキルや処遇、今後の国の発展余力などを考えたとき、高位の学位が望ましい、とは一応は言えると思います。 ただし、日本の職場と大学の高位学位をめぐるミスマッチはかなり大きく、単純に言えない難しさもあると思います。 というより、も

          博士号も大事ですが・・・

          北京の空気は・・・

          先週の北京は、日中が4,5度、夜もマイナス2,3度と、この時期にしては比較的暖かでした。なによりも空気が澄んでいて、遠くの山脈まで望見できました。もっともPM2.5の値はかなり高かったですが。 ちょっと今までの北京と雰囲気が違う。なんとなく静かというか大人しいというか。金曜日夜のレストランはかなり閑散とした感じで、2,3年前までのバブル感はありませんでしたね。 道路の渋滞もーもちろん東京とは比較にならない混雑ぶりではありますがーひと頃に比べるとずっと緩和されていました。

          逮捕は有罪ではない

          今年も色々な騒ぎがありました。その都度、テレビのワイドショーでは、物知り顔のコメンテーターさんたちがご高説をのたまってきました。これも何年間もそう。 とくに著名人が逮捕されたり、犯罪に絡んだりするともう大変。昨日までのスターはたちまち悪の権化、裏の魔女みたいな扱いです。 テレビ桟敷の人々は、なにせ「人の不幸は蜜の味」を楽しみたいし、週刊誌も人を褒めていたら売れない。知名人の転落ほど視聴率や部数を稼げるのが人間社会です。 ただし。それ故にこそ、コメンテーターのように影響力

          どうしよう?!日本のラストベルト

          10年ぶりに訪れたとある九州の地方都市。かつては、財閥系企業の主力工場、事業所が集積し、資源産業も栄えてそれはそれは賑やか。1960年代、この街の中心街は、文字通り「殷賑を極めた」ものでした。名高い料亭も何軒もありました。 高度成長とエネルギー転換のなかで、次第に衰退していったものの、20世紀までは、まだ何とかなるかなあ、という感じがありました。地元の商工会議所なども熱心に再成長策を模索していたものです。 ところが。先週、散策?したこの街の「新銀座」はまだ夕方7時前、それ

          どうしよう?!日本のラストベルト

          新・証券仲介業、良いけどちょっと心配

          証券会社とお客様の間に入って、証券取引の仲立ちをする業者を金融商品取引仲介業者、と呼んでいます。平たく言えば証券仲介業者です。売買の当事者にはならず、あくまでもお仲人さんみたいな存在。 ところで、お客様から見ると銀行商品は銀行に、保険は保険代理店に、証券取引は証券会社か証券仲介業者に、なんてかなり面倒。魚と野菜とお肉をそれぞれ魚屋さん、八百屋さん、お肉屋さんにいくのではなく、スーパーに行けばいっぺんに済む。品ぞろえが豊富な方が、献立を考えるときにもいろいろと参考になる。

          新・証券仲介業、良いけどちょっと心配

          芸能人に甘い、というよりも!

          人気女優のクスリ疑惑とその逮捕。これまでも芸能人のこの手の事件が頻発していましたし、最近でも累犯の逮捕が話題になっていました。 そのたびに喧々諤々の議論となるのが、「更生、復帰を待ちたい」いや「こんなの一発アウトだよ」。 事案の性格や程度にもよりますが、理想的には前者でしょうし、現に多くの芸能人は再登場してきました。基本的に「罪を憎んで人を憎まず」でいきたいところです。過去逮捕されたり、犯罪を犯した芸能人の多くが、テレビのワイドショーなどに復帰して、したり顔で社会問題や政

          芸能人に甘い、というよりも!

          梅蘭芳、芥川龍之介、そしてこれから

          上海は中国大劇院と蘭心大劇院。いずれも伝統ある劇場です。かつて京劇のスーパースター、梅蘭芳の演技を芥川龍之介が鑑賞した劇場でもある。 中国大劇院では、世界コメディフェスティバルが行われている最中。初日と二日目のトップバッターとして日本代表のコメディがライブで上演されました。700席ほどの劇場はほぼ満員。しかもほとんどが中国人のお客さんでした。さすがにライブの新喜劇は吹き替えできません。字幕で対応していましたが、笑いのツボが中国の観客に伝わるのだろうか? 杞憂でした。まさに

          梅蘭芳、芥川龍之介、そしてこれから