美しさは多面的

25歳はお肌の曲がり角などと言い古されているけれど、実感を伴って兆候が表れ出すのは27歳ごろのように思う。例に漏れず、わたしも27歳でいわゆる若い女の子ではなくなりつつあるのだと感じた。若さを失うことは、美しさをひとつ手放すことだと思っていたので、ひどくおびえた。

当時、わたしは猛烈に整形がしたかった。わたしの右目の下には脂肪によるふくらみがあり、それが影になる。毎日毎日美容整形外科のサイトを見ては、脱脂法がいいか?再生治療は?などと思い巡らせ、費用やリスクに悩んでいた。結局、整形はしなかった。健康診断の採血すら泣くような女には、そもそも麻酔の段階で到底無理だった。それに、仕事を通して美しさとは若さや顔の美しさのことだけではないということを圧倒的に知らされてしまったのである。

仕事柄、モデルをオーディションすることがある。当時は撮影案件が重なっており、コンポジ段階で400人、オーディションでは100人程のモデルを見た。年齢は20代~60代と様々だったが、モデルとだけあって顔立ちが美しい人ばかりだった。

でも100人もオーディションをしてみると、印象に残る人というのは意外な人であることが多い。みなそれぞれ美しいのだけれど、コンポジはぱっとしなかったけど一応見とく?というような人が深く印象に残ったりする。

まず表面的なところをいえば、顔立ちだけでなく身体のバランスも関係する。さすがに太っている人はほとんど見かけなかったが、こちらが心配になるほど不健康に細すぎる人は多かった。どんなに美しくてもぎすぎすしているようで、早々に選考から落ちた。

次に、立ち居振る舞い。姿勢や身振り手振り、声の高さ、トーン、スピード。これらが人に与える印象というのは大きい。美しく伸びた姿勢、適度な手の動き、声は高すぎずゆっくりとわかりやすく話す。そんな人がオーディションの最終に残った。もちろん案件によっては身振り手振りがオーバーで、カジュアルに話し、テンションの高い人が選ばれることもあるけれど、当時の案件は「美しくて上品」というキーワードで動いていたので、よりそういう人を選んでいた。

最後は、やはり内面だった。外見は内面の一番外側というように、内面の豊かさが外見に滲み出ている人がオーディションに合格した。

美しさは、若さや顔立ちだけじゃない。わたしは仕事を通して美しさとは何かを考え直したのだった。


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愛してるぜ
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ユカ

某広告代理店のコピーライター兼プランナー。日々の記録。長い文章を書くリハビリです。evernoteに残していたメモがベース。記憶に自信がないので結果的に少し脚色しています。愛されることを生業としたい。
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