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天体観測

今回は星座のお話です。

Q1 あなたの知っている「星」の名前をあげてください。

という質問をされたら多くの方は

 地球
 太陽
 月
 土星
 金星

など太陽系の星が真っ先に浮かんできて、
詳しい方であれば

 スピカ
 ベテルギウス
 アルデバラン
 シリウス
 デネブ
 アルタイル(彦星)
 ベガ(織姫)

などなど、代表的な1等星を答えてくれるでしょう。
極めて少数の意見としてはショートショート好きの方による
新一
いう意見もあるやもしれません。

***★***

Q2 あなたの知っている「星座」の名前をあげてください。

この場合は、

 おうし座
 おとめ座
 かに座
 いて座
 さそり座

と自分の生まれた星座をはじめとした黄道十二星座が真っ先に浮かんできて、
詳しい方であれば

アンドロメダ座
オリオン座
カシオペア座
ケンタウルス座
ペルセウス座

など国際天文学連合による88星座を思い浮かべることでしょう。
人によってはギリシャ神話や『聖闘士星矢』を連想する方もいるでしょうし、さらには『北斗の拳』の北斗七星も連想の対象として引っかかってくる方も多いはずです。カシオペアからゴレンジャーを思い出した戦隊物のオールドファンももしかしたらいらっしゃるでしょうか。

「星」と「星座」について軽く思いを巡らせたところで次の質問に移りましょう。

***★***

Q3 「星」と「星座」の違いはなんですか?

この質問はある意味とらえどころがなく答えはいくつでも見つかります。

これはわたしなりの考え方です。
物理の素養はないので正解なのかどうかは分からないという前提で聞いてください。

「星」は物質、物体であり、「物」として存在している。
「星座」は星の集合体であるが、物としては存在しない「概念」。

星=物
星座=概念

同じように見えてまったくの別物。

138億年前に発生したビッグバンを起源として宇宙が生まれ、同時に星も生まれました。だから星は宇宙のはじまりと同じ歴史を持っています。

一方星座は、人類が天体をキャンバスにしてそこに浮かんでいる星々を線で結び絵を描いたものであり、天体に浮かぶ恒星(発光している星)の一群を神話の登場人物や動物や物質の形態に見立てて当てつけた想像の産物です。
それを最初に行ったのは今から約5000年くらい前のシュメール人やアッカド人と言われており、いわば文明の歴史と共に発展してきたと言えます。

星座として構成された星々は遠目に見たら近接しているように見えますが、実際の距離はそれぞれ何光年も離れていて、空間的にはまとまりがなく、ゆえに別の星から見たらまったく違う輪郭を持っています。
人間の想像力が本来ありえない物同士を結び付けその距離を埋めているのです。

***★***

ここで先ほど軽く触れた北斗七星の話に戻りましょう。

北斗七星とは「おおぐま座」の腰からしっぽの部分にある7つの星の総称で、それぞれ
 ドゥーベ
 メラク
 フェクダ
 メグレズ
 アリオト
 ミザール
 アルカイド
という名称を持っています。

「北斗七星」の圧倒的知名度と比べてどの星もマイナーであることに驚きます。
※ちなみに北斗の拳で言うところの死兆星は「アルコル」という4等星で名称は違えど実在する星です。

逆を言えば、7つの星のどれとして有名ではなく個性もないけれども、それが7つ集まり物語ができあがり「ひとつの集合体」として認識された(こじつけられた)とたん、強力な磁場となって世界中で、時代をまたいで多くの人間の心を幾度となくノックし続けてきたのだと言えます。

マンガ「北斗の拳」もそのひとつで、紛れもなく星座「北斗七星」から派生した物語であり北斗七星がなければケンシロウもラオウもCR北斗無双も生まれることはかなわなかった。そういう意味では原作者は武論尊ではなく最初に「北斗七星」を発見したどこかの誰かさんと言っても過言ではありません。

こうやって、人間の想像力が星と星のあいだに横たわる何光年何万光年という距離を繋ぎ、無数の物語を紡ぎだしてきました。

なかには「こいぬ座」なんて言う2つの星だけでできた、どんな風に脳が回転すれば思いつくのか理解不能な星座もあるほど人間の想像力は無限大です。小宇宙を感じます。

ちなみにこの「こいぬ」ギリシア神話によると飼い主を喰い殺してしまったそうですよ。

そんな「こいぬ座」ではありますが実はあなどれない小犬ちゃんでありまして、オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウスにこいぬ座のプロキオンを加えた3つの星が「冬の大三角」というおしゃれなネーミングで呼ばれていたりして、結構有名だったりします。

「星」と「星座」の持つ関係性をなんとなく共通理解できたという前提で次に進みます。

***★***

Q4 あなたは「星」、あなたの所属する組織は「星座」だとします。それは何座ですか?

と、急に問われても面食らいますよね。

ここでいう星座は人間関係と言い換えてよいでしょう。

例えばAくんとBさんという一組の男女がいたとします。

ふたりの関係ははたから見れば
①夫婦、②恋人同士、③同級生、④兄妹、⑤不倫関係などなど無数の関係が想像できます。

関係の結び方によって織姫と彦星の純愛物語、失楽園的な不倫物語、エースをねらえ!的なスポ根ドラマ(たとえが古くてスイマセン)・・・と無数のルートへと物語は枝分かれします。

人間の想像力は本来存在しないものに輪郭を与えます。
実際の関係がどうであれ、当人同士の思いとは関係なく、社会的にそうみなされ勝手に独り歩きすることも日常茶飯事です。
関わる人間が多くなればより一層その傾向は強くなるでしょう。

あなたに結びついているあらゆる関係性がどんな輪郭を持っていて、何に似ていて、どんな呼ばれ方をしているのか?
遠い空に浮かべたらどんな風に見えるのか?
ハッキリとした形を持っているのか?
あなた自身がその中でどんな輝きをしているのか?
北斗七星のように影響力を示すことができているのか?

概念としてしかとらえられない自分という星の配置に思いを馳せ、それが何座なんだ、などと考えはじめると、なんだか訳が分からなくなってきますね。

それだけ自分を客観視するのは難しいのかもしれません。

とりとめのない話になってきました。

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