ハマるしかけメモ

ハマる仕掛け読んだので読書メモをまとめる

この本では、ユーザーが製品なりサービスなりの利用を習慣化するためのフレームワークが「フック・モデル」としてまとめられている。

そもそもなぜ製品・サービスを習慣的に利用してもらうことが大事なのかというと、広告や宣伝に頼ることなく顧客生涯価値を高めることなどが挙げられている。

前提として、習慣は「十分な頻度」と「目に見えた使いやすさ」とともに行動が生み出されるゾーンから生まれる。これは「ハビット・ゾーン」として紹介されている。

フック・モデルは「トリガー」「アクション」「リワード」「インベストメント」の4つからなるサイクルだ。

簡単にいうとユーザーはなんらかの「トリガー」により対象の製品/サービスに対して「アクション」を実行し、「リワード」を受け取り、「インベストメント」を求められる。

ユーザーは「インベストメント」をすることでユーザーがまた使いたくなるような何かが蓄えられたり、将来のトリガーが設定されたりする。

以下に詳しく書く。

- トリガー

「外的トリガー」と「内的トリガー」の2種類ある。

外的トリガーはユーザーに対して何をすべきかを外部から潜在的に伝える。これには「Paidトリガー」や「Ownedトリガー」などがある。

Paidトリガーはわりとそのまんまで広告や宣伝などである。主に新規獲得のための外的トリガーである。

Ownedトリガーはユーザーのスマホのホーム画面にアプリを置いてもらったり、そのアプリ経由で通知を送ってもらうことである。ユーザーが自分自身で設定するからOwnedである。これは主に継続利用のための外的トリガーである。

内的トリガーは、このフック・モデルで一番目指しているものじゃなかろうかというくらい重要なトリガーである。ユーザーのなんらかの感情をトリガーにすることである。

例えばInstagramなら「特別な瞬間を誰かとシェアしたい」という感情がアプリの起動を促す。

プロダクトはユーザのどのような感情と結びつくものかをしっかりと考える必要がある。

- アクション

設置されたトリガーによりユーザーはアクションを起こす。ただ、トリガーさえ置けばいつでもアクションを起こしてもらえるかというとそんなことはない。ユーザーがアクションを起こすかどうかの要因は以下の式で説明されている。

B(Behavior) = MAT

右辺はそれぞれ

M:Motivation

A:Ability

T:Trigger

である。本の中では携帯電話が鳴ったときのことを例にしている。

もし持ち主が電話に出なかったらそれは

話をしたくないセールスからの電話だったかもしれない(Motivationの不足)

携帯電話がバッグの中に埋もれていて取り出すのが難しかったかもしれない(Abilityの不足)

着信音が小さすぎて聞こえなかったのかもしれない(Triggerの不足)

で説明される。

- リワード

次にユーザーがアクションをするMotivationを高めるためにやる。また、後にユーザーにお願いするインベストメントを快く引き受けてもらうためにやる。リワードには3種類ある。

- トライブ(集団)

主に承認欲求を満たすようなリワード。Ingressみたいに何か集団でやるようなゲームでバッチや称号を与えることである。

- セルフ(自己)
達成感を与えるようなリワード、パズルとか。

- ハント(狩猟)
報酬をもらうこと自体ではなく、報酬をもらえるぞという期待に対して人は興奮するという修正を利用したリワード、InboxのメールアーカイブやTwitterのタイムラインが該当する。

これらのうちどれか1つは用意する必要がある。特にある行動に対して挫折しそうなところに設置しておくと効果があるとのこと。

- インベストメント

ユーザーがまたこの製品/サービスを使いたいと思ってもらうためにやってもらうちょっとした投資である。この投資は次回のトリガーになったり、ユーザーがよりその製品/サービスを魅力に感じてもらうための貯蓄になったりする。

貯蓄には以下の例が挙げられている

- コンテンツ/データ
iTunesの音楽データや、Linkedinのプロフィールデータ。

- スキル
その製品/サービスの使い方を習得すること。

- 評価
他ユーザーの評価。

これらはユーザーがよりその製品/サービスを魅力に感じてもらうための貯蓄になる。
書くと長くなるので省略するが、コミットメントのエスカレーションや認知的不協和を利用している。

また、次回のトリガーの設置例としては

- メッセージ

がある。別のユーザーの外的トリガーになるとともに、相手からの返信という外的トリガーの設置にもなる。

最後に、このフレームワークを適用する際に忘れていけないのは、これは「ユーザーのニーズを長期的に解決するプロダクトを作り上げるための」フレームワークであるということだ。

あくまでも繰り返しユーザーが抱える「問題」と「解決策」とを紐づけることで習慣を作り上げるのがフック・モデルである。

なぜこれを忘れてはいけないのかというと、「習慣」とは度がすぎると「中毒」になってしまう。このフレームワークはユーザーの行動を変容させることを目的としているため、悪用は良くない結果をもたらしてしまうからである。

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