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副産物楽団ゾンビーズってなんですか?

最近よく聞かれます。循環に興味のある学生たちがやっている楽団?捨てられちゃう楽器を鳴らしている楽団?副産物産店の新しいプロジェクト?全部正解だし、全部が少しだけ違います。

副産物楽団ゾンビーズは、2021年にはじまった活動で。その前身には、2017年に始まった副産物産店というアートユニットの活動があります。

左:矢津吉隆 右:山田毅 撮影:anmtenna編集部
ちなみに2023年現在副産物産店は足立夏子を加えて3人になっています。

副産物産店について

2017年に京都市立芸術大学の移転建築設計JVの中にいた美術家の矢津吉隆と山田毅によって始められたのが、副産物産店です。これはJVチームと共に新しい芸術大学の中にあるべき機能を模索していく中で生まれた、資源循環のための仕組みをベースに、前身となる活動として2人で始めたものでした。

作家が生み出す作品や製品を主産物としたときに、それらからこぼれ落ちるものを副産物とよび、それらを活用、循環させるような価値や仕組みについて考え、実践していくプロジェクトとして副産物産店は始動しました。

オンラインショップ、展覧会、ワークショップ、トークイベント、ポップアップショップの運営などなど、さまざまな活動の中で副産物の価値、可能性について模索してきたのです。

芸術大学の廃材置き場
多様な副産物

副産物ってなんですか?


副産物ってなんですかっていうのもよく聞かれますが、例えば木彫作家がいるとするじゃないですか。その人が彫刻を掘るときに、彫った木屑がこぼれ落ちるじゃないですか。そういうものを副産物と呼んでいます。それ以外にも使わなくなった道具とか、保管して置けなくなった元作品とか、実験尺火なども僕らは収集しています。そういうアートの副産物って非常に面白いんですよね。色彩が豊かで、そして素材も多様だったりします。

横浜NEWomanウィンドウでの作品展示

そういったものを使った作品や製品を作ったりもしている副産物産店の成り立ちや個々の活動については以下の記事をお読みください。

オルガンに出会う

そんなこんなで副産物産店の活動はさまざまなところへと広がっていったのですが、そんな折に京都市内の某施設で廃棄を待っているオルガンに出会いました。持ち主は市なんですが、市の持ち物って今個人に譲渡するルートがほぼないんです。なので、型番が古くなったり、余剰なものを整理整頓するときには捨てることしかできないという現状があり、何とも勿体無いと思ったのと共に、オルガンに最後の言葉ではないですが、音を出してあげる機会を作っても良いのではないかと思ったのが、のちのゾンビーズにつながる最初のきっかけです。

京都市内の某施設で廃棄を待つオルガン

オルガンを鳴らすことを考えた時に、京都市立芸術大学の移転予定地で、当時京都市立芸術大学の音楽学科の学生に演奏をお願いしました。その時に演奏してくれたのが、今のゾンビーズの中心人物でもある神林優美さんと高橋萌さんでした。そしてそれらをカフェにて展示、演奏会も行いました。それが「オルガンを鳴らす」です。

演奏:神林優美、高橋萌 撮影:山田毅


カフェでの演奏会
神林、高橋に加えて現メンバーの濱野萌々子が参加してくれた

ここでの制作を機に音楽家、音楽専攻の副産物に注目するようになります。そうするとさまざまな副産物に出会うことになります。例えばそれは大量に印刷される楽譜であったり、消耗品としての楽器のリードであったり、そして使われなくなったり、古くなった楽器であったりしました。

特に京都市立芸術大学においては、音楽のハイクオリティーな教育をおこなっていく中で、古くなったものや少し音の出なくなった楽器というのは使用しなくなるのが当たり前で、そういった中で蓄積されていった楽器たちとの出会いがゾンビーズを楽団にしようという想いへと駆り立てたのです。

そうして生まれたのが、副産物楽団ゾンビーズです。その名の通り、副産物楽器を使用した楽団です。ここにはいつか副産物楽器を使用してオーケストラで演奏を行いたいという想いを込めています。そしてゾンビーズというネーミングはアンデッド=まだ死んでいないという意味が込められています。

ゾンビーズの初演「ゾンビーズ演奏会」
出演:副産物産店、神林優美、高橋萌、濱野萌々子、小出大道、土方渚紗、森川歩美、佐々木大空 ほか

ゾンビーズ結成、そして最初の公演

初演は、2021年に副産物産店が行った京都市立芸術大学ギャラリーアクア「副産物産店の芸術資源循環センター展」でのゾンビーズ演奏会でした。そしてこのときに生まれたのがオリジナルソング「ゾンビーズのテーマソング」でもあります。ここで楽団名がつき、オリジナルソングも引っ提げて正式に副産物楽団ゾンビーズが結成されたのでした。

この時はまだロゴも何もなく。その後イラストレーターのヤマグチナナコさんにお願いして、ゾンビーズのロゴを作成してもらいました。

ゾンビーズロゴデザイン 制作ヤマグチナナコ

ちなみにゾンビーズというのは楽器たちの集まりでもあり、それを演奏する奏者は誰でも良いというような考えもあります。なので、楽団員を固定しているわけではありません。演奏はついつい奏者の方に目が行きがちですが、楽器に目を向けてほしい。音に注目してほしいという想いがそこにもあります。

では、どんな楽器を使っているのでしょうか。それはまた次の時に。


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