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つかって♨️いいとも!寺島浴場さん(東向島)

「銭湯が好きなんです」と言うと、よく「おすすめの銭湯ってどこですか?」と訊かれるんですが、これって地味に答えるのがとても難しい。

相手が「銭湯ってなんかレトロで素敵」と思ってるんだったら伝統的な建築の銭湯をおすすめしたいし、「いろんなお風呂が好き」だったら薬湯、バイブラ、温泉、電気風呂などいろんなお風呂を備えてる銭湯をおすすめしたいし、その人がどこに住んでいるかによっても変わってきます。

なんて話を、東京都浴場組合公認の銭湯ライターの林田紗央莉さんと話していました。彼女は生粋の銭湯好きです。10/1に実施された銭湯サポーターフォーラムに参加した帰り道の出来事でした。

だから、紗央莉さんには「おすすめ銭湯」を訊くかわりに「今、一番ハマってる銭湯はどこですか?」と質問してみました。この質問なら、純粋に今自分が気に入って通ってる銭湯を答えられるから簡単。果たして紗央莉さんの答えは「東向島の寺島浴場さんです」。訊けば、この寺島浴場さん、サウナにこだわっていて、セルフロウリュができるというじゃありませんか。

ロウリュというのは、サウナストーブのサウナストーンに水をかけて水蒸気を部屋に充満させ、湿度を上げ、体感温度も上げることにより発汗を促すフィンランド式の入浴法です。タイマーで自動で水が出てきたり、お店の人が柄杓でかけたり、やり方は様々。かける水にいろんな香りのアロマを仕込んだりして楽しむのですが、セルフロウリュとはサウナストーンの横にお水を入れたバケツと柄杓が置いてあって、その水をかけるのを自分でやれちゃうってことです。

水道橋のスパラクーアで、セルフロウリュはドキドキしながらやったことがあります。水をかけるとジュワッという音と共にムワッと水蒸気が上がり、一気に体感温度が高くなります。湿度を上げた空気を室内で循環させるためにタオルを振り回したりもしますが、静謐な空間でじんわり上がっていく温度と湿度を全身の五感を駆使して感じるのは、普段あまり身体を意識せず、脳ばっかり使ってるなあという自覚がある私にとってはとても新鮮で心地よいです。

それが、普通の銭湯でできちゃうのは、あんまり聞いたことがない!それは是非行ってみたい!その時我々はもう一人の素敵な銭湯友達、かよこさん(彼女は東京中の銭湯を制覇して、東京浴場組合から表彰された達人です)と三人で、蒲田で羽根つき餃子(とビール)を堪能していたのですが、「じゃあ今からその寺島浴場さんに行ってみよう!」となってウキウキしながら会計を済ませ、電車に乗りました。このフッ軽な感じ、脳みそにストッパーがない感じ、「磯野ー!野球しようぜ!」な感じ、大好きです。

京急蒲田駅の近くにいたので、そのまま都営浅草線直通で京成線に乗り入れ、乗り換えなしで京成曳舟駅に到着。そこから歩いて12分ほどで寺島浴場さんに辿り着きました。ちょうど隅田川と荒川に挟まれた場所にある東向島からは、スカイツリーも見えますし、向島百花園といういろんなお花が楽しめる庭園もあり、素敵な土地でした。さすが、私が好きな幸田文さんを生んだ土地!

スカイツリーを撮ろうとしたら、Get Wild風写真になった。

寺島浴場さんはビル型の銭湯で、入って右側が男湯入口、左側は女湯入り口です。脱衣所も空間があり、大型の爆風扇風機の前にインフィニティチェアが設置されていました。なるほど、水風呂のあとの外気浴はここでできるのね、ふむふむ。

はやる気持ちをおさえて服を脱ぎ、お風呂場に入るとブルーが基調の室内が落ち着く雰囲気で、ジェット、バイブラ、森林浴風呂スペースに続く通路を挟んで高温風呂と水風呂が一列に並んでいます。紗央莉さんから「森林浴風呂がおばあちゃんちに行ったみたい」という謎の事前情報を聞いていて「はて?」と思っていたのですが、入ってみてなるほど、と思いました。石造りの露天風呂スペースにはいつまでも入っていられそうなぬる湯に電気風呂と座って入る岩盤浴スペースがしつらえてあるのですが、空間全体に漢方薬のようなほのかな香りの空気が漂っていて、それが森林浴効果のあるお風呂なんだろうなと思うのですが、その香りが何となく郷愁を感じさせるのです。紗央莉さんが言ってたおばあちゃんちってこれのことかぁ〜と思いながら深呼吸していました。

室内に移動していざ、サウナ。室内は3人入れば満室のこじんまりスペースですが、ギンギンに温まっていて、というか熱していて、温度は100℃越えています。入り口横にまだ新しそうなストーブがあり、横にセルフロウリュのバケツと柄杓が置いてありました。壁には15分の砂時計が設置されていて、これが落ち切ってからロウリュするルールになっているようです。砂時計が半分まで粘ろうと思ったのですが、だくだくに汗が出てきて多分5分くらいでサウナを出ました。すぐ横にシャワーがあるので汗を流して水風呂へ。きんもちいいー!身体と水の境界線が溶けて、自分が水と一体化してるんじゃないかと思う錯覚に陥りました。その後の休憩も最高ofベストでした。

私たちが伺ったのはちょうど夕ご飯どきだったので、他のお客さんはほぼいなかったのですが、上がろうとするタイミングで段々いろんな年齢層のお客さんが入り始めて、ああ、人気の銭湯なんだなーと思いました。

気持ちよさを味わいながらお店をお暇すると、帰り道にとっても気になる街中華のお店が。夜遅かったのでもう閉店していましたが、いつも店先のカウンターで肉まんを売っているそう。気になる!また寺島浴場さんに伺う時は、ここと百花園はセットで来ようと心に誓いました。

誰かのおすすめに乗っかって突撃しちゃうのって銭湯以外でも時々やってみるのですが、選択基準が自分の視点にないことが多いので新鮮で、大抵楽しいです。

いろんな人の個人的おすすめ銭湯に突然ゲリラ的にお邪魔しちゃう極私的企画「つかって♨️いいとも」、これからも続けていこうと思います。紗央莉さんありがとう〜。いろんな人のイチオシ銭湯、行ってみたい!

寺島浴場さん入り口(一番奥右手)
東向島の夜に凛と佇む看板の光

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