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英語の基本日記

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英語関連の話題について書いています。英文記事の紹介とか、文法の話とか、使える英語フレーズなどです。ちょっと高度かもしれませんが、どうか気楽にお読みください。
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記事一覧

イスラエル軍のガザ侵攻 背景に<悪の国際的連鎖>

イスラエル軍のガザ侵攻 背景に<悪の国際的連鎖>

イスラエルの地上軍がガザ地区に侵攻する時が近づいている。

パレスチナ問題は長くて複雑な経緯があるので、われわれにはなかなか理解がむずかしい。

中東に近い位置にあり、歴史的にも関係の深いヨーロッパ諸国でも、「監獄」と呼ばれてきたガザ地区の状況について関心が薄れているという。

今回のハマスによる過激な行動の背景には、そういう国際的な関心の低下をなんとかしたいという気持ちがあるのかもしれない。

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「こだわってます」は "We never compromise on it."

「こだわってます」は "We never compromise on it."

「こだわる」を和英辞書で引くと、worry too much about … とか be obsessed with… といった英訳が載っている。

でも、これだと日本語の「こだわり」の積極的なニュアンスが伝わりにくい。

イギリスのインターネットラジオで聞いたコマーシャルに、

We never compromise on it.

というセリフがあった。

compromise は、com

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"contempt of Congress" (議会侮辱罪) of が「〜を」を表すとき

"contempt of Congress" (議会侮辱罪) of が「〜を」を表すとき

最近の New York Times の速報に、トランプ政権の顧問の一人が、議会からの召喚に応じなかった罪で起訴されたというニュースがあった。

この罪は<議会侮辱罪 contempt of Congress>と呼ばれる。

この表現は contemn Congress (議会を侮辱する)という意味関係をあらわしており、 of は日本語の「〜を」にあたる役割を果たしている。

これを「議会の侮辱」

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「本気」は "see it through"、「本物」は "real"

「本気」は "see it through"、「本物」は "real"

ロシアのウクライナ侵攻について、いい記事があった。

今年3月3日付、侵攻初期に発表されたものだが、プーチンが「本気」であることを指摘した内容になっている。

ここで「本気」は、 see 〜 through と表現されている。

すべてを見届けるということから、徹底的にやる気だという意味になる。

最後の箇所で、プーチンは ウクライナが real だと思っていないとある。

real でないとは、

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ヨーロッパにとってのウクライナ侵攻は、アメリカにとっての9・11事件にあたる

ヨーロッパにとってのウクライナ侵攻は、アメリカにとっての9・11事件にあたる

最近、ロシアのウクライナ侵攻についてのコメントで光っているジャーナリストに、Julia Ioffe という人がいる。

彼女はロシアに留学したことがあるアメリカ人で、複眼的な視点をもっているところがユニーク。

これはロシアによる侵攻から間もない3月3日の彼女の記事だが、いま読んでも参考になる内容を含んでいる。

とくに、ウクライナ侵攻はヨーロッパの人々にとって九・一一事件のような衝撃だったのだと

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ウクライナ関連  情報ふたつ

ウクライナ関連 情報ふたつ

ロシアのウクライナ侵攻に関する情報をふたつ紹介したい。

ひとつは、プーチン大統領が黒海沿いの巨大な敷地に「宮殿」を所有しているという、ドローンによる映像つきの報道。

https://www.youtube.com/watch?v=MAPkNRmXQvc

プーチン氏が便宜をはかった業者などが建造したものといい、カジノや劇場まであるという。

これに似た例として、ルーマニアで15年間大統領の地位

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2014年クリントン演説の三大ジョーク

2014年クリントン演説の三大ジョーク

ずいぶん前のことだが、2014年の民主党大会で、クリントン元大統領がオバマ大統領の応援演説に立った。

クリントンは声が枯れていながらエネルギッシュ、目つきや両手の動きがどこかセクシーで、人好きのする人物である。

この演説でクリントンが飛ばしたジョークを、三つメモしておく。

ジョーク ①

赤ん坊の政治家がトンカチでも持って丸太小屋を作っているような様子が浮かぶ。

ジョーク ②

なるほど、

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タマゴとニワトリ なぜ the があるか

タマゴとニワトリ なぜ the があるか

<ニワトリが先か、タマゴが先か>というユーモラスな問題があるが、あれは英語で、

といえばいいようだ。(ウィキペディア)

お気づきと思うが、英語では chicken にも egg にも、最初から the がある。

「2回目に出てきたら the をつける」というような俗説からみれば、ちょっと理解しにくいのではないだろうか。

これは、概念の世界で(つまり常識的に)ペアになっているもの、トリオに

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for a man か for manか 月面着陸のアームストロング氏の名言をめぐる冠詞騒動について

for a man か for manか 月面着陸のアームストロング氏の名言をめぐる冠詞騒動について

1969年、アポロ11号が月面に着陸。

最初に月面を歩いたニール・アームストロング氏(2012年死去)の名文句を覚えている人は多いだろう。

「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」

この言葉、じつはアメリカでは長年の論争になっているという。

論争の焦点は、「アームストロング氏は文法の間違いを犯しているのではないか?」というもの。

http://edition.c

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「それでいいのだ」は  "and you benefit from it."

「それでいいのだ」は "and you benefit from it."

YouTube のコメント欄にはいろんな言語の投稿が並んでいて、グローバル時代を実感できる。

https://www.youtube.com/watch?v=GbmsUw0-Ogw

ここでグールドのイタリア組曲が聴けるのだが、これへのコメントに、次のような英語の文があった。

ここには、われわれにも使えそうな表現がいくつかある。

「だからこそ、良かった」 … and benefits fro

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「まっとうする」は "live out" アメリカ建国の理念とキング牧師の思想について

「まっとうする」は "live out" アメリカ建国の理念とキング牧師の思想について

キング牧師の思想について、TIME に記事がでている。

キング牧師は、人間の平等というアメリカ独立宣言や合衆国憲法の理念に訴えたと思われているが、同時に、彼はアメリカ独立宣言や合衆国憲法の理念がもっている問題点にも気づいていたというのである。

問題点のひとつは、アメリカ合衆国の独立を果たした13州は、すべて奴隷制度を合法としていたことである。この事実は、合衆国の独立が白人優越主義と合体していた

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「千の風になって」の原詩と訳詞  翻訳はひとつの創造

「千の風になって」の原詩と訳詞 翻訳はひとつの創造

「千の風になって」は世界的に有名になった詩で、日本でもヒット曲になった。

新井満氏の訳詞は、こう始まる。

日本語では、「お墓の前で泣く」という表現がしっくりくる。

ところが、Mary Elizabeth Frye 作とされる英語の原詩は、

となっている。

at は物理的・心理的な居場所を指定する語で、必ずしも「前」ではない。

しかも、 stand だから、原詩では立って泣いている。

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なぜ英文法は100年以上変わっていないか

なぜ英文法は100年以上変わっていないか

現在、日本などで教えている学校英文法(冠詞とか代名詞とか不定詞とか五文型といった文法の説明の仕方)は、100年以上前にイギリス人が原案をつくり、多少変更されながら今日まで使われているものである。

私は、英語の習得がここまで苦しいものになる一因は、古くさい英文法にあると考えている。

英文法に変化がないもっとも根本的な理由は、言語学が表面的な形態論や、言語とはお門違いの脳生理学や認知論に足をとられ

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「論外」に "out of question" は、なぜまちがいか

「論外」に "out of question" は、なぜまちがいか

「論外」「話にならない」「絶対不可能」は、out of the question というのが普通で、out of question というと片言っぽくなる。

ジーニアス英和大辞典は、わざわざ「out of question は不可」と注記して、

Without a passport, leaving a country is out of the question. (パスポートなしで出国はで

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