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【コラム】 「おばあさんは川へ洗濯に...」 心の場面はthe の枠となる(具態)

the は、統体(名詞)が話し手の心の場面に、すでに定着しているという態を表す。

定着するにはなんらかの場面が必要である。

桃太郎(Peach Boy) のお話は、こういう文ではじまる。

Once upon a time, there lived an old couple in a small village.  One day the old wife was washing her clothes in the river.

"a small village" のように、われわれの心に浮かぶ場は、たいてい上下左右、奥行きがあり、時間が流れていて、しかるべきものがすでに定着している構造体である。 "a small village" という概念を枠としてみた場合、そこに以前から川があって定着していてもおかしくないから、"the river" と述べるのである。

文中の an old couple も、「老夫婦」という男女からなる構造体である。「夫婦」という構造体で「妻」は概念上、当然唯一のものとして存在するはずなので、"the old wife" と言うのである。

話し手の心の場に当然あるはずのものには、はじめからthe をつけて、それが定態をもつ(すでに定着しているという態をもつ)ことを表す。それが英語の自然なマナーになっている。


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