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アメリカ英語の発音は、シェイクスピアのころの英語を保存している

アメリカ英語の発音は、17世紀のイギリス英語の特徴を残しているといわれる。

17世紀のイギリス標準発音と共通する、現代アメリカ英語の特徴をメモしておこう。

■つづりに r があればかならず発音すること。(現代のイギリス発音ではつづりの途中や終わりのrは発音しなくてもよい)

■dictionary, cemetery, secretary などは第三音節に第二強勢がある。(現代のイギリス発音では第二強勢がなくアクセントは第一音節のみ)

■when, where などの語頭音が/hw/となる。(現代のイギリス発音では/w/が多い)

■half, past, path, dance の母音が/ae/となる。(現代のイギリス発音では/a/でよい)

■stop, rob などの母音が/a/となる。(現代のイギリス英語では/o/に近い)

(安井稔『英語教育の中の英語学』大修館書店、1973年、109‐111頁)

これをまとめた安井氏は、「少し大胆な言い方をするなら、アメリカ発音に現在見られる特徴はすべて古いイギリス英語のなごりであるといってもよい」と述べている。110頁。

17世紀といえば、メイフラワー号 the Mayflower の102人がアメリカ東海岸に到着したのが1620年。シェイクスピア(1564‐1616)が亡くなってから間もない。そのころの英語がアメリカ大陸の標準英語になったわけだ。

文化の中心から離れた辺境地帯ほど古い言葉が残るというこの話、柳田國男の方言周圏論さながらだが、政治システムについてもアメリカは古代ローマ帝国に似ているといわれることがある。(大統領は皇帝、上院は元老院、州は属州)

一見モダンにみえるアメリカという国は、他面では古い物を集めた博物館みたいなところがある。


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