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ラテン語の修辞テクニックは英文ライティングに活きている おわり

現代英語にひきつがれたラテン文の修辞法のうち、よく知られているのは、倒置、強調、省略、挿入、同格の五つ。現代の英文法書でも、これらは「特殊構文」という部分で解説されている。

高度な英文は、これらの修辞法を自在に駆使して格調と明快を演出し、心地よいメロディーのような重層性とリズム感を実現する。

ちょっと古いが、たとえば TIME の金正日死亡の記事をみると、挿入や同格によって長文化させながら、省略によって簡潔化する技法を駆使している。

But the ridicule could not conceal that North Korean leader Kim Jong Il, who died at age 69 on Dec. 17, was able to maneuver his small, totalitarian nation into a force that compelled deep concern and even fear from among the world's powers. He did so at a great cost to his people, millions of whom died in famines in the 1990s and hundreds of thousands who are enslaved in prison camps.

http://www.time.com/time/world/article/0,8599,2102768,00.html#ixzz1gzRXzlkO

われわれがきちんとした英文が書けない読めないとしたら、その原因のひとつはこのような伝統に裏打ちされた修辞法に習熟していないことにある。

「文体のないところに文化はなく、ヨーロッパの文化のエッセンスはラテン語の文体に凝縮されている」(逸身前掲書、v頁)

外国語を学ぶことの意味は、価値ある文体すなわち<精神の姿勢>を身につけることにあるのかもしれない。


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