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🔳 3-5 <~ing, to~, 接辞> 概念は変成する(変成)

英語には、既存の語を変形して別の概念へと転換する定形がある。

日本語では、「黄色い」に「の」をつけて「そこの黄色いの、ちょっと取って」などと、形容詞が名詞として使えたり、「合格」に「不」をつけて「不合格」とすると反対語ができる。

英語でも、こうした形態付加によって概念の転換をおこなう。これを「変成」と呼ぶことにしよう。

変成によって、英語の概念構成(体、態、解を中核とする概念全体の構成)を崩すことなく、新しい概念が創造できる。

英語の変成には、おもに次の三つの形態がある。

① ~ing 変成      動態(動詞)に~ing を付加することで、体(名詞)概念に転換する変成。いわゆる 動名詞で、この方法でたくさんの体がつくられている。~ing 変成による体(名詞)は、「みんなが〜しているということ」といった超回性(いろいろなところで、いろいろなかたちで、無数の回数行われているという性質)をもち、定形性がないため、個別態 a/-s をとりにくいものが多い。もっとも、そうした行為の結果できた有形物(構造体)を指すときは、a/-sとなる。skiing,  reporting,  coughing,  writing(s),  reading(s)

to~ 変成    動態に to~ を付加することで、体、状態、様相へと多角的に変成する。いわゆる 「to 不定詞」である。文中での働き方は多彩だが、to~ 変成に共通していえることは、語源的に共通する移動の立解(前置詞)to から感じられるように、 「これから〜に向かう」という未着手のニュアンスがあることである。この点で、「すでに〜している」という着手のニュアンスがある ~ing 変成と対照的である。

接辞変成  接頭辞や接尾辞(あわせて接辞という)を付加して別の概念をつくる。

・接頭辞による変成     反対語や変種の概念をつくる。接頭辞は概念のカテゴリーじたいは変更しない。

反対語をつくる接頭辞    unkind,  dislike, 

変種をつくる接頭辞    overcome,  underestimate,  transparent 

・接尾辞による変成    接尾辞は、概念のカテゴリーを変更する。接尾辞が類を表し、残りの部分で種(類のなかの細分)を表すという関係になる。代表的な例をあげると、

-ion   おもに動態(動詞)に付加して、反復体をつくる。 election, decision

-ness   おもに状態(形容詞)に付加して、分類体をつくる。  freshness, business

-ly        おもに状態(形容詞)に付加して、様相(副詞)をつくる。beautifully,  generally        また、friendly のように、体を状態(形容詞)化する例もある。accordingly は、~ing 変成に接辞変成 ーly を重ねた二重変成である。

なお、英語では、walk や run のように、接辞の力を借りず、動態の形態のまま体としても使える語がある。これは形態変化をともなわないので変成ではなく、既存の概念形態の、別の概念への転用である。

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