4-1-2 構解のなかに構解を収納する(構相)
トランス・グラマーでは、文の型を構解という。
構解のなかには、小さな構解を埋め込むことができる。
それは、机に小さな引き出しをつくって収納することに似ている。
たとえば日本語で、「私がしたことは良くなかった」というのは、「私がした」という中身を、「こと」という引き出しに入れている。
これは英語なら、”what I did" となる。英語では、"what" という引き出しを開けると、 "I did" という内容が見えるという構造になっている。
「私がしたこと」とか ”what I did" のような<文のなかの文>を、構相(こうそう)と呼ぼう。
日英で表現の順序はちがうが、引き出し構造(構相)を利用するところは同じである。
構相は、凝縮された高い表現力を発揮する。
「あの人が言ったことは覚えています」のように、構相で表現できる外国人の日本語は初級の域を超える。
同じように、”I remember what he said.” のように構相が駆使できれば、英語のレベルはワンランク上がる。
構相には、三種ある。
① 体相当の対象を話し手が臨体で表現したあと、あらためてその体の内容を構解にして述べる。いわゆる「従属接続詞」をつかうタイプである。
that, when ... +構解 疑問接続詞 なお、thatはしばしば省略。
②文中の概念を話し手が受け直した臨体が、次の文の一部となる。いわゆる「関係詞」をつかうタイプである。
このタイプでは、概念のつながり方向が、いったん元のほうにもどる。
関係副詞なるものは、もと臨体。様相ではないので、関係代名詞と元は同じ。
③文中の体を話し手が引き受け直すが、そのことはさしあたり表現せず、次の構解のなかの体を省略する(空位の体の桁をつくる)ことで表す。
このタイプでも、概念のつながり方向が、いったん元のほうにもどる。
たとえば、
That's the point we negotiated ■ yesterday. (そこは昨日話し合ったところだ)
この文で、negotiate の次に目的語がない(ゼロサイン)ことが、その目的語が前にあった the point と同じものであるというサインになっている。
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