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【インタビュー和訳】CNBLUE ジョン・ヨンファ / Rolling Pod

こんにちは!
きっとX(旧Twitter)から飛んできてくださった方が多いのかな…?と想定して、挨拶は省略します(笑)
検索などから来てくださった方がいたら、ありがとうございます🙇🏻‍♀️
CNBLUEと、リーダーであるジョン・ヨンファについて少しでも知ってくれたら嬉しいです。

韓国のバンドグループCNBLUEのリーダー、ジョン・ヨンファが2023年9月にリリースした6年ぶりのソロアルバム『YOUR  CITY』の発売を通してバラエティ番組、YouTubeコンテンツ、学園祭の出演など多くのメディア露出がありました。

その中でも、韓国のポッドキャスト“Rolling Pod”にゲスト出演し、音楽評論家であるキム・ヨンデさんとの2時間にも及んで行われたインタビューが特に永久保存版!
…なので以前X(旧Twitter)に訳を載せたのですが、いつでも読めるようにしたかったのと、この先新しくBOICEになる方、CNBLUEやヨンファについて興味を持って下さった方にも読んで欲しいなと思って改めてnoteにまとめました。

かなり長いので、通勤・通学中や隙間時間などに少しずつ読んでくれたら嬉しいです。
そして、いいなと思ったらこのnoteを広めてください。泣いて喜びます(泣)
ヨンファさんの魅力が1人でも多くの人に伝わって、ヨンファさん、CNBLUEの夢の実現に少しでも近づいたらオタク冥利に尽きます🙇🏻‍♀️

ここからポッドキャストが聴けます。
ヨンファさんの声と共に読んでもらえると、より伝わるかと思います。

💙:ヨンファさん
🤍:ヨンデさん


コアなファンが多いジョン・ヨンファ?


🤍  本日のゲストはミュージシャン、ジョン・ヨンファさんです。

💙 こんにちは。ジョン・ヨンファです。

🤍 先ほどもスタジオ入りする前に話してたのですが、初対面なのに親近感が湧きます。

💙 僕もそう思います。

🤍 気まずさは全くなく、裏で雑談もしました。気になることがあるのですが、僕のことはご存知でしたか?

💙 もちろんです。昔から批評をよくしてらっしゃるのを見てました。TVで見てきたので直接お会いすると新鮮ですし親近感が湧きます。

🤍 僕がこれまでにヨンファさんの音楽に対してコメントをしたものや、SNSで言及した投稿を見たことはありますか?

💙 あります。ファンの方々が教えてくれることが多いので、たくさん見ましたしありがたかったです。

🤍 ヨンファさんはとてもファンが多いですよね。ライトなファンが多いアーティストもいますが、ヨンファさんの場合、マニアックで長いこと見守ってきたコアなファンが多いように感じます。

💙 僕もそう思います。なのでファンの方々に対して、よりありがたみを感じます。昔から僕のことを完璧だと思ってくれてる気がします。

🤍 それがプレッシャーに思う?

💙 プレッシャーというよりは原動力につながります。"もっと頑張ろう"って思わせてくれます。なので、いつも感謝してますし、(応援してくれてるのを)知ってるから努力できます。

🤍 例えば"自分はファンが思うほど偉大ではないのに、そういう風に見てくれるからさらに努力しないとな"って部分もありますか?

💙 ありますね。過大評価してくださってるなと感じることもあって、僕はそこまでじゃないのになと思ったりもします。ですが、それに見合うように活動しないとなって思います。辛い時にはとても力になるんです。10年以上経つので、より強く感じますね。

初めて味わう挫折と葛藤

自信に満ち溢れていたデビュー初期

🤍 これまで“天才作曲家だ”など言われてきたと思うが、この程度なら十分じゃない?と思ったことはありますか?

💙 デビュー当時は自信で満ち溢れていました。今思えば“なんでこんなに自信があったんだろうな?”と思うほど怖いものはなかったし、“自分が最高だ”とまで思っていました。ですが、活動をしていくうちに、物足りない点が見えてきて、完璧じゃないといけないという考えに縛られて新鮮味にも欠けていって、僕1人でスランプに陥ることも多かった気がします。

🤍 どんな時にスランプが来ますか?

💙 結果に拘ってる時です。音楽を出した時の成績。最初は“みんなが僕の音楽を理解してくれないんだ”と思っていたけど、だんだん“僕が間違ってるのかな?”と思うようになりました。僕が進んでる道が間違えてるのかなっていう悩みが数年続いていました。

🤍 いつ頃そういった悩みを抱えてたんですか?

💙 入隊前で、かなり長かったです。今思えば、そこまで考える必要なかったのになと思います。活動においてのスランプはなかったんですよ。でも、あまりにも成績に囚われすぎていたので、思い詰めてしまい方向性が見えませんでした。僕がやりたい音楽もあるし。僕は大衆の方やファンの方が気に入ってくれるような大衆性のある音楽が好きですし、そういう曲を作るべきだと考えてました。

🤍 大衆が好む音楽を自分ができればさらに良いということ?

💙 はい。僕がやりたい音楽と大衆性のある音楽の合致点を見つけようと以前から力を入れていました。僕の中での奮闘のような。大衆のためだけの音楽はやりたくないし、僕がやりたい音楽との合致点を見つけようと努力をしていくうちに迷路に彷徨った感じがしました。あれでもこれでもないなという気分。それが長く続いたんです。新しい挑戦をするには大衆の方に受け入れて貰えるかと悩みました。僕は演技やバラエティもやりますが、これに対して深く考えたことはありません。でも、音楽に対しては深く悩みました。除隊したら30代にもなるし、そういった考えはしなくなって、自分がやりたい音楽をできると思ってました。

🤍 入隊前は世界征服できるような?

💙 そうなんです。ですが、除隊して30代になったら考えにも整理がついて、自分の望む方向性に進もうと思っていました。ですが、いざ30代になってみたら上手くいかないんです。

🤍 以前のような悩みが続いてるんですか?それとも新しい何かができましたか?

💙 ふとした瞬間に辛くなるんです。過去の暗い自分の影に浸食される感じ。今も時々あります。

🤍 それは自分のアンデンティティがシンガーソングライターだからだと思います。自分が一般的なスターであれば、成功の可否は事務所が決めることじゃないですか。他人が作った曲を歌ってれば“もっと良い曲を提供して貰おう“ってなるけど、自作曲だと、他人も自分も気に入る必要があるじゃないですか。自分なりに大衆的にアプローチできる曲を出したと思ったのに反応がなかったり。

💙 そういう部分に対する葛藤が大きかったです。“僕は今何をしてるんだろう?”という悩みもありました。初めのうちは音楽を始めたのならビルボードに入るアーティストが夢だと言ってました。

🤍 ビルボード1位が目標だと言ってましたよね?

💙 そうです。常に口にしていました。

🤍 今もその目標は続いてますか?

💙 常に夢見ています。そういった目標もデビュー当初は絶対叶えられるという自信がありましたし、当時は口にしたことは全部叶ってました。新人賞や1位獲得など、僕がやりたいと言ったことは全部実現してきたんです。なので当時は、もし神様がいるとしたら僕を主人公に作り上げたんだなと思うほどでした。その頃は自信に満ち溢れてたんです。

🤍 完全に陶酔してたんですね

💙 そうです。あまりにも上手く進むので自己陶酔してました。ですが少し怖気付くこともあったんです。なので、当時は作曲を頑張っていました。夜中に仕事が終わったら、すぐに作業室に行って夜通し曲を書いて、1-2時間寝て、またスケジュールをこなして、、。
それが面白くて楽しかったんです。上手くいくと思ってたから。ですが、だんだん遠ざかっていく気がしたんです。

最高傑作『Can‘t Stop』と当時の心境

🤍 初めて経験する苦労だったんですかね?きっかけはありましたか?

💙 CNBLUEで『Can‘t Stop』という曲があります。韓国のバンド史上初のワールドツアーを周ったのちにリリースしました。今振り返るとヒットしたと思います。多くの方にも知ってくださっていて。ですが、当時の僕の中では10%も満たされなかったんです。自分では本当に傑作だと思ってました。

🤍 大衆性もあるし、ビルボードでも言及されてましたよね?

💙 反応もとても良かったんですけど、当時はもっとヒットすると思ってたんです。なので当時はそれが辛かったようです。その頃から以前のような肌で感じるような熱い感覚がなくなってきました。曲を出すたびにそういう感覚がなくなっていくのが辛かったです。面白みに欠ける感じ。そこから、デビュー当時は口癖のように言ってた「ビルボード歌手になりたいです」という発言をするのも恥ずかしくなってきたんです。

🤍 初期は失うものがないじゃないですか。駆け出しの時期だから全てがキャリアにつながりますよね。それが累積してきた時に自分の中の期待値に届いてないんですよね。

💙 そうです。なので、僕が自分の夢を話すことに対して現実性がないように思えて、プライドもあるからだんだん話さなくなりました。今回のアルバムの中で『나에게(note to self)』という曲があります。その曲の歌詞は当時を思い出しながら書きました。よく読んでた本があったけど、ある瞬間から片隅に置かれるようになって埃が溜まってきてる。かといって捨てることもできない。(自分の夢が)そんな本みたいだなという風に思ったんです。ですが、僕の中には常に残っています。

🤍 さらに高い目標や夢、抱負があるような?

💙そうです。常に持っています。ですが話しづらい瞬間がやって来て、それに対する様々な辛さが重なったんだと思います。

🤍 辛いということは諦められないということですよね?

💙 諦められないです。

🤍 口にすれば叶うと言ってましたしね。

💙 そうなんです。でも、口にしてきたからこそ前に進めたこともあるし、ファンの方は僕のそういった姿や過程を見て来ているので僕という存在に対して信頼を置いてくださっている部分もあるんだと思います。

🤍 彼が暗い道を進んで、悩みの末に出した音楽という経緯を理解してるんですね。

ヨンファは低評価の優良株?

🤍 僕が好きなアーティストには特徴があるんです。評判がよくない優良株。ご自身では成功したと仰ってますが、もちろんそうだと思います。でも僕から見ると、ジョン・ヨンファという人間はとても興味深いのに、いわゆる評論家の間ではまだ知られていないと感じました。その瞬間、関心を持ち始めたんですよ。“この子を後押ししたい“というよりは、多くのことを語りたくなるような。まだ知られていないから。
僕が思うにOne Fine Dayのアルバムを境目にCNBLUEやジョン・ヨンファに対する評論家の視線も…(変わるんじゃないかなと思う)。ご存知かと思いますが、最初の頃はCNBLUEや、ジョン・ヨンファに対する評論家たちの視線は冷たかったじゃないですか?
芳しくない出来事に巻き込まれて、音楽に対して評価を受けるべきなのにイメージ自体が悪くなってしまいましたよね。評論家はそもそもアイドルを好まないですが、そのダメージが重なった上に、ロックグループに対するイメージが余計そうさせたように思います。そういった部分についてはどうお考えですか?

💙 当時は辛かったです。ですが、先ほども話したように、当時は自信で溢れていた時期なので“いつかは受け入れてくれるだろう”と思っていたので怖くなかったです。むしろ未だにバンドに対して固定概念があるんだなと感じました。当時、僕たちはmaroon5のような方向に進みたいと思っていたので、後々CNBLUEが有名になって成功すれば納得するはずだと考えてました。

ソロデビュー曲『ある素敵な日』

ターニングポイントとなったアルバム

🤍 僕はヨンファさんに対して改めて興味を持ち始めて、ファーストソロアルバムを出した際にレビューをしました。当時、ジョン・ヨンファをソングライターという視点で見るというテーマで文を書きました。実際に感じたのは、彼はCNBLUEのジョン・ヨンファではなく、作曲家、プロデューサーとしての力量もあるミュージシャンだなということです。そのレビューがヨンファさんについて本格的に知っていくきっかけになりました。もう8年も経ちましたね。このアルバムが自身にとってもターニングポイントになったのでは?

💙 その通りです。音楽に対して右往左往していた時期に活気が戻ってきてたというような。作曲がまた楽しくなって、刺激になったアルバムでもあります。なので、当時は1番力を入れて作ったアルバムだと言及してました。『ある素敵な日』自体も一生懸命作りましたし、いつ聞いても名曲だと思います。僕なりのクラシックなアルバムや曲になって、ジョン・ヨンファという人物の基準となる本当に大切なアルバムです。

ボーカリストとして勝負したソロデビュー曲

🤍 素朴な質問ですが、なぜバラードだったんですか?イメージに合わないな?と思って新鮮でした。

💙 かなり悩みました。本当に多くのバラードが存在しますが、僕が歌うバラードは違うと思ってました。また、CNBLUEのジョン・ヨンファというと、"彼は歌も上手なの?"といった周りからの疑いの目もあったように思います。僕がソロとしてCNBLUEとの違いを見せるにはどうしたらいいかなと悩んだ時に“ボーカルとして歌を見せよう”と思ったんです。

🤍 ボーカリストとして正面から攻めたかったんですね。

💙 そうです。だけど、ありふれたバラードではなくて、僕だけの感性が込もった音楽になったかなと思います。

🤍 具体的に言うと?

💙 よくある後半部分で盛り上がるような型にハマった流れから抜け出して、ジョン・ヨンファが持つ音域や声色、そして段々と高潮していくような…。そして、聴き終わった時に“いい曲だ”と思うのではなく、“この感覚はなんだろう?”って感じるようなバラードが作りたかったんです。

🤍 そういう意図で作ったのなら成功だと思います。初めて聴いた時、“ジョン・ヨンファがこんなに単調な曲を作るんだな”と思ったんです。今もそうですが、それ以前もメリハリがはっきりしているパンチの効いた曲が好きなのかなと感じてました。ですが『ある素敵な日』は、良くも悪くものんびりした曲なので、ソロのデビュー作として出したのが意外でした。堅い感じもします。以前、公演でも1番好きな曲だと明かしていましたよね。

💙 1番好きな曲です。

🤍 それ以降、似たような曲はないように思います。

💙 作れないんですよ。作ろうと思うとできないんです。

『ある素敵な日』誕生秘話

🤍 当時はどこからインスピレーションを得て作ったのですか?頭の中で“こういう曲を作ろう”と意図して作ったのか、まさに『ある素敵な日』のようにある日突然降ってきたのか。

💙 ビビっとくることが多いです。普段はそういうタイプですが、『ある素敵な日』の場合は、バラードを作りたいという思いで始めました。ですが、バラードがお上手な方がすごく多いじゃないですか。バラードも多様なのでどういう方向性で進むか悩みましたが、とりあえずやるぞ!という気持ちでした。歌詞についてもどうしようか悩みましたが、よくある別れて切々とした気持ちを伝えるような内容は書きたくありませんでした。僕が別れを経験した時期でもなかったので。切ない気持ちで泣きながら歌うようなバラードはやりたくなかったんです。

🤍 日常に潜む悲しみのようなものを捉えたかったんですね。

💙 そういう歌詞を書きたかった時期なので、何があるかなと考えた時に、曲作りのためにチャムシルにあるソクチョン湖に行ったんです。そしたら天気も良くて“素敵な日”という感じがしました。そこから“ある素敵な日”というテーマが浮かんできて、それ以降はスラスラと書けました。歌詞を見ると“자주 거닐던 호숫가(よく散歩していた湖畔)”という歌詞がありますが、ソクチョンの湖のことです(笑)
年代別に違う解釈ができる曲だと思うんです。親世代や祖父母世代の方は昔を思い出せるし、同年代の方からするとラブソングにも聞こえる。そういう曲を作ろうと意識して歌詞を書きました。

『ある素敵な日』は『星の王子さま』のような曲

🤍 成熟した感受性が見えました。“어느 멋진 날 눈물 나는 날(ある素敵な日 涙がこぼれた日)”という歌詞自体が、これまで書いてきたラブソングとは違うと感じました。なので、本人が考えた時に、一生懸命作ったけどこの曲はイマイチだと思うのか、それとも上出来で今でも気に入っているのか気になってましたが、後者だったんですね。

💙 そうです。1番好きな曲です。

🤍 “그날 그날 그날…(あの日、あの日、あの日…)”という部分も特徴的ですよね。

💙 そういった箇所を意図して作りました。音楽は即席で作られるのも多いですが、この曲は『星の王子さま』のような曲だと思ってます。歳を重ねる度に解釈も変わる。今は30代半ばですが、40代、50代になった時に歌うとワインのようにさらに深みが増していい曲になるのではないかなと思ってます。なので、この先も『ある素敵な日』を超えるほど満足のいく曲を作れるかな?と思うほど愛情深い曲です。

🤍 そういったエピソードを聞くと、曲が聴きたくなりますね。その曲を当時歌った時と、最近歌う時とはまた違いますか?

💙 違いますね。

🤍 歌う時、テクニックを活かして計算しつつ乗り越えようとするのか、もしくは曲や歌詞に入り込んで歌いますか?

💙 曲by曲です(笑) コンサートでは体力配分をする必要があります。峠だと思うポイントに対して”ここさえ乗り切れば…!”という気持ちで歌っている曲もあります。一方で、『ある素敵な日』のような曲の場合、そういう歌い方をするとバレるんですよ。
上手く歌えたような気はしても、余韻が残らない感じ。僕がそう感じるほどなので、観客の方も気づくと思うんです。なので、気持ちを込めて歌う曲は、技術的な部分では間違えてもいいから、完全に入り込んで歌おうと努力をしています。

🤍 僕は歌手じゃないのでいつも気になってました。『ある素敵な日』も数えきれないほど歌っていると思いますが、歌うたびにソクチョン湖に座って歌詞を書いた感覚を活かそうとしていますか?

💙 努力してます。浮かんでこないときこそ思い出そうとしています。

🤍 それほど特別な曲なんですね。

俳優から始まったヨンファの芸能活動

🤍 ところで、なぜ俳優として先にデビューしたのですか?僕が1番好きなドラマの一つが『美男(イケメン)ですね』なんですよ。うちの妻も知ってます。とても面白かったので、当時はサブスクもなかったしDVDに落として見てたほど。事務所の計画だったんですか?

💙 2009年、当時は日本で路上ライブをしていました。インディーズ歌手のコンセプトというわけではないのですが、バンドとして活動するには通るべき道だと、たくさんの公演をして経験を積みました。

🤍 当時を振り返ってどうですか?

💙 辛いこともありましたが楽しかったです。血が騒ぐようです。学生の頃には学級委員長がクラスから1人ずつ選ぶのど自慢大会があったんですけど、毎回僕がやってました。選んでもらえないと落ち込みます。出しゃばるのが好きで、歓声を浴びることも好きでした。それもあってか、楽しかったです。

💙 事務所からの金銭的は支援はなく、それぞれの両親からの仕送りで生活してたので、その部分は苦しかったです。夏には自分でアンプとギターを運んで新宿駅でライブをしたり。体は疲れましたが、20歳のころで体力はあったからとても楽しかったです。観客はほとんど居なかったんですけどね。「韓国から来たのか」ってチラッと見て通り過ぎていくような。とても鍛えられまた。僕たちの演奏がイマイチだとすぐに去っていくんだなということを学びました。ですが、メンバー同士でセットリストを悩んだりした些細なことも楽しかったです。今思えば順番を変えたところで同じなんですけどね(笑)

💙 数か月そのように過ごしてたから、韓国が恋しくなるんですよ。家のご飯も食べたいし。そんな頃に事務所からオーディションの話を聞かされたんです。「他のアイドルも受けてるんだけどもう1人見たいんだって」と。なので何の期待もせずに、ただ韓国に行って美味しいご飯が食べたいという気持ちで日帰りで韓国に行きました。オーディションは挨拶して台本を少し読んだ程度でした。終わってから狎鴎亭にあるキムチチゲを食べました(笑) それだけで十分満足して日本に戻りました。そして次の日も路上ライブがあったので、いつも使っていたスタジオで練習をしてたら「明日すぐに戻って来い」って夜に連絡がきたんです。そこが僕の始まりでした。

🤍 それがきっかけでインディーズ活動から離れてメジャーな活動が始まったんですね。ドラマも大ヒットして認知度も上がりましたよね。

💙 そうですね。ドラマが終了してすぐ韓国でファーストアルバムを出しました。

デビュー14年目にして学園祭へ初出演

音楽番組か、学園祭か

🤍 最近の活動を見てみると特徴があるようです。学園祭に出演されてるようで。初めてですよね?映像もすごく多いです。なぜ急に出演を決めたのですか?

💙 今回のアルバムをリリースするにあたって悩みました。今まで通り出したところで何の収穫があるんだろう?と考えました。なので、ただリリースするだけでなく、何か一つでも得て意味を見つけようと思っていた時に音楽番組と学園祭のスケジュールが重なったんです。これまで学園祭や韓国のロックフェスティバルに1回も出演したことがなかったので、渇望する気持ちもありました。学園祭はオファーが来ないと出られないじゃないですか?上手いこと話が来たんですよ。

🤍 学園祭にはトップスターたちが出演しますよね。

💙 そうです。学園祭のオファーが来て、音楽番組とどちらかは見送らないといけない状況になりました。“音楽番組はたくさん出演したし、今僕に必要なことは何だろう?“って考えた時に、新しいジョン・ヨンファを大衆の方々に知ってほしいと思いました。

🤍 それは認知度?もしくは新しい一面を見せること?

💙 認知度というよりは、ファンの方は知ってても大衆の方が知らないジョン・ヨンファの姿をお見せすることが必要だと思いました。

🤍 それはどんな姿ですか?

💙 音楽に本気で向き合う姿、そして幸せに公演をする姿を直接見てもらえれば通じるものがあるという確信がありました。

🤍 ファンの方々はその姿を知ってますもんね。それを知らない大衆の人々にどう伝えるかが課題ですよね。言葉で説得することもできないし。

💙 そうなんですよ。バラエティに出て伝わることでもないですし。音楽番組やバラエティ番組、14年間で相当やってきましたが、直接会わない限りは伝わらないという結論を出したんです。なので、僕の方から歩み寄ることにしました。20−21歳の子達にも(音楽に対する本気の気持ちを)伝えることで、僕が間違ってなかったという確信を持ちたかったんです。それで学園祭を選びました。そうして成均館を皮切りに学園祭の出演が始まったんです。

30分で見せたジョン・ヨンファの魅力

🤍 準備段階ではどんなことを考えてましたか?

💙 セットリストを組むことに対してここまで頭を抱えたのは初めてでした。この曲を知ってるかな?あまりにも平凡すぎるのでは?収録曲をやるには違う気もするし、バラードもなんだかな…という感じで(笑) 相当悩みましたが、これで行くぞ!と決めました。

🤍 どんなセットリストにしたんですか?

💙 最初はCNBLUEのメドレーを7分でまとめました。初日に成均館大学で新曲と『私たち結婚しました』で歌った『パンマルソング』をはじめ、『You’re so fine』などを歌いました。そしたらかなり反応が良かったんですよ。本当にびっくりしたし、色々な想いが交錯しました。これまで学園祭に出られなかったことに対する悔しさもあって。ツアーが多いのでスケジュールが合わなくてずっと先延ばしにし続けてようやく訪れた機会なのですが、このタイミングだとしても本当に出られて良かったという気持ちになりました。その反面、会場には1万人から2万人を超える観客がいるように見えたので“僕は韓国でこんな大勢の方の前で公演したことあるかな?”とも思いました。なので切なくもありましたね。

💙 でも、会場の方々が“ジョン・ヨンファ!ジョン・ヨンファ!”と声援を送ってくれたり、"水をかけてくれ"と言ってくれたりしたんです。それに対して鳥肌が立ちましたし、これまでの14年間が報われたような気持ちにもなりました。学生の子達に“大丈夫、お兄さんはよく頑張ってるよ”というメッセージを受け取った気分がしてとても幸せでした。かといって普段のコンサート以上のものを出したわけでもないんです。
コンサートは常に最善を尽くしてますし、これまでの公演でベストを尽さなかったことがありません。観客の方にもそれが伝わるはずだと思ってそうして来ました。普段のコンサートは2時間半ほどなので、それを30分で出し切ればいいんだという気持ちで臨んだら僕の本気が伝わったようです。

僕の公演を見た子達からすれば、“小学生のころ耳に入ってきた『ひとりぼっち』を歌ってた人“に過ぎないのに、30代の人が全身全霊をかけて歌っているということに対して目新しい気持ちが芽生えたようです。そういった内容のメッセージもたくさん貰いました。「あまり興味はなかったけど、幸せそうに歌う姿を見て今後の自分に対して自信がつきました。ありがとうございます。」といったメッセージが本当にたくさん来たんです。“アルバム1つで一喜一憂してる時期が本当に長かったんだな”と感じました。

🤍 実際のところ大衆の評価というのは自分ではどうしようもできない領域じゃないですか。

💙 本来のあるべき姿を忘れてたんです。新曲の成績なんて重要じゃないんだなと思いました。でも、僕は新曲の宣伝のために出演して「一緒に歌ってください」と言ったら応えてくれる。“これが音楽なんだな“と。世界中の人が僕の曲に熱狂する必要もない、公演で一緒に歌ってくれる人が沢山いる。こんな風に思ったら、今まで悩んできたことに対して恥ずかしくなりました。本当に多くのことを感じました。その日は成均館の後にソウル大学に行きましたが、同じように反応してくれて。翌日には弘大に行きましたが、さらに人が多いんですよ。“台無しにたらダメだぞ”と責任を感じながらステージに立ったのですが、とても喜んでくれたんです。そして翌日には国民大学から出演のオファーが来ました。話題になってたみたいです。本当に幸せでした。

🤍 出演の順番はどうだったんですか?

💙 1日あたりの出演者が少なかったんです。なのでむしろありがたかったです。人気なアイドルが多くいる中で…(呼んでくれたから)。本当に楽しくて、有意義な経験でした。“今回の活動において、正しい選択だったな”と思いました。

🤍 14年の活動の中で何にも変え難い新しい原動力を見つけたようですね。それだけで満足という考えにもなりそうです。

💙 “僕がこれまで宣伝の仕方が違っていたんだな、頭を使い過ぎてたな。結論は正面から攻めるべきなんだ“と。自ら足を運んでお見せしない限り、届かないんだなということを感じました。

🤍 日本で鍛えたインディーズ魂が蘇ったんですね。

💙 そうですね。また新人に戻った気分で楽しく活動してます。

🤍 再発見という感じがしますが、先ほども仰ってたように10歳の頃にCNBLUEの曲を聴いてた子達が今大学生ですよね。当時も歌を歌ったりしていた時期だろうし、当時を覚えてる人たちからしたら、いい思い出になったと思います。かすかに覚えてる人からすれば、“あの人はまだ新曲も出してるし活動してるんだ。しかも上手”と感じたのではないでしょうか。人には仲間意識があるので人気アイドルを見て会場が湧くのとはまた違う感覚で、ある瞬間から観客と一つになってる感じ。ファンとはそうなるのも難しくないですが、学生たちがジョン・ヨンファと連呼して『ある素敵な日』を歌ってた時も胸に染みる感じが映像からも伝わってきました。

💙 世代が違うからというのもあるのかもしれません。
一世代飛び越えたら、学生たちにとっては新鮮だったんだと思います。“『ひとりぼっち』しか知らなかったのに“って。

🤍 ジョン・ヨンファについて知らなかったけど素晴らしいアーティストなんだなとう感じ。

💙 そういう風に思ってくれたようです。ステージに上がる時は“俺が楽しませてやる”というマインドだったんですけど、それが通じたみたいです。

🤍 他の人からしたら大したことのないスケジュールかもしれないし、ヨンファさんの場合、日本でもっと大きなステージでアリーナツアーなどもやってきたにも関わらず、学園祭で新しいことを感じたというのがすごいです。ファンの方も同じように感じたと思いますし、映像のコメント欄を見るとヨンファさんに関連する内容がとても多いです。
さらに感じたのは、若い頃からのロッカースピリットは舐めちゃいけないんだなということです。ロッカーというのは単純に“ロックをやる人”という意味もあるけど、ロックというのは結局パフォーマンスを見せるということじゃないですか?長い歳月をかけて数多くの公演をやってるのに、ここまで本気な人は多くないのでは?と思うほどです。

ライブを見ない限り評価できないジョン・ヨンファ

定期的にリリースするライブ音源

🤍 ライブ音源を頻繁に出すアーティストも見たことないです。年に数回出してますよね。それには特別な理由があるんですか?

💙 先ほど仰ってたようにロッカーの精神というのが宿っているようです。音源のように歌うことがあまり好きではないので、バリエーションを持って歌ってます。そのきっかけが、小学生の頃に海外アーティストの映像を見た時、公演ごとに歌い方が異なっていたんですよ。ライブごとに違う歌い方をすることに対する憧れがありました。“ビルボード歌手たちはこんな風に歌うのか、僕もあぁなりたい”と、小学生ながらに感じていました。そして、デビューしてからそのように歌っていたんですが、「音源と同じように歌ってください」といったコメントがつき始めたんです。

🤍 特に韓国人の場合は音源と同じように歌うことを好む傾向がありますよね。

💙 ポータルサイトに「なんで歌い方を変えるんだ」というコメントが上がってきたんです。でも折れませんでした。僕はこれがかっこいいと思ってるので。ライブの時にはリハーサルでも出てこなかったメロディーがふと降りてきた時に喜びを覚えます。その感覚が好きで、音源と同じ歌い方はしないのですが、そういう部分はライブでしか出すことができないので音源として残すようにしています。

日本と韓国の公演の違い

🤍 ライブ音源は韓国公演だけでなく、日本公演も出してますよね。日本市場もご自身にとって重要なのでは?

💙 そうですね。そもそも韓国とは違うアルバムを出しているし、ライブ会場も多いし環境も整っているんです。なのでデビュー当時は、韓国にライブ会場を建てたいと思ってました。韓国の場合、程よい規模感の会場がないので、ライブ会場のキャパシティが突然増えるじゃないですか。アップグレードをするにはリスクが大きすぎます。事務所側の立場で考えると、人が埋まらなくて赤字になる公演はしたくないでしょうし。

🤍 劇場とアリーナの間くらいの会場ですよね。

💙 それくらいの規模の会場を1つ作ったらいいのでは?とよく考えてました。日本では、会場自体もとても多いですし、バンドに対する理解も深く、ロックが好きな人も多いので新しい挑戦が続けられるんです。

🤍 日本のファンの方々の良いところは一途なところだと思います。

💙 そうですね。

🤍 しばらくの間、入隊やコロナも重なって公演はできてなかったですよね。それまでは1年に50回ほどやっていたと思いますが。最近、(韓国で)しっかりとした公演はしましたか?

💙 ずっと韓国で公演をしたかったのですが、会場が少ないので押さえられず、来年まで持ち越すというパターンがすごく多かったんです。歌手はとても多いのに、それに見合った数の会場がなくて。それで、公演をするタイミングを逃してしまい、そんな時に入隊やコロナが重なって、先延ばしにし続けてたらここまできてしまいました。

レコーディングとライブでの見せ方

🤍 “ジョン・ヨンファはレコーディングアーティストでもある反面、パフォーマーだ。実際にライブを見ない限り評価できない。”といった声も多いです。僕は恥ずかしながら、一度もヨンファさんの公演を見たことがなく、映像で見ただけです。ご自身で考えた時に、レコーディングをする時と、パフォーマーとしての姿、どう違うと思いますか?全く違うという人もいると思いますが。

💙 僕もガラッと変わります。レコーディングは、(聴く人が)目で見えないので歌声ひとつで演技する感じ。また、レコーディングの仕方も違います。音響的な部分であったりの多くの技術が含まれていますね。ライブでは“音を外したり、歌詞を間違ったりミスをしても関係ない。”という主義です。間違えないのがベストではあるけど、気持ちが伝わればそれでいいと思っています。きちんと喉の管理もしてるのでミスすることは少ないですが、歌で説得さえ出来れば細かいミスはどうってことないと思うほど“魅せる”ことに対する比重がライブの場合は大きいです。レコーディングでの歌い方とは全く違います。それぞれの曲が持つメッセージ性を伝えるときに、歌詞を見ながら耳で聴く時と、ライブで見る時の差をつけています。

🤍 レコーディングアーティストとしてのジョン・ヨンファは繊細に見えます。一方、パフォーマーである時は、テンションが高くエネルギッシュだと思いますが、ご自身ではどうお考えですか?どちらが気楽ですか?

💙 ライブの方が気楽です。僕自身が繊細に見えるかもしれませんが、ラフなのを好むタイプです。昔のバンドミュージックを聴くと、ラフにレコーディングされたギターサウンドだったり、チューニングが外れてたりするけど曲自体はいい。そんなラフな感じが好きなので、ライブではそういった面を見せられて寛容性がある点が魅力です。

🤍 レコーディングとツアーに相互関係はありますか?例えば、ツアーから得たインスピレーションをレコーディングに反映させるとか。それとも完全に切り離してますか?

💙 ツアーはツアー、レコーディングはレコーディングですね。切り離して考えてます。

グループ内での変化

🤍 最近はCNBLUE内でも変化がありましたよね。ラインナップもかなり変える必要があったと察します。セッションでギターを2人採用していたり、ご自身でギターを弾かなきゃいけない部分もあったりして。

💙 そうですね。ソロ部分も弾いたりしてます。

🤍 またある時はボーカルに専念もしてますよね。プレッシャーはありましたか?

💙 "状況に応じてベストを尽くせば何でも出来る"と考えてはいますが、正直プレッシャーでしたね。

🤍 技術的な部分で?

💙 技術的というよりは、メンタル的な部分もそうですし、さまざまなことに対するプレッシャーがありました。ですが、僕はリーダーとして引っ張っていく立場なので"僕が右往左往してたらダメだ"と思って、改めてギターのレッスンも受けました。これまでメインではないパートを弾いてたので新しい変化ですね。僕にとっても必要な部分でした。久しぶりにレッスンを受けたので楽しかったです。先人の方々が"勉強に終わりはない"というのも理解できたし、為になると思って努力しました。プレッシャーは抱えてたけど、新しい学びの時間などを持つことで埋めていきました。

6年ぶりにリリースしたソロアルバム『YOUR  CITY』

ソングキャンプで得た新しい刺激

🤍 6年ぶりにソロアルバムがリリースされました。コンセプトの決定において意欲的にもなると思うし、プレッシャーや迷いもあったかもしれません。準備段階ではどうでしたか?

💙 始めはプレッシャーでした。意気込む部分もありました。やはり、結果に対するプレッシャーが大きかったのですが”気にしないでやるぞ!”と思うことにしました。作る過程が本当に楽しかったです。作詞作曲において新しく学ぶこともすごく多くて。

🤍 今までもアルバム制作はやってきたかと思いますが、これまでとは何が違ってましたか?

💙 何といえばいいのかな…。ソングキャンプもやったんですよ。

🤍 ソングキャンプは初めてでしたか?

💙 以前にもやったことはありました。今回は座って曲を書くだけではなく、ブレストを行いながら意見を出し合って、まさに”ソングキャンプ”という感じ。そして、以前は”歌詞は絶対に自分で書く”という拘りがありました。最近では外部の作詞家の方の力も借りてるのですが”これはどう?”と連絡を取り合って作ることが久しぶりだったので本当に面白いんですよ。
ある瞬間から、僕が作るメロディが似たり寄ったりになってるなと思うことが増えました。僕なりのルーティンがあるので。自分の曲を複製するのは好きじゃないのですが”自分で作ってるんだから仕方ないよな”と思う部分もあって。ですが、今回の準備過程において新しいものが生まれました。そして、一緒に作った方々が本当にお上手だったので、感謝すると同時に興味も湧いたし、刺激になりました。なので本当に楽しかったです。

得意なジャンルで挑んだ『YOUR CITY』

🤍 今回のアルバムは過去の作品の中でもベストに入るくらいまとまった音楽になっていると感じます。先ほど仰っていた悩みや野心の大きさと比較すると、むしろシンプルに仕上がっています。それもノウハウだと思うんです。自分が抱えている悩みがあまりにも曲に滲み出てるアルバムは80点、悩みはするけど聞き心地のいい音楽が100点だと思っています。今回のアルバムが後者に値するのではないでしょうか。
曲ごとに違うとは言っても、アルバムの方向性はあるじゃないですか?今回はどういった方向性でつくりましたか?

💙 タイトル曲は”自分の得意なものをやろう”と決めました。『ある素敵な日』を超越するほどのバラードを書く自信がないんです。それで『That Girl』を作ってダンスにも挑戦しましたがピンと来なくて。

🤍 よく作れたけど、結果的に本当に得意なことではなかったんですね?

💙 そうです。自分に合わない服を似合わせようとした感じ。なので今回は、”好きな服の中でも特に似合う服を着よう”と思ったのと、適度にバンドサウンドも取り入れたかったので、全体的にもそういった方向性にしました。

🤍 興味深かったのが、共同作業をした方々を見るとENHYPENの作曲に参加しているJACOBであったり、EL CAPITXNはBTSの楽曲で名の知られた方ですよね。HYBEの系統に変えたのかな?と感じましたが、新しいチームとの作業はどうでしたか?

💙 BTSのSUGAと知り合いなのですが、一緒に肉を食べた時に「アルバムを出すんだけど、どんな曲を書けばいいか分からないし、方向性が見えなくて辛い」と相談しました。そしたら「僕が一緒に作業してる人がいるけど紹介しましょうか?」と提案してくれて、繋げてもらいました。イジョン(EL CAPITXN)というのですが、実際に会って、僕が作りたい音楽について話したら気が合ったんです。それで曲作りを始めました。
JACOBの場合は、僕と曲作りの流れが似てたんです。僕が考えてた通りに物事が進む感じ。すごく嬉しかったんです。JACOBと作った曲は今回のアルバムに収録されていないものも数曲あります。

🤍 それもリリースされますか?

💙 出さなきゃいけないのですが、いつになるかは分かりません。本当に面白くて、工場のようにやれば1日3曲ほど作れますが、本来は1曲でも完成できれば十分なのに、今回は満足のいく曲が1日で数曲作れたんです。「これはどう?」ってメロディを歌うと同感してくれて、”こんな流れで進めたいな”と考えてたら、その通りに行くんです。本当に息が合うんですよ。久しぶりに曲作りを楽しめました。それで気づけば今回のアルバム全曲を他の方と一緒に作ってました。

🤍 それが伝わってきます。スムーズな共同作業といった部分は聞く人には伝わらないと思われるかもしれませんが、聞く立場として今回のアルバムから"一緒に作った方との息がピッタリだったんだろうな"と感じました。『YOUR CITY』、『Pain Healer』、『Small Talk』などの雰囲気がいいです。そしてスッキリしてます。

“都市”と曲づくりの関連性

🤍 『YOUR CITY』の歌詞もそうだと思いますが、”都市”といえば、3年前に日本でリリースしたアルバムも“都市”が題材になってましたよね。『FEEL THE Y'S CITY』。そのアルバムとの関連性はありますか?

💙 そこからインスピレーションを得ました。僕はツアーを回りながら様々な都市を訪問することでインスピレーションを得ることが多いです。公演を終えていい感情を持ったまま次の都市に行くと、そこに対する感情も湧いてきて。”都市”という単語が持つイメージが好きというか。”CITY”や、”都市”という言葉からインスピレーションが沸いてきます。
今回の曲名に関して、ガイドの時は『モーニングコール』だったんです(笑) ですが、そういったラブソングは書きたくありませんでした。”毎朝起こしてくれた君はもういない”とかそういう歌詞は書けるんですけどね。だけど変化がないじゃないですか。ありきたりな歌詞は書きたくなかったので、夜にドライブをしている最中に繰り返し聞いていました。その時の雰囲気や夜の景色に”都市”という単語がピッタリ合わさったんです。それで”YOUR CITYだ”と決めて歌詞を書き始めました。

🤍 最近ではCITY POPやレトロなどが流行してるので、トレンディでもあると思います。

尽きない音楽に対する探究心

ジャズにハマっていた時期

🤍 先ほど『FEEL THE Y'S CITY』の話も上がりましたが、ビッグバンドジャズが入ってますよね?なぜですか?

💙 当時はジャズにかなりハマってました。きっかけがあった訳ではないのですが、将来、年をとったらジャズをやりたいんです。最後はブルースやジャズがやりたいという夢があります。カッコいいじゃないですか。僕の考えでは、年をとった時にやってたらカッコいいと思うのがジャズやブルースです。なので1度やってみたかったんです。ビッグバンドが入った音楽にもチャレンジしたくて。

🤍 普段からビッグバンドはよく聞きますか?

💙 好きです。ジャズも深く理解してる訳ではないのですが、聞くのが大好きです。ジャズも掘り下げたら終わりがないじゃないですか?なので興味がわきます。

🤍 探求心が強いんですね

💙 他の分野に対しては分からないのですが、音楽に関することは好奇心が強いです。

🤍 未知の領域に対する関心が強く、勉強もしたいんですね。

💙 そうです。以前はモノシンセの音にハマってミニモーグを購入してCNBLUEの曲に取り入れました。気になることは常に手を出したくなるんです。それで、最後はジャズをやりたいですね。

ソングライターとしてのジョン・ヨンファ

評論家・作詞家も評価するヨンファの実力

🤍 ジョン・ヨンファといえばCNBLUEのリーダー、ボーカリストだけではなく、ソングライターとしての能力を称賛したいです。大切なのはソロ活動を通して僕が先に気づいたということです(笑) そして、似たような話をある方からも聞きました。ご存じかと思います。アンドレアス・オバーグ。僕の友達です。スウェーデンの方。ヒップホップ界隈でかなり有名ですよね。LAを往来した際に知り合って親しくなりました。
アンドレアス・オバーグもそうですが、ジャスティン・ラインシュタインとも少し関りがあります。

💙 そうなんですか?ジャスティンとも以前一緒に曲を書きました。(Summer DreamMake You Mine)

🤍 どちらとも一緒に作業されましたよね。みんな口を揃えてヨンファさんのことを褒めてました。アンドレアス・オバーグは「CNBLUEが有名ということは知ってたけど、一緒に作業したところで自分に残るものはあるかな?」と最初は期待してなかったようなんです。ですが、「実際にやってみたら音楽に精通しているし、呼吸もよく合った」と、メッセージで送られてきたんですよ。以前ヨンファさんについて気になって聞いてみたのですが、上手だと褒めてました。

💙 本当に楽しく曲を作りました。僕はソングキャンプはあまりやらないんです。事務所ではよくやってるのですが、僕が気になっている方が来られる時には"1日だけ混ぜてください"って参加させてもらったり。今回は、率先して参加したのですが共同作業が本当に楽しいんです。

🤍 バンドをやってる方は基本的に1人で書きたがらないんです。どなたかが"バンドにとって自分が作曲するという概念はない。バンドありきだ。"と言ってました。

💙 一緒に作業する面白さがすごくあります。

🤍 "それで他の人も一緒に作るんだなぁ"という感じ?

💙 それもそうですし、"タイトル曲を作るべき"という気持ちで挑まなかったってのもあります。"いい曲を作ろう"という気持ちでいたら楽しくて。夜にはピザをかじってコーラを飲みながら"さっき作ったメロディを聞き直してみよう"とか、そういったことが本当に楽しかったんですよ。

🤍 今回のアルバムで1番早く完成した曲、時間がかかった曲はそれぞれどれですか?

💙 『Pain Healer』が最初に完成しました。初めて会った時に作ったのが『Pain Healer』で、時間をかけずに作れたのが『YOUR CITY』です。

🤍 “タラッタッタッタ〜”という部分はもともと歌詞がなかったんですか?

💙 最初は口笛でした。“歌詞を入れずにいこう”って僕たちで話して今の形になってます。

🤍 いいアイディアだと思います。

ヨンファの曲づくりのスタイル

🤍曲を作る際のパターンは全体的にどのような感じですか?作詞の際にどういった部分を最も重要視していますか?

💙 テーマが大切です。

🤍 そうしたらメロディーも詩の一部ですか?歌詞とメロディーがかけ離れてる方?

💙 僕はそういうのはあまり好きじゃないです。曲を聴いた時に悲しい雰囲気なのに明るい歌詞にしたら違和感があります。逆も然りです。なのでメロディーとテーマと歌詞、そして伴奏が全体的に同じ方向性になるようにしています。綱引きをしているのにそれぞれが違う方向に向かって引っ張ってはいけないように、ある程度は同じ方を向く必要があると思います。

🤍 自身がプレイヤーでありながら、曲作りもするというのは、そうじゃない立場からすると恵まれていると思うんです。音大を出て音楽に精通してるような人にもメリットはありますが、限界があるんですよ。自分では歌わないから。でも歌うこともできれば“理論的には良いメロディーだけど歌うには適してない“とかいった感覚が分かるじゃないですか。本能的にそれを理解して作ってますよね?それはボーカリストでない限り分からない部分なんですよ。それに、作詞をしない方は作詞と作曲がピッタリ合わさる部分も疎いです。POPミュージックって正直歌詞はよく分からないじゃないですか。でも情緒は感じられる。それで歌詞を調べて見ると自分に湧いてきた感情がそのまま表現されてる。

💙 僕もそういった点を重要視しています。僕はメロディーが先にできてて歌詞が出てこない時には、周りの方にたくさん聞いてもらいます。「これを聞いて楽しい?悲しい?」って。こういう部分で確信が持てないと進められないタイプです。例えば、ビートは軽快なのに伴奏が悲しい雰囲気の曲は曖昧に感じる時があるんです。そういう時は20人くらいに聞いてもらってフィードバックをもらいます。“僕は明るいと思ったけど、悲しいと思う人もいるのか、そしたら二面性を持った曲なんだ“というように解釈します。

音楽評論家によるヨンファの分析

🤍 ヨンファさんの作曲に関して初めて分析した時、“何だろうな?”という感覚がありました。分析する際はジャンルごとに分析するのが最も単純じゃないですか。ですが、ヨンファさんは特定のジャンルに属したタイプじゃないんです。それなら何だろうな?と悩んだのですが、“この方はジャンルに対する寛容性が高い”と感じました。そして、“ジャンルに固執するのではなく、多彩なアイディアをミックスして作るんだな、そしてそれをダイナミックに表現するのが好きなんだな“と。

💙 さすがです(笑)

🤍 そして作詞に関しては、シンプルにまとまってる感じがお好きなのかなと見受けられます。大衆的な感受性を持っているということだ思いますし、それも才能です。ジャンルアーティストは、黙々と突き詰めていけばいいと思いますが、ヨンファさんはPOP作曲家にに近いと思います。そういったPOP的なマインドをロックグループのリーダーが持っているのは韓国では珍しいと思います。幼い頃に聞いてきた曲の影響もありますか?

💙 そう思います。学生の頃から色々な音楽を聞いてました。Bon Joviの『It‘s My Life』を初めて聞いた時に衝撃を受けました。兄のMP3で聞いたのですが、バンド音楽が本当にカッコよかったんです。何言ってるのかも分からないけど歌がイケてて調べてみたら顔までカッコよくて。“こんな人になりたいな”とその時初めて思って、そこから掘り下げっていってロニー・ジェイムス・ディオの『Holy Diver』とか聞いてロックにハマり始めました。

🤍 30代半ばでロニー・ジェイムス・ディオをご存知なんですね。

💙 メタルとかにもハマってたんです。そしてR&Bにもハマってました。

🤍 当時からジャンルに対する垣根がなかったんですね。

💙 そうですね。ヒップホップも好きです。

🤍 その中でも人生アーティストは?

💙 oasisです。僕の行動はoasisとは似つかないですが、感性が好きなんです。コンサートを見れなかったのが心残りですね。

“ジョン・ヨンファ”という音楽ジャンル

共同作業の楽しさ

🤍 先ほど共同作曲についてもお話ししましたが、以前は身近な方々とやっていましたよね?

💙 そうですね。事務所の作曲家と主にやってきました。

🤍 最近は外部の方との作業も増えたと思いますが、違いはありますか?

💙 事務所にいる作曲家の方々もとてもお上手です。僕に対する理解度も高く、僕もその方達についてよく理解してます。身近な人とはお互いに理解し合ってるというメリットもありますが、新鮮さを求めるときに殻を破るのが難しいんです。今回のアルバムに関しては、特に新しい風を吹き込みたいと思っていたので外部の方と作業しました。

常に求めているのは“新鮮さ“

🤍 以前ソヌ・ジョンアさんとご一緒されてましたよね?その時に初めて変化を感じました。新しいことに対する欲があったように思います。

💙 そうです。僕は常に新鮮さを求めています。それが短所でもあるのかなと思ったこともありますが、挑戦を続けず停滞することが嫌いです。なので、”せっかく音楽の道を進むのなら常に新しいことにチャレンジしよう”と、新しいジャンルが出続けているのだと思います。

🤍 僕も本を執筆するときは他の人が扱ってない題材を書きたいですし、一度書いたテーマについて再度触れることはありません。

💙 分かります。それほど十分に掘り下げたら。

🤍 当時扱った題材について時間を費やして書き上げたものに満足してるし、1つのことに対して一生扱おうという気持ちもないんです。

💙 僕もそうです。

🤍 なぜヨンファさんやCNBLUEの音楽スタイルが多彩なのか分かります。手を付けていないジャンルはもうないですよね?

💙 ないですね。そろそろNEW ERAのキャップを被ってラップをしないとかもです(笑)

🤍 ラップもお上手じゃないですか。『Ryu Can Do It』も聞きましたよ。

💙 すごいです(笑)

🤍 短いレビューも残しました。応援歌とはいえ、スタイルがファンキーですよね。なので当時のレビューにも"ファンクロックスタイルでジョン・ヨンファの新しい曲だ"と残しました

💙 いっときそんなスタイルにハマってたんです。当時ファンクロックが僕にとって新鮮だったんです。ロックに偏りすぎずにファンキーな面があるから。ハマってましたね。

🤍 当時”ラップを歌ってるのは誰だ!?”と騒ぎになりました。

💙 (笑) ラップも好きです。

🤍 ヒップホップも好きなように見えます。普段はどんなジャンルの曲も聞きますか?最近、自分の曲以外でハマっているアルバムはありますか?

💙 どんなジャンルでも聞きます。最近、新鮮だなと思ったのはハリー・スタイルズです。

🤍 今回のアルバムからハリー・スタイルズの雰囲気が感じられます。中性的というか。

💙 僕もそう思います。僕が好きな音楽に似ています。中性的な感じを表現したいわけではないのですが、魅力があるんです。ハリー・スタイルズのアルバムは新鮮でした。グループ活動(One Direction)をしていた時はアイドル的な要素が強かったけど、ソロでは色々なジャンルがあるんです。ポップでも多様にできるんだなと思いました。レトロさもありつつ洗練されてて。どうやって作ってるんだろうな?という興味が湧きます。聞いてみたいです。

🤍 音楽を作る人たちはそういう部分に興味を持つんです。

💙 oasisの曲を今でも聴きますが、同じようにやっても真似できないんです。そういうことに関する探究が本当に面白いです。職業病なのかもしれませんが、“いい曲だな”としか思わない歌にはあまり魅力を感じません。いちリスナー止まりになります。逆に、“大衆的なメロディーに聞こえるのに魅力があるのは何故だろう?どういう思考からそんな曲が生まれるんだろう?”という感情が生まれる曲に魅力を感じます。“その人が作るから“という魅力が重要なんだと思いますし、僕がアルバムを聞くときに重要視してるポイントです。
ポスト・マローン のアルバムを聴いてると、どういった思いで作ったのか気になります。伴奏は大したことないように聞こえるのに、僕がやっても同じようにはできないんです。そこから“僕の特性は何だろう?どんな風にしたらそれが伝わるのかな”と考えるようになりました。なので挑戦を続けているんだと思います。チャレンジをした時に自分の特性が伝わった時に喜びを感じるので。

行き着く先は“ジョン・ヨンファ”

🤍 今のお話を聞いて思ったのですが、今回のアルバムはジャンルで見るとシンセポップやシティポップなどあります。聞いてるとそれはボーカルのおかげなのか、歌い方なのか、もしくは本人が好きなメロディラインがあるからなのか… 分からないのですが結論“ジョン・ヨンファ”なんですよ。ある部分では変身できたけど、完全に生まれ変わったわけではなく、同じ帽子を被ったとしても、“君が着たらピッタリ似合ってるね”という感じ。むしろそれはいい事だと思います。

💙 そういう部分に対する悩みもありました。

🤍 変わろうとしたのに結局ジョン・ヨンファだったらどうしよう?という悩み?

💙 それとは少し違っていて、ポップスター達は新しい挑戦を大胆にするじゃないですか。マルーン5は今でもアルバムを出し続けていますが、以前やっていたスタイルの曲は出さずに、最近のトレンドなどを取り入れてるように、僕も挑戦をすることに対する熱望があります。ですが、“この人は一体どんな音楽がやりたいのか理解できない”と思われないかと心配になります。

🤍 14年経っても悩んでいるんですか?

💙 そうです。ですが、得意なこと一つで攻めようと思っても僕にはできないと思うんです。

🤍 多様なジャンルを扱うのがその人の本性でもあると思います。でも悩むのも理解できます。他人からの評価もそうですが、自分自身で一貫性のある人であるべきと思うこともあるし、自分の特色が必要な気もしたり。なのに何でコロコロ変わるんだろう?と悩むんですかね。

💙 そうです。好きなものがあまりにもすぐ変わるのかな?という悩み。

🤍 悩んだところで好きなものは変わり続けますよね?

💙 はい(笑)

未発表曲は1000曲以上!?

🤍 世に出ていない曲もあると仰っていましたが、アルバムを作るとき”新しいアイディアが沸いてきたけど今回のアルバムにはそぐわない”といったことはありますか?
僕は本を執筆していると、他の本のアイディアが浮かんできてそれを先に書きたくなるんです。ですが今回の本には残せないから温めておきます。そんな経験はありますか?

💙 本当によくあります。武器のように寝かせてあります。

🤍 大切に取っておいたら結局流れる場合も多くないですか?

💙 そうですね。そうなった場合は仕方ないので未練を持つことなく手放します。”改めて聞いてみたら時代に合ってないな”と思ったら僕の曲じゃなかったんだなと果敢に捨てます。曲を作るときに煮詰まって3日徹夜しても進まないこともあります。そういう時も消しちゃいます。

🤍 プリンスというアーティストはリリースした曲よりも未発表曲の方が多いそうです。ヨンファさんの場合はどうですか?

💙 僕も未発表曲が相当あります。気に入らなくて出してないのではなく、”いい曲なんだけど今回のアルバムには合わないから次に持ちこそう”としてるうちに逃し続けてる感じ。

🤍 完成している曲でいうと何曲ほどありますか?

💙 レコーディングまでは終えてないですが、デモまで作った曲は本当に多いです。僕のパソコンや作業用のPCを漁ったら100曲ほどあると思います。

🤍 そしたら、アイディアだけある曲も含めると?

💙 それを含めたら相当な数になります。数千曲になるのではないでしょうか。

🤍 常に新しいアイディアが出続けているんですね。

💙 テーマが思い浮かんだらスマホにメモをしています。

🤍 活動中や製作期間でないときにも、アイディアは出続けていますか?

💙 はい。

🤍 主にどういった時に沸いてきますか?僕の場合締め切りが迫っているときに文を書きだすとスラスラ書けます。頭の中の考えを楽譜に落とし込む感じというのかな?

💙 僕は待つタイプです。アイディアが浮かんでこない時は無理に書こうとはしません。自分を信じてます。いつか降ってくるだろうという気持ちで、追い詰めることはせずに聞き続けます。そうして待ってると必ず歌詞が書けます。歌詞が思い浮かんだとしても上手く進まない場合は果敢に手放します。どう足掻いても無理なものはどうしようもないので。そういうのは作ったとしても結局気に入らないんです。

🤍 修正はしますか?

💙 あまりしません。最初の感覚を信じるタイプです。テストでも回答を変えると間違えることあるじゃないですか?そんな感じです。

🤍 そうは言っても、僕たちが知っている曲の中で無理に完成させて成功した曲はありますか?

💙 『Can’t Stop』は面白い作り方をしました。当時バラードでいくか、ノリのいい曲でいくか悩んでいて。それで合体させたんです。普通、遅くなる場合はテンポを半分にするんです。120から60にいくように。ですが、そういうのも気にせずくっつけてみたらピッタリだったんですよ。なので面白かったです。

🤍 『Can’t Stop』もご自身の中で重要な曲なんですね。

💙 はい。なので愛情深い曲なんだと思います。”これは神からのお告げだ”と思いました(笑) 2つの曲が1つになるなんて信じられないことので。

評論家とK-POPコラムニストが語るCNBLUE

🤍 みなさんご存知かと思いますが、CNBLUEは韓流スターです。そして、今では有名になったジェフ・ベンジャミンというビルボードのK-POPコラムニストがいますが僕の友人です。彼がまだ知られていなかった頃、インタビューをしたことがあります。

僕たちが初めて会った時、偶然にも最初に話題に上がったのがCNBLUEでした。僕たちの意見が似ていたんです。「CNBLUEって良いと思わない?K-POPの中でも新鮮な存在じゃない?」って話したら彼もそう思ってたようで。彼のコラムを見たらベスト曲リストに『Can’t Stop』が入ってました。

それが僕と似ていたんです。それでCNBLUEの話をしたことを思い出しますね。いつか3人で話したら楽しいだろうな。
話は戻って、『Can't Stop』がきっかけでCNBLUEのジョン・ヨンファがグローバル的にも注目を集めたように思います。

🤍 アメリカで公演したことはありますか?

💙 ニューヨーク、L.A、南米でもやりました。

🤍 印象に残っている場所はどこでしたか?

💙 メキシコですね。初めて行く国でもあったし、高山地帯じゃないですか。本当に息が上がるんですよ。それなのにファンの方々は開始前からコンサートが始まってる感じでした。入場したときから僕たちの曲を流しているので、ずっと盛り上がってる姿を見て”疲れ知らずだな”と思いました。公演が終わるまでずっと熱い雰囲気だった記憶があります。

ライブを意識した曲づくり

日本と韓国の音楽スタイルの違い

🤍 日本でも活動されていますよね?日本では韓国で上手くいってない時も頼もしい存在じゃないですか?

💙 継続的に活動してますね。そして、アルバムもたくさん出してます。

🤍 韓国と日本の音楽スタイルに違いはありますか?

💙 違うと思います。韓国では大衆的なスタイルで作ってました。日本では今もそうですが、挑戦してみたいスタイルで出すことが多いです。

🤍 以前いい曲だなと思ったのが日本のアルバムにしか入ってない曲が多かったです。『Feeling』とか。

💙 一生懸命作った曲なので、大好きです。

🤍 『Feeling』を聞いて、韓国のCNBLUEの曲にはないスタイルだったので、”こんな曲も作れるんだ”と思いました。

💙 日本ではいろいろな挑戦をしてきました。ファンの方もそれを好んでくれます。

🤍 『Realize』も好きです。あとは『Royal Rumble』とか。こういう曲はファンのみぞ知る曲ですよね。『Between Us』なども好きですが、(収録曲には)ヨンファさんのスタイルがよく表現されていると思います
先ほども話しましたが『FEEL THE Y’S CITY』の収録曲もいい歌が多いですよね。『Letter』、『Jellyfish』とか。タイトル曲ですが『The Moment』も好きです。

🤍 以前は日本の曲を韓国語の歌詞に変えて出すことが多かったように思います。最近はアプローチの仕方を変えたんですか?

💙 アプローチを変えたというよりは、以前は日本で挑戦した曲を韓国のアルバムにも入れてました。それと、韓国語で歌いたくてライブのために収録したってのもあります。今では韓国のアルバムにもライブを想定して収録する曲も増えました。デビュー当初は(韓国では)ライブ用に作る曲は少なかったんです。音源で聴いた時に好んでもらえるような曲を作ってました。一方、日本の場合はライブをする時に盛り上がる曲をメインにして韓国とは切り離して考えてました。そして事務所と"日本でこの曲は盛り上がるから韓国のアルバムにも入れよう"と話して、何曲か入れているうちに、韓国のアルバムにもライブを想定した曲を作るようになったのでバランスが合ってきたんです。

🤍 今回のアルバムはどうですか?

💙 今回もライブを意識して作ってます。最近では公演を想像しながらアルバムを作りますね。

🤍 具体的にどういった想像をするんですか?

💙 表現が難しいのですが、想像するのが好きです。

🤍 ぼーっとしながら空想する事もお好きですか?

💙 好きです。自分を客観視した時に、この曲を歌ってる自分はどんな姿かな?どんな表情をすればいいかな?といった想像をかなりします。練習よりも想像をするタイプなので休む時もずっと何かを考えてます。今回のアルバムにおいても、"この曲を歌う時にステージはこんな照明にしたらカッコいいだろうな"と想像しながら作りました。その想像をライブの演出監督にお伝えします。自分の考えと実際の演出が合致した時はものすごく気分がいいんですよ。

🤍 想像してた姿と違った事もありますか?

💙 ありますね。僕の想像が具現化できなかった時は、表現してくれる方と僕の想像が違ってたんだなと思います。

理想的な公演となったROOM622、Stay622

🤍 これまでのツアーの中で、ご自身の想像と実際に完成したものがピッタリ合ってよく出来たなと思うツアーはありますか?

💙 入隊前にソロツアーをやりました。その時に全体的な雰囲気や演出がよかったです。

🤍 ROOM (2018年1月)、Stay(2018年3月)、Still(2019年12月/除隊後)?

💙 そうです。当時はジャズに夢中だったので、ライブでもジャズのような編曲もしました。"ステージに椅子とテーブルを置いてジャズバーの雰囲気を作って歌ったらカッコいいだろうな"と考えてたのですが、実際にやったら雰囲気もすごく良くてピッタリ合っていたと思います。

それと、※スキャット(ジャズのアドリブで"シュビドゥバ"って歌うやつ)も入れる予定はなったのですが、やってみました。あれこれ演出に参加しましたが、ファンの方も喜んでくれていい公演でした。

※ ROOM622のセットリストに入っていた『Hold My Hand』のアレンジ

歌の練習は今でも毎日

🤍 歌の練習はしますか?

💙 毎日車でしてます。

🤍 いっとき”喉は大切にするべきだ”と、楽器の練習とは違うといった声もありました。

💙 僕は喉を使わないとダメになる気がします。練習室に行って集中して練習することはしないですが、車で伴奏を流しながら色々な歌い方をしてると練習になるんですよ。発声の練習というよりは、新しい自分の解釈をする感じ。それに車は閉ざされているので声がよく響きます。 ”こんな声も出せるんだ”と、質感を発見することがあります。そしたら、その歌い方を何度も繰り返しながら練習しています。

🤍 僕は歌手じゃないので分からないですが、自分の曲は飽きることもあるかもしれません。『ある素敵な日』を除いて、歌うたびに新鮮で、その曲のターンが来るのがわくわくするような曲はありますか?

💙 数曲ありますが、『Between Us』をライブで歌うと楽しいです。

🤍 『Between Us』、いい曲ですよね。洗練されていてスッキリしてます。

💙 何回歌っても飽きないし、テンションも上がるし、そして歌いやすいです。歌い終わった後は疲れるのですが、その分満足感があります。『Royal Rumble』も好きです。

初心を忘れない気持ちを込めた歌詞づくり

🤍 CNBLUEのディスコグラフィーを分析してみると、僕の解釈ミスかもしれませんが、”やり直す”といった内容が多い気がします。『Starting Over』とか。再スタートしたり、一度見せたものを再度新しく見せるというニュアンスの曲が多いです。CNBLUEのこれまでのストーリーがあってのことだと思いますが、何度も自身を見直して反省するような曲が多いのは偶然なのか、実際に自分でそのように感じている部分が大きいのか気になります。話しづらいかもしれませんが。

💙 僕はそういった歌詞を書くのが好きです。CNBLUE、ジョン・ヨンファが感じることっていうよりは、音楽が与える力があるなら、聞く人がそう感じてほしいと思って作ってます。僕は毒突くような曲は好きじゃないです。聞くのも好きじゃないですし。

🤍 マイナスの感情を吐き出すような曲が好きじゃないんですね。

💙 そうです。そういった歌詞を書く方が間違っているという訳ではなく、罵倒して負の気持ちを表に出すというのは、一時的な感情に過ぎないし、吐き出すことで後悔することもあるじゃないですか。瞬間的に爆発した感情なので。僕の性格上そういうタイプじゃないです。そういった音楽を聴くとイヤな気持ちになります。なので、聞く人にもそんな感情を抱いてほしくないです。また、僕自身も新しく挑戦することが好きですし、常に初心を大切にしてます。音楽を始めた時の感情や、デビューした頃に抱いていた夢や目標について書かないと考えなくなってしまうんです。書き続けることで日記のように振り返るきっかけにもなるので。僕の音楽を聴く人は、僕と同じような感性を持つ人が多いと思うので"僕たち一緒に初心を忘れずに、その時の感情のまま進もう"といったメッセージをアルバムごとに込めています。そして、そういった歌詞を書くのが好きです。

困難や苦難への立ち向かい方

避けられないスキャンダル

🤍 CNBLUEやヨンファさんのキャリアを見ると、勢いが付いてきたなって時期に事件が起こったり壁にぶつかったり…。ミュージシャンはそういった困難や苦難を経験するのも贈り物だと思うんです。ご自身ではどうお考えですか?もどかしいこともありますか?

💙 もどかしくもあります。僕は夢があるので、それを叶えるには何事もなく過ごしたいんです。なので事件やスキャンダルには巻き込まれたくないので、常に作業だけして…ってしてましたが、自分の意思だけではどうしようもできないんですよ。
僕が何もしてないとはいえ、結局のところ事件は起こるし、避けられないんだなと気づいてからは、僕が自分の感情に飲み込まれないようにしてます。"自分の得意分野を進んでいけば上手くいく"ということを、活動にブレーキがかかる度に感じました。
また、それを理解してくださる方がいるか、いないかということが大切だったんです。本当にありがたいことに僕のファンの方たちは、僕という人間を信じてくださいました。

ファンという存在

🤍 信じられずに離れたファンもいますよね?悔しくないですか?いくらミュージシャンは音楽で対話するとはいえ、悔しさを叫びたくなることはないですか?

💙 そうですね。そう思ったこともあります。ですが、僕の性格上"ここで離れていくのなら、どの道いつか去るんだろう"と思うんです。なので、そういった方の分まで今まで見守ってくれているファンの皆さんに感謝してますし、もっと大切にしたいです。

スターだからこそ起こりうる理不尽な出来事

🤍 (真実じゃない記事で誤解を受けることに対して)もどかしくて辛い瞬間もあるじゃないですか?その時はどのように克服してますか?

💙 打ち勝つ方法はないと思います。乗り越えようしても上手くいきません。これを言うと、どう捉えられるか分からないのですが、そういう時は"僕はスターなんだな。だからこんなことが起こるんだ。"と思う事もありました。僕は悪いことをしてないので。スターだから想定してないことも起こりうるんだなと。

🤍 そういうのが1番もどかしくないですか?自分は何もしてない。なのに世論の噂に巻き込まれることがあるじゃないですか? "あの人は○○なんだって"と、日々ターゲットが変わる。それにどうやって打ち勝つのでしょう?

💙 "分かってない人はそう考えることもある。事態が落ち着いたら僕の声も聞いてくれるだろう。"というように焦りはしなかったです。これも職業病なのですが、その時僕は何を感じたかな?と歌詞に残すこともあります。絵もたくさん描きました。感情を残しておきたくて、当時は曲もたくさん作りましたし、絵も描いて…芸術的な方面で吐き出してました。

🤍 音楽を除いて関心があることはなんですか?

💙 運動が好きです。以前は絵を描くことが好きでした。作曲と似ているので。絵で表現するか、歌で表現するかの違いだけで他は同じなので、一時期かなり絵を描いてました。今は作業室があって描けないのですが、絵は見るのも描くのも好きです。

最後に

🤍 話しは尽きませんが、そろそろ終了の時間です。短期計画、長期プランがあるじゃないですか。短期計画というよりは今すぐに取り組むべきことと言った方がいいのかな。どうですか?

💙 今週末にCNBLUEのコンサートがあります(※取材日基準)。

🤍 僕も行きます。

💙 それと下半期にはソロアジアツアーとCNBLUEの日本ツアーを控えてます。

🤍 お忙しいですね。

💙 はい。忙しいですが楽しみです。間には学園祭の出演も決まってます。今年はライブで埋まっているので嬉しいです。

🤍 長期プランは?

💙 韓国のロックフェスティバルに出たいです。それと、常に考えてるのですが、K-popや韓国の音楽に関する書籍が出るとしたらCNBLUEというチームが入るようにしたいです。

🤍 ファンの方も声を大にして言えないかもしれないですが、後からデビューした韓国のバンドチームがいるじゃないですか?そして、中にはフェスに出ているグループもいますよね。それを見てるとファンの方は悔しいようです。ご自身がどうお考えなのかは分からないですが。僕も早くフェスでの姿を見たいですし、レジェンドなステージを作り上げると信じてます。

💙 頑張ります。

🤍 こんなに長時間音楽の話をしたのは初めてですよね?

💙 初めてです。そしてこんなに深い話をしたのも初めてです。おかげでとても楽しかったです。

🤍 僕は個人的にヨンファさんと親しくなりたかったんです。気が合いそうな人って会わなくても分かるじゃないですか。今だから話しますが、以前編集長に「ヨンファさんをお呼びしましょう」と話したら賛同してくれたんです。なので、てっきりヨンファさん側にも話が伝わってると思ってて。僕の知り合いにヨンファさんのファンがいます。後輩なのですが、「ヨンファさんに会うことになりそう」ってネタバレをしたんです。ですが、事務所には話が通ってなかったんですよ。その子もヨンファさんにDMをしたようで、ヨンファさんが事務所に聞いてくれたんですよね。

💙 そうです。僕もお会いしてみたかったんですよ。常に文章のみで見てきた方なので。なのに事務所からは"連絡が来てない"って言われて(笑) それで確認してもらいました。もし話が来てなかったとしても、出演したいと伝えてもらうようお願いしました。

🤍 その話を聞いてとても嬉しかったです。知らない番号から電話が来たと、担当者が不思議がってました。「うちのアーティストに聞かれたのですが、何かするんですか??」と焦った様子でFNCから連絡があったそうです(笑) こうして今回のインタビューが成り立ったというビハインドでした。とにかく、僕はこれからのどんな活動も応援しますし、数日後にライブでまたお会いしましょう。長時間ご一緒していただきありがとうございました。以上、ジョン・ヨンファさんでした。

💙 ありがとうございました。

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