くろステUB大楽見に行った記録①

高尾のランダムブロマイド一発で引けて嬉しかったから、舞台「黒子のバスケ ULTIMATE-BLAZE」の福岡初日と大千秋楽を見た記録をする。
レポではない。大千秋楽の細かな演技の違いとかは多分もう他の人が上げてるだろうし。私という人間に興味がある人にしか面白くないだろう、私が見るに至った経緯と主観的感想の日記。長く書くクセがあるからそれなりに冗長。これまでくろステを見たことがない人間が、見ることを決めてからとりあえず配信で軽く予習して行った人なので今更な話が多いと思う。あと2.5も全然詳しくないので、的外れな話が多いかも。

見に行くことを決めたのは一週間前くらいだった。舞台をやっていることは随分前から知っていたが、それがこのタイミングで福岡でやることは知らなかった。
サリュート(注:メサイアシリーズのキャラ。メサイアの話はいつかちゃんとしますが、そういう作品群があり、3月に彼とスークというキャラがW主演をした舞台「メサイア トワイライト〜黄昏の荒野〜」を私は未だに引きずっています)をやっていた山田ジェームス武さんのツイッターを通して福岡で3公演やることを知った。私は福岡市内在住で暇だったのでもしチケットが入手できれば行こうと思って、運良く頂くことが出来た。

黒バスは原作、アニメともに好きだった。だがここ数年は離れていた。確か原作はジャンプ買ってたときに毎週読んだし、ジャンプ増刊のエキストラゲームまで読んだがなんせリアタイだったので数年前で記憶が定かでないし、映画ラストゲームは見てない。ちょうど受験やら進学やらでアニメそのものから離れた時期と重なっていた。だから舞台も存在は知っていたが見たことはなかった。
そもそも2.5次元自体に抵抗もないが、詳しくもない。テニミュも同年代(24歳です!)で珍しいほど全く通ってない。最近メサイアを布教され、その後ここ数ヶ月のうちいくつかを友人に借りたくらいだ。刀ステ刀ミュ黒執事の円盤を借りた。だから最近ようやく、この名前よく見たことあるな、という感じで俳優の顔と名前がなんとなく一致するようになってきた。めざましい進化だ。

そして原作を読んでいたときに一番好きなキャラは高尾だった。今でも高尾は好きでよく話題に出す。そして今メサイアでサリュートに頭が狂わされてる。演者が同じなこともあり前から見ようと思っていた矢先に福岡公演。生で見る機会が突然投げ込まれたからには、どうにか掴み取りたい気分だった。

見ることが決まったので、とりあえず第一弾と第二弾を配信で見た。配信で見られるのは本当にいい。しかも安いし。普通に面白かった。アニメのOPやEDも馴染みがあるし演出やスピード感も原作既読としては肌に馴染んだ(原作読んでない人が果たしてこの速度についていけるのか?とは思った)。
あと、山田ジェームス武さん演じる高尾が思ったよりも本当に私が好きな高尾そのままで、でも私が今大好きな別のキャラであるサリュートの顔と声でもあって、違う種類の好きが押し寄せて頭がおかしくなりそうだった。こんな頭のおかしくなり方は本当に失礼だと思うが、きっとメサイア黄昏見た人ならわかってもらえると思いたい。私にクリティカルなキャラばかりされるのは何故なんだろう。そういう星か。
あと火神役の安里勇哉さんも、メサイアでは正反対とも言える、狡猾で頭脳派なマッドサイエンティストのDr.TENとして出ていたので不思議な気持ちになった。火神もDr.TENも好きだが、全く違うベクトルの好意である。メサイアにまた出てくれないかな。話がずれた。
あとこの段階で見られてなかったアニメの三期も見た。おそらくこのアニメの楽曲や劇伴が使われることになるだろうという予測のもとだったが賢明な判断だった。

やっと公演の話に移る。公演時間が三時間半と聞いて怯えていた。一応2回休憩があってホッとした。福岡市民会館の席間隔は狭い感じがした。初日は小雨で、防水の少しごついスニーカーかつ傘をおいていたら本当に足を動かせずきつかった。天神ビッグバン(注:福岡の再開発事業の名称。ダサいが公称であり、町中の工事現場にこれが書いてある)のついでにリフォームされたらいいのに。大千秋楽は曇っていたが会場に入るときは雨は降っておらず、パンプスでなんとかなった。私は直接見ていないが、虹が出ていたらしい。美しい話だ。

前述の通り舞台は第二弾まで見たが、第三弾は時間が取れず見られなかった。なので陽泉との試合直後の灰崎のシーンから始まったのは想定外かつ本当にアニメを予習していなかったら細かいところは覚えてなかったな…と驚いた。
灰崎擁する福田総合との対戦は、黄瀬の帝光中時代を語る上で重要な要点のみ抑えた印象だった。アニメにもあった赤司が灰崎に退部を促し、その後灰崎がバッシュを焼却炉で焼くシーンの黒子との会話や残ったから幸せとは限らない、という述懐が好きなのだが、この回想シーンは入れると長くなるので切って正解なんだろうと思う。これはこの舞台全体通しての感想にもなるが、今回扱うストーリーは過去と現在が交差する展開が多いので切り取ってまとめるのが難しいのではないかと思った。黒子の帝光中時代回想シーンもバッサリ切ってあったが、これは原作でも長過ぎる上に終わりが最悪の結末になることが分かりきった話なので読んでいて心理的負担が多かったのを思い出していた。リーディングという形で分けられたようだがそれも確実に良い工夫だと思った。
また、初回より大千秋楽のほうが灰崎の暴君さがましていた。大千秋楽ではボールが舞台袖に投げ込まれたときにうっかり跳ね返って転がってきたが、灰崎がそれを足で止めて蹴り上げて返したのがめちゃくちゃ灰崎らしくて心底驚いた。灰崎は試合中ボールがよそから転がってきたら、絶対にそうするだろう。初回のカーテンコールでは火神+帝光中出身者で挨拶していたが、その際灰崎役の人が普通に謙虚で人当たり良さそうな感じだったのを見た翌日だったので衝撃的だった。好きかもしれない。エンディングでバッシュを捨てようとするが、捨てられないという一瞬の葛藤も激しくて素敵だった。

福田総合との対戦後、洛山vs秀徳が始まる。正直見る前から怖い試合であった。原作で一番好きでありつつ一番辛かったからだ。人事を尽くす秀徳だが、今後の展開を考えると、秀徳が負けるのが天命だった。当時ジャンプを毎週読んでいたが、負けなければ話が続かないのがわかりながらも、余りにも残酷だと思った。ただ好きな試合だ。フィクションにおいて私が一番好きな残酷さだった。
舞台の高尾もずっと高尾で、緑間をずっと信じているのが本当に本当に伝わってきて、なのに負けてしまうのが辛かった。不撓不屈の垂れ幕の演出も素晴らしかった。
ここでもまた過去が交錯する。切り替え方がうまかった。生で見るとやはり光や音の演出の良さがわかる。これは円盤だとやはりなかなか体験できないことだと思う。いまの時間軸から一瞬で高尾と緑間の初対面時に切り替わった瞬間や、そこからあの『とっておき』のパスとシュートを決める瞬間の照明の切り替え方が綺麗でとても理解しやすかった。美しい軌道を描くシュートの弾道も、舞台に張り巡らされたネオンのような天球上の曲線ライトやスポットライトの移動で表現されて、ボールがないのに滞空時間の高さを窺える演出だった。
また感じたのは、生身の人間がやることで生まれる情報量の多さだった。アニメや漫画の試合シーンは常に試合全部の映像が引きで見えるわけではないが、舞台だとたとえばシュートを決めたあとのほんの小さなアイコンタクトやハイタッチ、背中や肩をたたく仕草が起きる。それはアニメや漫画に描かれていない物語の余白を新しく埋める物語を創造することになるんだろう。初日は席の都合で聞こえなかっただけかもしれないが、大千秋楽では秀徳や海常が円陣を組んだときに微かに何か話しているのが聞こえていた。

円陣を組んでいるときは大体他のキャラが解説を話しているシーンが多いので何を会話していたのかわからないが、何か試合に向けての意気込みなのはわかる。それが生身の人間が舞台でやることで生まれる確かな強み、情報量の多さなんだろう。これが今2.5次元舞台流行ってる大きな理由の一つなのかなと思った。アニメや漫画では敢えて描くと意味が大きすぎてしまうが、生身で受け取る情報量だとちょうどよくて、そういう余白の埋め方はときには本筋以上に見るものを狂おしい気分にさせる。

そして、秀徳は負けて洛山が勝つ。初日でも客席の悲しみは深かったが、大千秋楽の客席の涙は凄まじかった。私も涙した。最後まで胸を張れ、といって観客へ秀徳が挨拶をするシーンは原作でも素晴らしいが、ことに舞台だと意味が何重にも重なってくる。応援する観客と彼らの構図が現実とダブる。観客が急にその舞台に引き寄せられたようにも感じるし、彼らがフィクションから降りてきたようにも見えた。割れんばかりの拍手の後に、緑間と高尾のシーンに移る。

初日では原作通り高尾も緑間もラストのセリフから涙を流すが、千秋楽では二人のシーンになったときからすでに涙ぐんでいたように見えた(席の都合できれいに見えはしなかったが、声が…)。
そして、高尾は舞台の中央で寝転がって泣き顔を見られないようにし、緑間はその方を見ずに泣いている。そして高尾は立ち上がると声を上げて泣きながら退場し、それに緑間も続く。ふたりとも素晴らしく泣いていた。黒バスは原作自体このシーンでは泣くので、泣いて良いのだ。泣くシーンで泣いているのを見られて良かったと思った。原作の彼らの感情とこの舞台での彼らの感情がピッタリと重なっていて、とにかく感情が揺さぶられた。

ここまで書いたけど、私はこの調子で全部の感想を書くのだろうか。三時間半ある舞台の福岡初日と大千秋楽を比較しながらこんなに細かく拾う予定はなかったが、高尾への思い入れがちょっとかなり気持ち悪い方面で私の感情を動かしている。

今すこし失敗したなと思っているが、第二部以降も書きたいのて書こう。黒羽麻璃央さんの黄瀬も本当にすごかったので。

とりあえず一旦ここまで。

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