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網膜剥離になったよ

先日、網膜剥離と診断され、手術を受けてきたので記録を残しておこうと思う。


網膜剥離と診断されるまで

 最初に違和感を覚えたのは、眼科を受診する一カ月前ぐらいだろうか。
左目の目尻にヤニがある時のような、視界の左端がかすれた見え方をして、ヤニをとろうと指でこすってもヤニはなかったのでアレ?と思う程度だった。日常生活にはなんの支障もなく、自転車も普通に乗れるので特に気にせずそのうち治るかもしれないとそのまま放置していた。
 その翌週ぐらいには自動車免許の更新もあり、免許センターで視力検査もあったが特に視力が落ちることもなく、左眼1.5、右眼1.2でパスした。
 その違和感が明確に何かおかしいと思うようになったのは、さらにその2週間後にSR600(自転車で山岳600kmを60時間で走るチャレンジ)を走った後からだった。視界左端のかすれて見えていた範囲が広がり、左端がはっきり見えなくなった。それでも普通に生活する分には問題なかったが、自転車に乗っていると、常に周囲からの飛び出しを警戒する際に、左真横からの飛び出しに気づきにくくなったため、趣味の自転車を継続する上でもこのままではマズイと思い、家の近所にある眼科に行くことにした。

 眼科では簡易な検査のあと、より詳細な検査になり、そして「網膜剥離ですね、手術が必要です。」と診断された。その病名は聞いたことがあったが、まさか自分がそれになるとは全く思っていなかった。

 幸い、自分はまだ発見が早い段階だったこともあり、今日明日にでも手術する必要はなかったが、常に症状は進行するため、1~2週間以内に手術するべきだと説明があった。近所にある日本医科大学付属病院への紹介状を書いてもらい、病院にも連絡を入れてもらった。
それでも自分にとっては急な話だ。気持ちを落ち着かせるためにも家に帰ってから自分でも網膜剥離について情報を集めることにした。

網膜剥離ってなんぞや

 年間7000~10000人に1人の割合で発生する眼の病気で、放置するといずれ失明する。眼の裏側にある網膜になんらかの理由で穴が開き、そこから水が入ってしまうことで網膜がはがれてしまうそうだ。
 原因はいまいちハッキリしないが、強度の近視、加齢、ストレス、過労、打撲などによる外傷、遺伝、目の手術の有無、等々があるらしい。
 自分の場合、もともと近視だったため、ICL視力矯正手術によって眼内にレンズを埋め込み、視力を矯正している経緯があったので、目の手術は過去にあったが、レンズを埋め込む角膜と今回の網膜では場所がだいぶ違うので関連性があるかどうかは先生も明言しなかった。
また、もともとの視力は左眼が0.1未満で右眼が0.2であり、左眼だけが強度の近視だったこともある。
年齢はもうすぐ41になるがまだ高齢というわけではない。が、実は母親が僕と同じく40代で網膜剥離になっていたことがわかった。遺伝の可能性はありそうだ。
あとストレス…については思い返せば1月に左殿筋あたりが筋断裂して3か月ほど自転車に乗れない中、仕事が1~3月は例年になく忙しくストレスが溜まりやすい環境だったのでそれかもな…と考えればいろいろ当てはまりそうな気がしてくる。
 治療には手術するしか選択肢がなく、現在は下記2種類の手術があるようだ。
・強膜バックリング術 …主に若者向け
・硝子体手術 …主に中高年向け
自分は硝子体手術を受けることになった。

病院からもらった手術概要

正直読んだけでゾッとする内容だ。本当にこんなことできるのかよと不安しかない。
ここのサイトが割とわかりやすい説明だった。
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1249.html

入院

 日医大付属病院での検査当日、主治医となった若い先生から2日後に手術できますけどどうします?と聞かれたのでもちろんお願いした。執刀する先生はまた別で、その先生にも診てもらう。自分の眼を手術する先生なので果たして信頼できそうか気になるところだ。担当の先生は自分より若いが、職人気質な受け答えで僕は好感を持った。場数をこなしてる感じだ。
 入院はどうするかと聞かれた。え?入院って必須じゃないのか?と思ったが、術後はうつ伏せを維持していないと再発のリスクが高まるので、自宅でも可能だが、できれば入院の方が望ましいということだったのでそれならばと入院することにした。人生初入院だ。
 そして手術当日の朝、5日間入院する想定で荷物を準備して病院に来た。病室に案内されて荷物を解き、そこで看護師から今日の手術は夕方5時頃になると告げられた。眼の手術はだいたい1件あたり1時間程度で終わるものが多く、今回僕が受ける硝子体手術というのは割と複雑な部類のため1時間ちょっとはかかるだろうとのこと。
 病室でダラダラTwitterなど眺めつつその時を待ち、午後4時過ぎ、看護師と共に「集中治療室」と書かれた部屋まで歩いて行った。初めて入ったが集中治療室の中にたくさんの部屋がありそれぞれで手術が行われているようだ。電光掲示板に現在行われている手術とこれからの予定の一覧が表示されていて、そこに僕の名前も表示されているのが見え、本当にやるのか…という気持ちになった。

手術

 待合室で少し待った後、手術室に入った。先日会った執刀医の先生と少し会話する。もしかしたら合併症の予防のためにICLで入れた眼内レンズを外すことになるかもしれないとのことだがもちろん了承した。
 先生の他にも助手やら見学?の学生が全部で10人ぐらいいた気がする。
 椅子に座ると背もたれが倒れ、そのまま手術台になる。左眼だけ露出するように顔面にカバーをかけられた。局所麻酔で顔面左半分の感覚がなくなる。
 正直、過去にICL視力矯正手術をやったことがあったので、目の手術自体は2回目なこともあり、どこか舐めていたかもしれない。眼にあてられるライトの眩しさや多少の不快感はちょっと我慢すれば大丈夫と。
 そんな次元の話ではなかった。
先生「ちょっと我慢してくださいねー」ズブズブ
僕「!!?」
 眼に何かしら器具を突き刺されてる感じと眼の奥に届くその圧力を感じ、一瞬で全身から冷や汗が噴き出す。後頭部には枕があったが無意識に後頭部を枕に押し付けてその圧力から逃れようとしている自分に気づいた。呼吸もはぁはぁと荒くなり、心拍もだいぶ上がっていたはずだ。いま思い返せばあれは凄まじい恐怖を味わっていたと思う。
痛みは特にないがとにかく何とも言えない不快感と眼の奥に感じる圧力がとにかく怖かった。そんなズブズブが3~4回あって結局眼には3~4本の器具が1時間の間挿入されていたと思う。
 どうして全身麻酔で眠らせてくれなかったんだと思いつつ、さっきまでTwitterでみんなからもらったたくさんの「がんばれ~」のリプが走馬灯のように脳内を流れていた。人からもらった「がんばれ」を今ほどありがたいと思ったことはないかもしれない。ワイは頑張るよ。
 先生は粛々といろんなことを眼の中でやっていて、それがいちいち微妙に見えてしまうのがまた性質が悪い。
 自分が着ていたパジャマは冷や汗で既にビショビショになっているのがわかる。終わったら着替えなきゃな…とか、いま何分経った?いつ終わるんだこの地獄は?と考えていたことを覚えている。
 唯一救われたのは、先生と助手の会話が常に冷静で、なんならもう何度もやってて飽きてそうなぐらいの落ち着いた話し方だったのがそれを聞いてる自分にとっては心を落ち着かせるものだったことだ。僕は僕で何度も深呼吸して自分を落ち着かせようと努めていた。
 途中、少し眼に痛みがあったので先生にそれを告げると麻酔を追加してくれたりといったやりとりもあった。最後は器具を抜いて眼に空いた穴を糸で縫合してるのが見え、それで手術が終わった。

先生「はい終わりです。眼にガスが入っててそれで網膜を押さえつけているので、ずっとうつ伏せで下向きを維持してくださいね。あとICLは外さなくて済みましたよ。」
僕「良かったです。ありがとうございました(ヽ´ω`)」

 初めて車椅子に乗せられ、そのまま病室まで運ばれた。手術自体はおよそ1時間ちょいで病室を出てから戻ってくるまでおよそ2時間だった。

術後経過についてはまた後日更新予定

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