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いつだって推しはわたしの救世主

木曜日の夜、上司から2件着信が入っていた。

お盆明けに加えて不安定な気圧。約1週間ぶりの仕事は想像以上にキツい。その日は帰宅し、カバンを置くといつの間にか寝てしまっていた。2時間くらい経っていたと思う。

通知を見て一瞬で目が覚める。何かやらかしてしまったのかもしれない……。慌ててかけ直すと上司はすぐに出た。すみません、と謝る前に上司が話しはじめる。

僕たち濃厚接触者になったから、今すぐPCR検査を受けるよ

先輩の旦那さんがコロナにかかってしまい、帰宅後に先輩も発熱。水曜日と木曜日の2日間、同じ空間で仕事をしたわたしたちは全員濃厚接触者になってしまった。

話し合いの結果、上司の知り合いである看護師さんが自宅まで来てくれることに。(上司の一声で動くってどういうこと?と思ったが、そんなこと聞いている場合じゃなかった)
唾液の検査キットだったため、その場で行い、すぐに検体を渡す。夜中の1時ごろ結果が出た。陰性だった。

よかった、やっと眠れる……。そう安堵したのも束の間、上司から衝撃的なメッセージが届いた。

○○(先輩)と、ほか2名は陽性でした
「僕は明日出張で丸一日不在です。すごく大変になると思う」

上司からの不在着信を見たときよりもゾッとした。最悪だな……と思ったので、そのまま「最悪ですね」と返信。朝がくるのが怖くて、あまりゆっくり眠ることができなかった。


実際、金曜日はずっと慌ただしかった。自分の業務に加えて、普段はやらない他人の仕事。おまけに低気圧で頭痛がひどかったので、薬を飲みながらなんとか意識を保つ。定刻になっても仕事は終わらなかった。

いつもより1時間以上遅い帰宅。お風呂を済ませ、ご飯は食べずにそのままベッドへ。疲労困憊で食欲がなく、なにより早く眠りにつきたかった。唯一の救いは、その日が金曜日だったこと。

待ちに待った休日、土曜日。12時間ほど寝たが疲れは残ったまま。あの忙しさが来週も続くのかと思うと、心はずっしりと重くなった。
そんな鬱々とした気分を晴らしてくれる、救世主が現れた。

人生で最も大好きなマンガ・ハイキュー!!。来月「ハイキュー!!10thクロニクル」という10周年を記念した本が発売される予定で、その見本が到着したというツイートだ。
そういえばもうすぐか……くらいの軽い気持ちで再生したのだが、動画の最後で目を見開いた。

帯に注目

 あれ?!

描きおろし?!?!

え?!!!

!!!!!!!

右端の「堂堂」のところにいるのは!!わたしの!!!!推しだ!!!!!!

一番大好きなマンガのなかでも一番大好きなキャラクター、岩泉一(通称岩ちゃん)がそこにいた。まちがいない、これは岩ちゃんである。

キャラクターにその人を表す熟語がかかれているパターンの絵は、今までにも2~3種類ある。だがそのなかに岩ちゃんはいなかった。「まぁサブキャラだもんな」と諦めていたのだが、まさか連載が終わったあとに出会えるなんて……。
 
なんだか目頭が熱くなり、気づいたら泣いていた。驚きと嬉しさと、そして感謝の気持ちがこみ上げる。苦しかった昨日までの3日間を乗り越えたご褒美のように思えた。古舘先生、本当にありがとう。


休みの日は通常よりも倍速で時間が過ぎる。明日からまたあの忙しさに襲われるのかと思うと、正直逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。

でもわたしの心には推しがいる。いままでもこれからも、わたしを窮地から助けてくれるのは大好きな推したちだ。つらい、苦しいと感じたときは推しのことを思い出して、明日からも乗り切っていこうと思う。

来月の発売日、この目で推しを見るまで、わたしは負けずに生きていく。

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