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結局、モバイル屋台de健康カフェとはなんなのか?

「屋台やってる先生ですよね?」と最近よく声をかけられる。たしかにモバイル屋台de健康カフェをしているのだけど、だいたい変わっているなぁと思われるか、医者が街に出てるってなんか素敵だなぁと雰囲気的にいいことやってる人とみてくるか、だいたいどちらかだ。せっかくなので、モバイル屋台de健康カフェとはなんなのか、じっくり座って解説してみようと思う。

ある日。「なにをやっているんですか?」と商店街で通りかかったご婦人が怪訝そうに僕らに声をかける。「コーヒーを無料で配ってるんです。よかったら飲みませんか?」僕らがそういうと、ご婦人はますます不思議そうな顔をした。何かよくわからないけど、面白そうだなと思ってくれたのか、ご婦人はコーヒーを受け取ってくれた。多分、一種のまちおこし的な活動だと思ってくれたのだろう。「コーヒーおいしいですね」と温かいでご婦人は答えた。どこのコーヒー豆を使っているのか、ご婦人はどこに向かっていたのか、ご婦人と僕らはそんなたわいもない話をした。そのうち屋台の屋根に付いている聴診器を不思議がって、僕らが医師や看護師であることを伝えると、最初はどこか腑に落ちなそうにしながらも、だんだんといろんな話に発展していく。「面白いことやってるねー」と面白がって友達を呼んでくるおばちゃん、「病児保育がなかなかみつからないです」と福祉の相談をするお母さん、「病院にいかんでもわしは健康!」というパチンコ帰りのおじさんもいた。道端に置かれたモバイル屋台de健康カフェの周りには人が集まってくる。

(屋台には次第に様々な人が集まってくる)

 このマガジンでも解説した東京大学の孫先生らによる「谷根千まちばの健康プロジェクト(まちけん)」の一部として、モバイル屋台de健康カフェは始まった。まちけんは、人の健康は健康要因により支えられているとされる健康生成論に基づき、地域の「ゆるいつながり」を増やすプロジェクトだ。その一環として、孫先生、密山先生と一緒に、2016年10月に住民主催の「芸工展」に「モバイル屋台de健康カフェ」を出店した。医師が移動式屋台を引いて、コーヒーなどを振舞いながら、地域の人と健康生成的なコミュニケーションをとる。移動式屋台によりケアと住民の対話の場を生み出した。その後、2016年12月より芸工展に共に出店していた当時医学生だった僕が、兵庫県の豊岡市においても活動を開始した。

 屋台の活動は、屋台を作る段階から始まっている。街中の路地や駐車場を借りて、屋台作成ワークショップをすることで、通りかかる地元住民や観光客との偶発的な会話が生まれ、多世代の関わりが生まれた。中には、その後の活動の際に、コーヒー豆も持って来てくれる方もいた。また、屋台を購入するための費用をクラウドファンディングで集めることで、お金のみならず、活動にコミットしてくれる方、活動を見守ってくれる方を巻き込んだ。

(屋台の改造ワークショップの様子)

 屋台完成後は、地域に関心を持つ家庭医、コミュニティナース、医療系学生、介護職員、行政職員などが、街中を巡り、出会った人々にコーヒーを振る舞う活動を続けた。街中でコーヒーを配るのみならず、演劇の公演に出店したり、藍染めワークショップを開催したりなど、形を変えながら活動している。

 実はこの活動には「目的」がないと言ったら、驚くだろう。実際に、明確な唯一の目的はない。活動していくうちに見えてきた役割が大きい。

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守本陽一(もりもん)

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守本陽一(もりもん)

研修医です。兵庫県豊岡市で屋台やらまち歩きやらしながら、新しい医療×まちづくりを模索しています。ご連絡は各種SNSのDM/メッセージかmorimon1254@gmail.com からどうぞ。

ケアとまちづくり、ときどきアート。

なぜケアとまちづくりが必要なのだろう?病院を地域に開いた方がいいのはなぜ?アートを介護に持ち込むと良さそうなのはなぜ?地域包括ケアシステムの中で一大ブームになっている「ケアとまちづくり」「ケアとアート」。多くの実践例に足を運び、自身も「モバイル屋台de健康カフェin豊岡」で...
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