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日本画はじめの一歩(彩色〜完成)

「日本画Ⅰ」のスクーリングの後半戦。前半から約二週間空けた金土日の三日間で完成まで持っていきました。

前半の最後、「具墨(ぐずみ)」で下塗りしたところで終わり、家での宿題でその上から「水干朱土」と「水干上汁黄土」で背景色を付けてきたので、この状態からスタートです(少し下地を塗り始めた写真ですが)。

墨の垂らしこみと「水干朱土」の淡いオレンジ色のグラデーションがイイ感じです(自画自賛)。

彩色(一日目)

教科書によると、日本画では発色を良くするために「下地」を塗るのがよいのだとか。なので「葉」や「茎」の部分には「水干黄土」と「水干朱土」、「花」の部分には「胡粉」に「水干白群」を混ぜたものを下地として塗りました。

下地の上から水干絵具の「水干白緑」「水干若葉」、新岩絵具の「新岩緑青(13番)」「古代緑青(12番)」「若葉緑青(12番)」などで「葉」「茎」「つぼみ」の緑を彩色。何回か重ね塗りしながらそれぞれの緑色の違いを出していきます。

「花」の部分は「胡粉」の白で重ね塗りしていくと下地が隠れ過ぎてしまうとのことで、先生オススメの天然絵具「水晶末」を使用。天然絵具は基本的に値段が「高い」イメージですが、この「水晶末」は天然絵具とはいえ水干絵具と同じぐらいの安さでした。粒子の大きさは「12番」と水干絵具よりも少し大きめのものを使ったので膠と水で溶くと「片栗粉」を水で溶いたような感じとなり、水干絵具を溶いたときと指先の感触がぜんぜん違うのがおもしろかったです。

皆さん自分の画面に向き合って黙々と彩色(格闘)していくのですが、彩色となると絵画系の方々とは明らかに違いが出てきますね。デッサンのときはあまり気にならなかったのですが、彩色フェーズでは皆さん個性が爆発!!…背景や下地ではちょっと使うのに躊躇してしまいそうな濃い目の「青」とか「ピンク」とかでも失敗を恐れずガンガン塗られていきます。もはやモチーフ本来の色なんて何処へやら…これぞアートの洗礼…

自分の作品を見ながら「なんかフツーですよね…」と先生に話したら「最初なんでオーソドックスなので勝負するのもぜんぜんアリです!」と言われた(励ましてくれた?)ものの、どう考えても周りの圧倒的個性のなかに埋没されて終わりそうなので、せっかくの試す機会だから!と自分を言い聞かせてちょっと頑張って鮮やかなオレンジ色の「特製 丹」という絵具で背景を垂らしこみ。

初日はここまでで終了。

彩色(二日目)

百合の花や葉の質感を追求します。
花びらの白色を重ね塗りして雄しべが消えてしまったので再度トレース。

背景の垂らし込みがさみしい感じがしたので「珊瑚色」を加えて二日目終了。

彩色(三日目)

最終日は15時から講評準備が始まるので制作時間が短めです。

先生のお手本のペインティングナイフで描かれている輪郭がカッコよかったので、ペインティングナイフの代用として先生に教えていただいた竹串で墨の輪郭を描いてみます。意外と正解。極細の線も描けて変化が出るし、かすれるところもなかなか味わい深い。

陰影をつけたり、花びらの立体感を「藤」で出すのに試行錯誤し、これ以上いじり過ぎると間に合わなさそうなので仕上げを早めに切り上げて終了。

講評では、「古い日本画の良さを抽出している作品」との先生のコメント。「古い作品を見ることは構図などの勉強にもなるのでオススメ」とも。約1週間後、無事にWebキャンパスに評価が出て「92点(!)」でした。

感想

はじめての絵画系コース科目、はじめて描く日本画で緊張しましたが、猛烈に楽しかったです!水をたっぷり含む筆の柔らかな筆感、粉末の絵具を膠と一緒に指で溶いていく感触。溶いてはじめて、そして乾いて見て「こんな色やったんか?!」「こんなぼかし具合になるんか?!」という彩色の不確実性。これまでの歴史と奥深さを感じる様々な描き方。

今年の卒業制作展で初めて見た実物の作品に惹きこまれ、思わず勢いで履修してしまった日本画ですが、これはちょっと究めたい…さすがにコース変更まではしないけれど、「日本画Ⅱ」も今年度履修登録しておけばよかったなぁ…「Ⅱ」までの単位を修了しないと専門課程の「Ⅲ」以降の科目が登録できないので、来年「Ⅱ」を修了して卒業を一年先延ばしにして受けるか?!…

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