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その1 Google Cloud Platform にしろ

はじめに

最近、相談を受けた段階で終わってしまっている事例が多いので、経営視点から考えるクラウド戦略というテーマでまとめておこうと思う。
ここで言うクラウド戦略とは、適切な技術選定によってクラウドサービスへの支払いコストを減らすだけでなく、データベースやネットワークなどの管理者(専門従事者)の人件費を減らすことを主眼とする。

適切なクラウド戦略で上場期が早まる?

上場を見据える規模のITスタートアップでデータベースやネットワークに専門従事者を必要とする構成にしてしまっている場合、冗長な人員構成で4名ほど割く必要が出てくると思う。人件費(給与+α)ベースで考えた場合、40百万内外のコストとなるのではないだろうか。
純利益換算で30百万円内外。
上場が一期前倒しになるくらいのインパクトはある数値である。
こう書くとシリアスに考えてみようと思う読者もいるのではなかろうか。

その1 Google Cloud Platform にしろ

最初に言っておくが、筆者はGoogleの回し者ではない。客観的な事実のみ述べる。

概念論を述べても面白くないと思うので、端的にいく。
筆者の経験上、日本人の技術者の90%以上がAWSを勧めてくる、あるいは勝手に採用してしまう。
正直、ア○じゃなかろうかと思う。

クラウド利用料の中心を占めるサーバインスタンス利用料はGoogle Cloud PlatformがAWSに比べて25%以上安いのだ。

上記ページの2.2の項目にある画像を見てほしい。

GCE(Google Compute Engine、GCP上のEC2同等のサービス)が25%以上安いことが分かるだろう。
「継続利用の場合だよね?」という反論があるかもしれない。
GCEの継続利用はEC2とは異なり、事前の宣言も必要でなければ、前払いも必要ない、利用して1ヶ月が経過するだけで適用されるのだ。
1ヶ月未満のサーバ利用を前提で事業計画を立てる人はまずいないだろうから、この割引は無条件に適用されると見ていい。

再度繰り返す。サーバインスタンス利用料はGoogle Cloud PlatformがAWSに比べて25%以上安い。

いやいや、AWSも継続利用すれば安いよという反論もあるかもしれない。
確かに条件によってはAWSが最安値となる場合もある。
ただ、その条件が曲者だ。契約期間を1年としなければならないのだ。しかも、GCEの価格を下回るためには途中での設定変更も不可能となる。

1年間で100倍程度の成長はザラにある、また、その逆もザラにあるITスタートアップの世界で、1年単位でサーバ構成を固定することに現実味がないことは分かるだろう。

もう一度言う。サーバインスタンス利用料はGoogle Cloud PlatformがAWSに比べて25%以上安い。

他にもあるGCPのコスト削減ポイント

・GCPを初めて使うユーザには、300ドルの無料クレジットが提供される。しかも、その有効期限は12ヶ月だ。下に紹介するAlways Free枠と相まって、成長出来なかったスタートアップの場合、初年度のサーバ料金は無料になる可能性が高い。

・GCPユーザには基本的にAlways Free枠と呼ばれる無料利用枠が提供される。分かりやすい例でいうと、f1-microと呼ばれる最小のサーバインスタンスはタダである。ただ、それよりもインパクトがあるのは、App EngineとCloud Firestore(Datastore)の無料枠だ。適切にアプリケーションを組んでいる場合、App EngineとCloud Firestoreの無料枠を超えることは滅多にない。超えても売上が上がらないという場合はシステム設計とビジネスモデルを再考すべきだろう。

・BigQueryへの転送が容易。データ転送料金が基本的に無料。
データ分析の分野ではもはやBigQueryがデファクトスタンダードと言っていいのではないだろうか?
AWSやAzureを利用している場合、様々な細々としたツールを作って、BigQueryに転送していることだと思う。
GCPを用いれば、そういった手間が大幅に軽減される。App Engineに関しては、数クリックでログのBigQueryへのインポート設定が可能だ。
ログデータの転送料金も大幅に削減できる。中継&モニタリングツールとして用いられる Stackdriver Logging はログデータ量、50GBまで無料であるが、ログが50GBを超えても(ry

アプリケーション設計次第で管理者ゼロ、コスト1/100も

上記では主にアプリケーション設計に依らないコスト削減ポイントを挙げたが、後に取り上げるリレーショナルデータベースなどの障害ポイントの撤廃や特殊な設定やDeployの必要なく自動スケール可能なApp Engineの利用によって、サーバ管理者をゼロに、サーバコストを1/100にできた事例も存在する。

上記はメルカリの事例であるが、(最初からGCP利用のため)サーバコストの削減効果は不明なもののサーバ管理者は実際にゼロに出来たようである。(なお、AI系開発とのポータビリティを考えると、開発言語はGolangではなくPythonをおすすめしたい)

(その2に続く)

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