エンジニアが UX に目覚めた時に最初に読むノート

こんにちは、SmartDrive でプロダクトマネージャー兼フロントエンドエンジニアをやっているヌノカワ (@_ynunokawa) です。

今回は地図やデータ可視化ではなく、UX のお話です。

「UX とは何か?」を知りたい人はグッドパッチの記事を読んでくださいね。

ここで伝えたいのは、「UX に目覚めたエンジニアがどう言う心構えであるべきか?」であり、自身の経験を踏まえてまとめたことを記事にしてみました。

割と「UX デザインやってみたい」と言う人、体感だと相当数いるんですよね。とは言え、何から始めたらいいんだ…って人もまた多いんじゃないでしょうか?

最近はプロダクトマネージャーと言う立場で UX デザインに立ち向かう中で得た学びとして、UX はチーム (ビジネス・デザイナー・エンジニア) で向き合うべきテーマであり、特定の誰かが担う役割にしては大きくて複雑すぎると思っています。


デザインはデザイナーに任せるには重要すぎる

このベン図を見てみてください。

Treatise on User Experience Design: Part 1

Intuit のサービスデザイナー Erik Flowers 氏が自身のブログで UX を説明するのに使ったダイアグラムです。

UX を説明するダイアグラムは無数にありますが、UX をテクノロジー・ビジネス・デザインの3要素が支えているこの図がもっとも自分の視野を広げてくれるし、腹落ちしたダイアグラムです。

ちなみにそのブログには、このダイアグラムを添えてすごい大事なことが書かれています。

To truly accomplish the goals of “user experience,” you must reside in the interstitial space between all three. UX is as much about meeting business goals as it is negotiating technology and design, and knowing how to accommodate the priorities of each in relation to the user driven goal.

さらっと訳すと (powered by Google) …

「ユーザーエクスペリエンス」の目的を本当に達成するためには、3つすべての間の隙間に居住する必要があります。 UXは、テクノロジとデザインを交渉し、ユーザー主導の目標に関連してそれぞれの優先順位に対応する方法を知ることと同じくらいビジネスの目標を達成することを目的としています。

UX を担う役割が3要素それぞれで担保できていれば「UX デザイナー」と言う特定の人材である必要はないし、逆にそれが全てできる人が「UX デザイナー」と名乗るべきと言う見方もできます。

有名な言葉ですが、IDEO CEO のティム・ブラウン氏が TED Talk で「デザインはデザイナーに任せるには重要すぎる」と言っています。

今ふりかえってみれば、かなり示唆に富んだ言葉でした。


プロダクトマネージャーになろう

エンジニアが UX デザインについて学ぶことは UX デザイナーを助けるし、それに見合う役割がなくても、チームとして UX の目的を達成するために必要な力になり得ると思います。

では、どうやって学べば良いのか?

グッドパッチの記事を読めば良いのか?

個人的には1にも2にもまずユーザーに会うべきだと思います。

ただし、その状況をいかに作るかが課題かと思うので、その問いに自身の経験から答えれば、プロダクトマネージャーをキャリアパスとして目指してみると良いと思っています。

最近、Basecamp @tsubotax 氏のツイートを拝見して確信を得ました。

「そのプロダクトはユーザーの病気 (ペイン) を治す薬となりえるのか?」と言う命題と向き合い、考え抜き、成果にこだわっていくと、UX デザインの重要性が自然と大きくなります。

ビジネス開発・フロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニア・プロダクトマネージャーと言う小さいチームでプロダクトを作っていますが、デザイナーいないので特に自分自身がそこの役回りをすることが多いです。

(最近はリリースに向けて増員しました)

これは MDsave 社の VPoP ダニエル・シュミット氏が提唱したプロダクトマネジメントトライアングルで、プロダクトマネージャーの職責を表しています。

上のベン図と似てますよね。

The Product Management Triangle

UX の目的を達成するには、テクノロジー・ビジネス・デザインの3要素が必要だとありましたが、このトライアングルに置き換えればユーザーとの接点は全て UX の領域になり得ます。

従って、必然的に UX デザイン領域と関わる環境が手に入る訳です。

ちなみにプロダクトマネジメントトライアングルについてはこちらの記事がオリジナルや翻訳版よりもスッキリ読めてオススメです。

その中で、プロダクトマネージャーの職責は会社や製品で定義が変わると言う話が出てくるのですが、グーグルではほとんどのプロダクトがユーザー体験向上にフォーカスして動いているそうです。

またスタートアップにおいては、一会社=一製品ですが、大きくなってくると一つの会社が複数の製品を持つことになります。そして同じ会社でも、製品によっても PM の職責は異なるようです。それは上述の通り、製品ごとにビジネスモデルが違う、という理由が挙げられます。

たとえば、Google というひとつの会社を見てみても、Google Ads のプロダクトマネージャーは基本的にトライアングルのすべてを見るように言われるそうですが、その他の多くのプロダクトについてはビジネス(利益)の部分はほとんど何も言われず、ユーザー体験の向上を中心に PM が動くことになるそうです(つまり開発者と顧客のネットワークを機能させる部分のみ)。


一緒に行動経済学を勉強しませんか?

プロダクトマネージャーになれば UX デザイン領域に深く関われますが、自然とできるようになる訳ではないですね。

自分も色々ググって調べました。

UX デザインのメソッドはたくさん情報が出てくるし、やり方を真似ることはできそうだけど、ユーザーを見る視点・視野・視座やそこで得た学びをプロダクトへ落とし込むセンスをどう磨くかは意外と誰も教えてくれないですよね。

個人的に圧倒的に必要性を感じたのは、バイアスとの付き合い方です。

ユーザーに会いに行くといろんなことを教えてくれますが、彼ら・彼女らは自分が欲しいものを言語化できないと言うの基本中の基本です。

ヒアリングに行くと気づくのですが、営業系の人は割と誘導的に進める傾向があったり、エンジニアはユーザーのリアクションに対してどうやったらできるかをすぐ考えがちだったり、正しく課題を抽出することは思ったより難しい。

そう言う観点で言うと、批判的に立ち向かうのが一番得意なのはデザイナー職かもしれません。

その素養を獲得するために、人間の行動と合理性の関係を批判的にとらえた「行動経済学」を学びたいと思っています。

同じように思考経路を辿った人が一定数いそうなので、何かペア読書とかやってみたいですね。

一緒にやりましょう!と言う人いたら気軽に DM ください。

ちなみに、@goando さんがまとめられてたモーメントが導入にオススメです。


おまけ:行動経済学ってなんやねん?

以下、Wikipedia からの抜粋です。

行動経済学(こうどうけいざいがく、英: behavioral economics)とは、経済学の数学モデルに心理学的に観察された事実を取り入れていく研究手法である。

行動経済学は当初は主流派経済学に対する批判的な研究として生まれたが、1990年代以降の急速な発展を経て米国では既に主流派経済学の一部として扱われるようになった。

心理学的な知見を用いて従来の経済学で用いられていた定式化された経済主体の意思決定を批判するということが出発点のようです。

従来の新古典派経済学が採用していた仮定は

・人々はベイズ主義的に推論する。
・人々は静的な選好を所与として意思決定する
・人々は期待効用を最大化する。
・人々は動学的意思決定において将来の効用を指数的に割り引く。
・人々は自身の効用のみに関心を持つ。
・人々の選好関係は帰結の集合上に定義される。

といった特徴を持っており、

かなり単純化された行動原理を仮定していたんですね。

それに対して、行動経済学は「人間はそんなに単純ではないし合理的に動かない」という当たり前の批判から出発しています。

面白いのが、ウィキペディアの行動経済学のページに載っているナッジ理論の象徴的事例として出てくるトイレの小便器のハエの絵。

WissensDürster at German Wikipedia

実はこのトイレ使ったことがあるんです。

まだ大学生の頃、アムステルダムの空港にトランジットで立ち寄ったことがあって、小便器にハエの絵がついてることがずーっと記憶にこびりついていました。

もちろん、ハエに向かって用を足したのは言うまでもありません。

10年も前に自分自身の小便で実証していた。

このように日常的に行われる無数の小さな意思決定には何かしらの心理作用による要因があるはずです。そして、その意思決定の集合が経済活動になるわけです。

言い換えれば、ユーザーの意思決定の集合が、そのサービスの経済活動に決定的な影響を及ぼすわけです。

そのまま例に乗っかって小便器を作るとしたら、「小便器と向かい合った人の意思決定 (=小便の方向) にどう影響を与えられるか?」は UX デザイナーにとっての命題になるでしょうか。

そんじゃーね (DM 待ってまーす)

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

12
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。