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コメダで自撮りをする女の子


どこにいてもすぐ休憩したくなってコメダを探すことが多いのだけれど(名古屋はそこら中にコメダがある)、頻繁に行く商店街で過ごした今日はこの近くにコメダがあることを初めて知った。
古そうなこの店舗は馴染みの赤ソファ対面ボックス席ではなくそのソファが不規則に点在していて、左にはこちら側に向かって座る人が、正面には左側に向かって座る人がいる、やたら店員が多い何だか不思議な店だった。
でも初めて入るコメダってなんだかうきうきするんだよな。


雨の降る少し肌寒い今日、左側を向く正面の可愛い女の子はたぶん温かいココアを飲んでいて、黒縁メガネに黒髪パーマという容姿は私と似ていた。
そのパーマを切り落としに私はこれから美容院に行くのだけれど。
私も飲食店で1人過ごすことは多いけれど、食後スマホを鏡代わりにリップを塗ることを少し恥ずかしく感じるのはいつになっても変わらないし、寒くてもアイスで頼む自分は何となく幼いままに思える。
恥ずかしげもなくリップを塗る彼女を見て、別に他人は何とも思わないもんだと分かった。


ココアでよれたリップを直し終え店を出るのかと思ったけど、ひとしきり自撮りをしてから帰ってった。
斜め上からではなく正面少し低めの画角で。
オシャレな子のインスタでよく見るやつ。
捻くれた私は、ああいう子ってそこまでアピールしてないように見せて実は自分のこと死ぬほど可愛いと思ってそうだとか思っている。
ごめん、これは悪口ではなくてある種の嫉妬。
もちろんあの子は可愛かったし、単純に自分のこと好きでいるのはいいことだと思っている。


散々眺めていた私の視線に彼女は一度も気付くことはなかった。
絶対に私と正反対な性格だ。
1人でコメダに行くことと容姿だけがただ似ているだけだった。
好きなものや自分の軸ははっきりと持っているくせに、人からどう観られてるかがやたら気になり、でもその軸を揺らがせたりはしない私は自分でもめんどくさい人間だと思っている。
私の視線に気付くことのなかった彼女は人からの観られ方を気にすることはないのだろうか。

ちなみにあの自撮りはSNSにあげるために撮るのだろうか。
自己肯定感を保つためだけに撮りカメラロールに溜まっていくのだろうか。
彼女は自撮りをSNSにあげるような人には見えなかったし、SNS上にしかいないと思っていたそういう人たちは実はきっと街に溢れているんだと思う。


やっぱりスマホ片手に食後にリップを塗ることが恥ずかしくなくなる日は私には来ないんだと思う。



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