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「司法書士物語」第2話 口頭での訴え提起

「司法書士物語」について


この物語は、司法書士試験、司法試験、予備試験の受験対策として作成しております。
実務の視点をもとに作成していきますが、完全なるフィクションです。
また、資格試験合格のための法律解説という趣旨で作成しておりますので、実際の実務とは異なることもあります。ご了承ください。

登場人物紹介

司法書士      ロウ先生
司法書士事務所職員 法 律子(ほうりつこ)

口頭による訴えの提起

ロウ先生「今日はこの前の続きからレクチャーしていくね。」

法律子「ありがとうございます。宜しくお願いします。

ロウ先生「この前は、134条について学んだね。」


(訴え提起の方式)

第百三十四条 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
 訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 当事者及び法定代理人
 請求の趣旨及び原因

法律子「訴状を提出することで訴訟が開始するとのことでしたよね。でも、口頭で訴え提起ができるっていう規定がどこかにあった気がします。」

ロウ先生「それは271条のことだろうね。」

(口頭による訴えの提起)
第二百七十一条 訴えは、口頭で提起することができる。

法律子「そうです!それです!!あれ、この規定134条1項と矛盾していませんか?」

ロウ先生「矛盾ではないよ。271条は、134条1項の特則なんだよ。
民事訴訟法270条から280条は、簡易裁判所の訴訟手続に関する特則なんだ。
簡単に言うと、134条1項は基本ルールで、271条は簡易裁判所の訴訟手続きにおける特別ルールだよ。
だから、簡易裁判所の訴訟手続きに関しては、134条1項ではなくて271条が適用されることになるんだよ。」

法律子「簡易裁判所の訴訟手続きにも、原則として基本ルールが適用される。でも、特別ルールがあるときは、特別ルールが適用される。
ということですね。私は条文の読み方がよくわかっていなかったみたいです。」

(手続の特色)
第二百七十条
 簡易裁判所においては、簡易な手続により迅速に紛争を解決するものとする。

ロウ先生「簡易裁判所では、簡易な手続が扱われることもあって、本人訴訟も多いからね。
できるだけ簡単に訴訟提起ができるように配慮した規定だよね。
まぁ実際には、訴状を書いて提出をすることがほとんどだろうけどね。
ほら、ひな形もあるし、簡単に記入できちゃうからね。」

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/kanmin/sosyou/01-baibaidaikinn-sojou708kb.pdf


ロウ先生「民事訴訟法に限らず、法律を勉強するときは、総則(基本ルール)と特則(特別ルール)の関係を理解することが大切だね。」

法律子「わかりました。これから総則と特則の関係を意識して読んでみます。ありがとうございます。」

ロウ先生「いえいえ。じゃあ、そろそろティータイムにしようか。」

法律子「え、まだ始業時間始まったばっかりですけど。
今日申請予定の相続登記の申請書作成お願いしますね。
私は法務局に行ってきますね。」

ロウ先生「ハハハ。そうだったね。相続登記申請が10件もあるんだった。さぁ仕事頑張るか。」

法律子「あ、そうだ。ランチタイムに請求の趣旨と請求の原因について教えていただけますか。いまいちイメージがわかなくて。」

ロウ先生「お安い御用だよ。じゃあお昼に事務所で。」

(続く)

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