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ホームシェフ。フードサイエンスライター。普段は会社員。 料理と科学の知見から健康と幸せ…

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ホームシェフ。フードサイエンスライター。普段は会社員。 料理と科学の知見から健康と幸せを生み出すための方法を考察・発信していきます。 サークル 黒こ48の料理・執筆担当 twitterの個人アカウントはこちら https://twitter.com/yochiida_cs

最近の記事

脂身の多い肉・魚を低温調理する時の注意点

低温調理は私が度々推奨している調理法なのですが、 (きになる方は過去記事をご参照ください) 注意すべき点がいくつかあります。 そのうちのひとつをご紹介。 それが 「脂身の多い肉・魚ほど調理時間が長くなる」 ことです。 この原因は 「油(脂)は水よりも熱が伝わりにくい(=熱伝導率が低い)ため、中心温度が調理温度と同じになるまでに時間がかかる」からです。 例えば同じ魚(厚み6センチとする)であっても 白身魚のように脂身の比較的少ないものは 55℃であれば約6時間でパスチャラ

    • 食材の保存方法まとめ〜その1〜

      食材の保存方法については 料理をする方は誰もが頭を悩ますところかと思います。 食材を保存する際に気をつけることは 主に次の2つです。 ⑴ 保存温度 →食材に適した温度で保存する ⑵ エチレンガス →野菜、フルーツは自らエチレンガスを発生する、あるいはエチレンガスによって熟成が進む これらのファクターを元に食材の管理場所、管理温度を決めると良いです。 今回はエチレンガスによって熟成が進むものを少しピックアップします。 (基本的には熟成するまで室温保存して、熟成したら冷蔵

      • 主婦と料理男子の料理の違い

        以前から少し考えていたことを書き記したいと思います。 それは 「主婦と料理男子では料理の時間に対する捉え方が違うのではないか?」 という点です。 *どちらも料理好きであると仮定して述べています では、どういう捉え方か結論を先に述べてしまうと 主婦→「調理開始から食事終了(皿洗い)」までを全て料理の時間と捉える 料理男子→「各プロセスの調理開始から調理終了」までをそれぞれの料理の時間と捉える と考えられるのではないかと思うのです。 これだけではピンとこない方がほとんどかと

        • お寿司に学ぶ食べ方に対する意識

          読者の皆様はゴールデンウィークをどのようにお過ごしでしょうか。 私は地元富山に帰省しております。 富山といえば魚 魚といえばお寿司 ということでお寿司食べに行ってきました。 ※今回写真を撮り忘れたので以前撮ったものを掲載しております 今回お寿司を食べたときに思ったのは 料理を提供する側が料理を食べる人の食べやすさ・食感・見た目などを配慮するように 料理を食べる側も料理を提供してくれた人の意図を汲み取って食べることが重要なのではないかと感じました。 なので、お寿司を例に

        脂身の多い肉・魚を低温調理する時の注意点

          習慣化に必要なこと〜ダイエット・料理・食事法〜

          先日、私の兄から 「16時間絶食試したらお腹の調子が良くなってきた」 という嬉しい報告がありました。 (16時間絶食についてご存知ない方は ぜひ以前の記事(腸内環境に優しい食事のススメ)をご参照ください。 ちなみに専門的には「リーンゲインズ」と呼ばれています。) もともと朝ごはんを積極的に摂取するタイプではなかったこともあり、 本人としては比較的取り入れやすかったのだろうと思います。 逆にかつての私のようにがっつり食べるタイプだと空腹に耐えるのが 辛くなる可能性は高くなるで

          習慣化に必要なこと〜ダイエット・料理・食事法〜

          手を使って食べることの意義を考察してみた

          ふと感じたことを書き連ねてみます。 最近、サンドイッチ作りにハマっている私ですが、 サンドイッチは大抵の場合、「手」を使って食べますよね。 (チーズやベシャメルソースたっぷりのクロックムッシュのように明らかに手が汚れるものは別として) 日本人はもともと「手で食べる」文化が発達しているという訳ではないですが、なんとなく「サンドイッチは手を使って食べると美味しい」と感じるような気がします。 実際、ガストロフィジクス分野の研究でも 「五感をできるだけ(心地よく)刺激する方が料理

          手を使って食べることの意義を考察してみた

          良いパン屋を見つけるポイント

          私が現在住んでいるつくば市は グルメな方ならおそらく有名?な「パン屋激戦区」でもあります。 実際、「つくば市 パン屋」で検索すると つくば駅を中心に車で20分程度の範囲に ザッと20件以上のパン屋が出てきます。 昨日、つくば市のパン屋を三軒巡ってみました。 以前からもパン屋巡りというのは つくば市含め、たびたびするのですが、 実際に食べなくても 「良いパン屋を見つける方法」があるのではないかと 思ったのでここに記します。 (試食すればいいじゃないか、とも言われそうですが、試

          良いパン屋を見つけるポイント

          サンドイッチ作りから学ぶバターの特徴

          最近、サンドイッチ作りにハマって何種類か作ってみたりしておりました。 チーズ+トマト+レタス ツナサンド きんぴら などなど多種多様に渡ります。 作るたびに「サンドイッチ奥深いなあ」と感じます。 考慮しなくてはいけない要素が非常に多い。 食感、食べやすさ、塩味と油分のバランス、風味・・・ これらはもちろん他の料理でも考慮することですが、 サンドイッチはシンプルゆえにダイレクトに味に影響すると 思いました。 また、同じ食材でも乗せる「順番」で味が変わるのは 本当に面白いなと

          サンドイッチ作りから学ぶバターの特徴

          脳はメシテロに反応しやすいようにできてるよ、という話

          前回、 「飯テロは精神を疲弊させる上に肥満にもなっちゃうよ、というお話」 という記事でもメシテロに関する内容を紹介させていただきました。 (まだ見てないよという方は一度リンクを辿って見ていただけると幸いです。) 今回さらに関連論文をリサーチしてみてわかったことを 読者の皆様と共有したいと思います。 (1) 脳は「高エネルギー食品」に反応しやすいようにできている こちらは2011年の論文(Harrar et al.)から。 実験内容としては 食品や道具の写真イメージの組み

          脳はメシテロに反応しやすいようにできてるよ、という話

          料理本から著者のコンセプトを読み解く〜料理本レビュー第一弾〜

          私自身、料理本はたびたび購入するのですが、 当然どの本にも個性があります。 特に大型本(日本だと4000円以上するような本)が 好きでついつい購入して読んでいます。 私が料理本を読み解く中で意識しているのは 「著者が大事にしている基本概念・基本コンセプト」です。 細かなテクニックを参考にすることはありますが、 レシピ自体を求めて買うことはあまりしてません。 というのも、私が知りたいのはレシピではなく、 「色んな料理で使える基本コンセプト・基本技術」だからです。 (かなり科

          料理本から著者のコンセプトを読み解く〜料理本レビュー第一弾〜

          腸内環境に優しい食事のススメ〜体調・メンタルに不安を抱える方へ〜

          最近、 体調がずっと良くない アレルギー・花粉症がひどい メンタルが不安定だと感じる(イライラしやすい) こういった悩みを抱えていらっしゃる方も多いことでしょう。 これらの症状は「これが原因だ!」と はっきり言えるものがなく、 自覚しにくいということがあります。 実際に環境面、生活面、心理面からの 様々な要因があるというのは事実でしょう。 ですが、実は 腸内環境に優しい食事を心がけるだけで この症状が緩和・改善する可能性が高いことはご存知でしょうか? 私自身、もともとア

          腸内環境に優しい食事のススメ〜体調・メンタルに不安を抱える方へ〜

          Modernist的食品添加物

          「食品添加物」というワードは かなり毛嫌いされている節がありますが、 外で調理された食品にはたいていの場合 何かしら入っているものです。 「アミノ酸等」 「乳化剤」 「安定化剤」 ・・・挙げればキリがありませんね(笑) では、その全てが体に悪いものなのかというと そういう訳でもありません。 例として、キサンタンガムやグァーガムは ケチャップなどによく使われる増粘剤ですが、 体への悪影響はないだろうという結果が出ております。 (多量摂取で悪影響が出るという結果はあるのですが

          Modernist的食品添加物

          トリュフオイルを使ってみて〜香りに関する考察〜

          先日、塩水で茹でたジャガイモに トリュフオイルを使用してみました。 その結果・・・ 匂いがキツくて食べるのがイヤになってくる ということがありました。 使用したトリュフオイルが 濃縮タイプだったのでなおさらだったのですが、 これは「オリーブオイルに少し垂らして 希釈させてから使う」のが妥当かなと思いました。 (普段から使用される方はどういう使い方をしているのか気になる所ですね・・・) 私自身、トリュフに限らず「主張の強い香り」が基本的に得意ではありません。 特に「香料」

          トリュフオイルを使ってみて〜香りに関する考察〜

          食材・料理における「価格」というバイアス

          読者の皆様は 食材を購入する際、あるいは外食でメニューを選ぶ際に 「価格」をどれくらい気にしていらっしゃるでしょうか? とにかく「安い」ものが欲しい ちょっと値段は高くても「良い」ものが欲しい 安すぎず高すぎずの間くらいが良い 様々かと思います。 ではもう一つ質問です。 ご自身の「適正な価格」の見極めにどのくらい自信がありますか? この質問に自信があるとハッキリ言える方ほど この記事は役に立つでしょう。 もちろん、自信がない方も買い物をする際に頭の片隅においておくと 損

          食材・料理における「価格」というバイアス

          「音」で美味しさは変化する〜味覚と聴覚〜

          読者の皆様は食事をする時に「音」を気にしたことはありますか? 多分、普段から意識していらっしゃる方は多くないだろうと思います。 私自身、味覚に影響を与える「音」の力を知るまで、ほとんど意識したことはありませんでした。(せいぜい、周囲の雑音が大きいと「気になるなあ」と感じるくらい) 実は私たちが普段何気なく聴いている「音」には「味覚」を変化させる力があるのです。 まず、食事をする時に聞く「音」には大きく分けて2種類あります。 ⑴ 食材から発せられる音   (ポテトチップス

          「音」で美味しさは変化する〜味覚と聴覚〜

          匂いで私たちの行動は左右されている? 〜匂いと行動の結びつき〜

          ガストロフィジクスの分野が確立される(2015年くらい)以前から 匂いと人間の行動の繋がり(相関性)はかなり研究されてきました。 その中で日頃の生活・食事に役立ちそうな情報をここでピックアップしたいなと思います。 (参考; Sensation: The new science of physical intelligence, Thalma Lobel) ① 甘い匂い(ex. バニラ)、ラベンダー、パン、コーヒー、シナモンの香り   (一般に心地よいとされる香り全般)   

          匂いで私たちの行動は左右されている? 〜匂いと行動の結びつき〜