織姫様を追いかけて
2019年7月7日
下北沢ろくでもない夜でのぽてさらちゃん単独ライブから1か月。
競馬は「七夕賞」「プロキオンステークス」に沸く中、再び東京へ。
ちょっと…競馬垢でしょ淀ちゃん…
いえいえここでは「玖躬琉(くくる)」です。淀ちゃんは競馬広報で忙しいのでw
東京都港区六本木 EXtheater:「Mudiaグランプリファイナル2019」
全国600以上のバンドやアーティストがこの頂点を目指し、ファン投票獲得数によって勝ち上がったのは7組。グランプリ受賞者には賞金100万円。その他各賞では音楽事務所のバックアップや大規模フェスへの出演権など。夢への近道が待っています。
その中のぽてさらちゃんは関西B地区代表として出演しました。私も微力ながら応援と、「自分の目で見届けたい」という想いから会場へ。ライブにはカメラやモニターの絶縁体がない分、そこに映らない熱気や臨場感が味わえることを知っているからです。
その他当サイトでのYouTubeコンテンツ打ち合わせなども予定していたので(詳細は「競馬とオンガク(YouTube)」にて後日掲載)18:00に会場へ到着。全てを見ることが出来ませんでしたが、そこから他のアーティストのライブも拝見。さすがファイナリストだけあってそれぞれのカラーを持ち、そこまで培ってきた集大成を全力でぶつけてきます。それに応えるファンも同様。ここに行きつくまでの軌跡を共有している分、熱が入った声援と精一杯振り上げる腕、色とりどりのライトが天の川のように降り注ぎます。
下北沢でお会いした熱狂的ポテサラー(ファンのことね)、ぽてさらちゃんをキャラクター起用したブログ漫画家「マンモスジャパン」さんのお世話係Nさんも含め、出番を待ちます。そして
ひとりだよーー
唯一
ギター一本弾き語りでの出演。
後ろには黒マジックで書かれた熊のイラストが消えかけている、ぽてさらちゃんの感情を全て共有した相棒のギターが静かに見守ります。
周りでは
「ええ…ひとりじゃん」
「パジャマじゃん」
ひそひそと聞こえていた会場側。
そこでいきなり始まった「セーラームーン」OPと「連続バク転」※画像は「MUDIA」でご覧ください。
そして壇上を飛び降りて直接配るビラ。ポスターじゃなくて、ビラね。
※のちに「フライヤー」という言葉を知りました…失礼。
チケット受付場所で受け取る袋には、来場者限定1万5千ポイント分の「金パス」と呼ばれるコード№入りの投票券と、当日出演するアーティスト達のライブ告知のポスターがぎっしりと詰められていました。
立派。お金かかってる。メジャーと変わらないクオリティ。
ぽてさらちゃんはニートな上にお家には猫ちゃん達。
「動物園」をギター一本と物販で養うぽてさらちゃんには、そんなお金もバックアップもありません。
いつもコンビニのコピー機で縦横を間違えながら、コツコツと手描きで作られる「ビラ」。
この中にはありませんでした。
その代わり
限られた枚数を確実に、一瞬でも目を通してもらえるように
一人一人に声をかけながら手渡す姿に、改めて彼女の凄さを感じました。
いつも通りなんです。
路上でも、ライブハウスでも、居酒屋でもこうして直接ビラを配ります。
そしてこの大舞台でも。
私なら、こんな大舞台でやれるなら、なんか変わったことやりたくなるような気がするけど。
割り当てられた貴重な時間を削っても、彼女はいつも通りでした。
突然手渡された方々は驚きと笑顔で受け取ってくださった。会場の雰囲気は笑いと楽しさに塗り替えられていきます。
そう、彼女はこうしてリアルにお会いできる方々に「魔法」をかけます。
普段、ミュージカルやダンスイベントにも参加してる身体能力を活かし、軽々と壇上に戻って相棒を肩に掛け、スタンバイ。
そして残りの時間、彼女は出せるものも出したし、言いたいことも言ったそうです。本人もそう言っていたので、違いないでしょう。
それは私を含め会場のポテサラーやその他のファンにも伝わったはずです。
私は、ちょっと泣きました。そこもいつも通り。
セミファイナルの時に訴えていたことを彼女はここでも話していました。
「2票目をください。それを背負う覚悟が私にはあります。」
このコンテストでは、「来場者用金パスの1万5千ポイントのうち、1万ポイントと5千ポイントは別のアーティストの投票する」というルールがあります。ほとんどの方は1万ポイントを応援アーティストに投票しますが、問題は2票目。
「応援アーティストに投票できないなら、どこでもいいや」と、そのアーティストを見もせず、「捨てる」ように5千ポイントを投票する心理。
この心理状態でいる来場者に、ぽてさらちゃんは媚びます。
見方によっては卑しい行為かもしれません。
でも、そうまでしてもここにたどり着きたい理由を彼女は明確にしています。
「そこに夢があるから捨てないで。私は止まらない事を決めました。」
このコンテストで勝ち上がるのに必要なのは、投票数。それがルールだから。
ファンは応援アーティストに投票するためにログインも課金もする。その課金代を稼ぐために少しでも何かを我慢し、時間も削る。
そして捧げてくれたそのポイントを少しでも無駄にしないためにアーティストは全力でパフォーマンスします。
このファイナルで彼女に圧倒的に足りないものは「知名度」と「業界的バックアップ」ポスターさえ作れない。
それでも応援してくれるファンが望んでいることを叶えたい。
自力では立つことが出来ない舞台に立ちたい。
少しでも沢山の人に知ってもらいたい。
そのためには1ポイントでも相手に勝たねばなりません。そしてのし上がらなければならない。
来場者にとって「捧げる」ポイントも「捨てる」ポイントも、闘うアーティスト達にとっては同じ「ポイント」。
その「捨てる」ポイントを「拾い上げる」力を彼女は持っている。
戦略ではなく、それが彼女という「人間」なのだと思うのです。でもそれは画面では伝えきれない。
配信ライブではマイクから離れれば当然その声は消えてしまう。それが分かっていても彼女にはマイクから離れ、人間に平等な24時間のうちの一部を使って足を運んでくれたすべての来場者のために、マイクという絶縁体を跳ねのけて、その声に感謝と勝ちたい気持ちを乗せて届けます。
ここも、いつも通り。
私は彼女のそんなところが大好きで、ファンになりました。
見た目とかじゃなくて、自分がなりたい姿に向かい、要領が悪いのも自覚しながら、守るべきものを守るために。
ボロボロだけど ボロボロだからこそ
やっぱりこれしか 見つからなくて
「すき」を「きらい」になるのは
やっぱり 悲しいから
ここに全てがあるような。
投票数獲得での結果は4位でした。
そして
8月10日と11日、CONBEX岡山で行われる西日本最大級のフェス「MUSIC TRIBE 2019」の出演権を獲得しました。(下の写真は2018年のもの)
ねえ
さすがにパジャマはまずくないか…ぽてさらちゃん(笑)
せめて穴のあいたズボンは替えよう。うん。よかったら大須でも行って買って来ようか?(笑)
出演アーティストは錚々たるメンバー。ファンキー加藤さんやET-KINGなど。一線級のメジャーアーティストと肩を並べる事ができます。
この舞台に立つことが出来たのは
あなたの止まらない事を決めた気持ち、授かった声としなやかな身体、それに魅了されるポテサラー達が、会場や画面の向こう側から投票したポイントと
捨てられるはずだった2票目を入れてくれた、ファンではない来場者の期待。
覚悟して背負え。ぽてさらちゃん。
そして止まるな。
またステージという名の天の川で会いましょう。年に・・・もう2回会ってるけどな(笑)
また「おかえり」が言えるように、旅費稼ぐよ。
私も
もう止まらない事を決めたから。
(織姫様を追いかけて-Fin-)
読んでいただきありがとうございました。これをご縁に、あなたのところへも逢いに行きたいです。導かれるように。