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「顧客ロイヤルティ」と「従業員エンゲージメント」

CS(顧客満足)やES(従業員満足)という考え方が定着し20年以上が経過したといわれています。

本来、このCSやESは顧客や従業員の望みを満たすことを目的とするのではなく、「企業の持続的発展(長期的利益確保)」を実現するためのものであったはずが、実際は多くの企業が現状肯定のための手段として認識し定着しているように思います。

「満足」とは「心にかなって不平不満のないこと。心が満ち足りること」を意味しますが、精神的充実状態に達した顧客や労働者が生み出す一般的な行動原理は「そこから離脱しない」という「安住」であって、本来目的とすべき購買頻度・単価の向上、顧客拡大や応募者増加迄には至らないことがほとんどです。

これを打開するために必要と言われているのが「満足の差別化」です。

「満足状態」を目的とするのではなく、「満足状態の差別化」を目的とすることで、「差別化された満足常態(めちゃくちゃ満足)」がリピートやクチコミという行動(情動)を引き起こし、「企業の持続的発展(長期的利益確保)」に繋がるという仕組みです。

この「めちゃくちゃ満足」状態を図るための指標として有名なのが顧客ロイヤルティ<NPS(R)>や従業員エンゲージメント<eNPS(SM)>と呼ばれるものです。

計算方法はとてもシンプルで、「あなたはこの商品(会社)を親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか?0~10点で点数を付けてください。」という質問に対し、0~6点を付けた人を「批判者」、7・8点を付けた人を「中立者」、9・10点を付けた人を「推奨者」と分類します。

そして、「推奨者の割合」-「批判者の割合」を差し引いた値が当該企業のNPS(R)<eNPS(SM)>スコアという事になります。

このNPS(R)<eNPS(SM)>を利用した人材の「活躍と定着」の測定指標の開発、さらには「活躍と定着」を強化する科学的な人材採用・育成スキームの構築に着手している先進的な企業もあるようです。

人手不足、雇用流動化の未来に向けて、もし皆様の会社の従業員満足が安住型で定着してしまっているとするならば、その目指すべく「満足度」にそろそろ「差別意識」を復活させる必要があるのではないでしょうか。


〔三浦 裕樹〕

Ⓒ Yodogawa Labor Management Society


社会保険労務士法人 淀川労務協会




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