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手足口病に罹患した従業員への労務対応

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西日本を中心に手足口病が大流行しており、当社の社員も子供から感染しました。
自宅待機を命ずる必要はありますか?その場合、休業手当を支払う必要はありますか?

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手足口病は3~5日程度の潜伏期間を経て口腔粘膜、手掌、足底や足背など
の四肢末端に2~3mm程度の水泡が現れる感染症です。初期症状としては発熱やのどの痛みであり、稀に40度以上の高熱が出ることもあるようです。

患者の9割以上が6歳以下の小児で、またその半数が1歳以下の乳児ですが、こどもを経由して親に感染することもよくあります。

まず感染症と休業手当支払いの関係は以下のとおりです。

イ)健康診断の受診勧告や入院勧告を受けた労働者を休業させる場合(感染症法第45条・46条) 
→ 支払い義務なし

ロ)国等の要請する措置によって感染の疑いがある労働者を休業させる場合
や、伝播確認地域から帰国した労働者を10日間自宅待機させ休業を命じる場合
→ 原則、支払い義務なし(但し、伝播確認地域への渡航延期勧告発令後に使用者が当該地域への出張を命じた場合はあり)

ハ)上記該当しない場合であって、事業主の自主的な判断で休業させる場合
→ 支払い義務あり

手足口病は感染症法に従えば季節性インフルエンザ(鳥インフルエンザや新型インフルエンザを除く)と同様に「五類感染症」に分類されるため、これを原因に休業を命じた場合には上記 ハ)に該当し休業手当(平均賃金の6割以上)の支払い義務があります。

次に休業を命ずるべきかどうかですが、インフルエンザ同様に鼻水や唾液などの分泌物によって感染し飛沫感染もおこるため、周囲の労働者は「出来れば休んでもらいたい」と考えるのが自然ではないでしょうか?

周囲に配慮する気持ちはとても大事ですから、同僚が同じ病気に罹患した場合に自分はどう感じるかを良く考えて頂き、まずは労働者の自主的な休暇(有給休暇)取得に期待し、どうしてもそれが難しい場合には休業命令(休業手当の支払い)を考える必要があるでしょう。


〔三浦 裕樹〕

Ⓒ Yodogawa Labor Management Society


社会保険労務士法人 淀川労務協会



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