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無断欠勤と懲戒解雇

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連続無断欠勤により懲戒解雇が認められるためにはどのくらいの日数が必要でしょうか?

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懲戒処分が認められるためには、懲戒処分の根拠となる規定があり、①客観的合理的理由を備え、②社会通念上相当であると認められる場合に限り有効とされます。

まず、客観的合理的理由については、

1)使用者の責めに帰さない理由による欠勤であるか
2)労働者に欠勤しない選択の自由があるのにあえて行った企業秩序乱す行為であるか

という観点から、実態判断されます。

次に、社会通念上の相当性についてですが、連続無断欠勤が何日に達すれば懲戒解雇が社会通念上相当とされるか明確な基準がある訳ではなく、以下から総合的に判断されることになります。

①欠勤の回数・期間・程度、正当な理由の有無
②業務への支障の有無・程度
③使用者からの注意・指導・教育の状況、使用者側の管理体制
④改善の見込み、反省の度合い
⑤過去の非行歴、勤務成績
⑥先例の存否、同種事例に対する処分との均衡

判例等から考えれば正当な理由がない連続無断欠勤が14日に到達した時点で懲戒解雇処分の可能性がみえては来ますが、「大学教員が3月14日~4月13日までの連続無断欠勤につき懲戒解雇事由に該当するとしながらも大学の業務に支障を来さなかった等の事情を考慮して無断欠勤のみでの懲戒解雇は権利濫用」と判断したケースもあり、慎重な判断が必要です。

特に連続欠勤に精神的不調が伺われる事案にあっては特に注意が必要で、精神的不調と連続欠勤は表裏一体にありますから「会社への連絡が難しい精神状態にあった」として無断欠勤がやむを得ないものと判断される可能性が高まります。(※懲戒処分後に適応障害等の医学的診断を受けて懲戒処分無効を主張されるリスクもありますので確認する必要があります。)

更にその精神的不調の原因に業務との関連性(長時間労働やパワハラ、過剰な業務ストレス等)が少しでも伺えるのであれば懲戒解雇は極めて困難となります。

以上のように単純に連続欠勤日数だけで判断されるのではなく様々な事情を鑑みて慎重に判断するようにして下さい。

(※連続無断欠勤による退職にあっては懲戒解雇によらず「退職事由到来による退職」という手続きをもってこれを行うことがありますが、ここではご説明は省略させて頂きます。)

〔三浦 裕樹〕

Ⓒ Yodogawa Labor Management Society


社会保険労務士法人 淀川労務協会



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