図書館で文学ゲーム体験レポ

図書館、めちゃめちゃいろんな人が来る

江戸川区立東部図書館が「名作小説をボードゲームで楽しむ〜文学ゲーム全集」というイベントを企画。我々ゲームづくり道場生が制作した文学ゲームを遊んでもらいました。

視聴覚室に卓がたくさん。

やー、図書館でやると多様な人が来るものですねー。家族連れや、喜寿(77歳)を迎えた女性など、いろんな層の方が遊びに来てくれていました。

図書館も、アナログゲームも、いろんな人が楽しめる懐の深さは共通してるなーと実感。

犬と人とのコミュニケーションのズレの面白さ

ゲームは6作。
「羅生門」(原作:芥川龍之介「羅生門」)
「人魚ろうそく」(原作:小川未明「赤い蝋燭と人魚」)
「わんわんかるた」(原作:太宰治「畜犬談」)
「名人伝」(原作:中島敦「名人伝」)
「無情ダブル」(原作:ヴィクトル・ユーゴー「レ・ミゼラブル」)
「尼寺へ行け!」(原作:W・シェイクスピア「ハムレット)

私が作ったのは「わんわんかるた」(3~5人用)。

太宰治の「畜犬談」は、主人公の作家が犬へのツンデレを発動させて、妄想をふくらませる短編です。出てくる子犬の可愛らしさと、素直じゃない作家の歪みっぷりが楽しい。

青空文庫で読めます


犬が嫌いだ嫌いだと罵りながら、子犬に懐かれてしまう作家。
結局拾って、ポチと名付けて飼うのに、愛してないと言い張る作家。

作品に横溢する「犬と人とのコミュニケーションのズレの面白さ」をうまくゲーム化できないかなあと試行錯誤して作りました。

わんわんかるたはこんなゲーム

読み札と取り札は同じ絵です。

読み手は犬の鳴き声とジェスチャー(ただし手は使っちゃダメ)で、読み札の絵の内容を伝えます。
取り手は「これかな……?」と思ったものを取ります。
読み手はどんどん交換していって、最初に取り札を5枚取った人が勝ち。

チューニングの面白さ

はじめは「こんなの無理」「どうしたらいいんだ」とみなさんとまどうのですが、だんだんと「あ、この人はこれを伝えたいときはこう演じるんだな」と、相手のことがわかってきて、ラジオのチューニングが合うみたいに通じ合います。

「通じる瞬間が訪れること」「チューニングの面白さ」が、このゲームのキモだなあと、やっていて感じました。

私の母親よりうんと年上の女性が「わんわん」鳴いて、それをすぐにわかってすいすい取っていく女性がいたんですね。ああ、やっぱり母娘だと通じ合うんだなあーと勝手に思っていたのですが、知り合いでもなんでもない赤の他人だとあとでわかってびっくり。

発想力と戦略

いただいた感想は、ほかに、

「花火になった犬など、不思議な絵もあることで、どう表現するか発想力も試されるところが面白い

「似たような絵があるなか、どう演じ分けて伝えるかで、戦略が必要なところがいい

「犬のモノマネだけじゃなくて、この絵の状況をどう伝えるかに発想を切り替えたら広がった」

などなど。

私自身、「そう来たかー!」と、みなさんの発想力に驚いたりしました。

「わんわんかるた」を作るさい、ジェスチャーをどこまでOKにするか悩んでいたのですが、「手を使っちゃダメ」にしたことで、絶妙な難易度になりました。

たくさんの人に楽しんでもらえてうれしかったです。
アンケートで、いちばん楽しかったゲームに「わんわんかるた」を挙げてくださった方もいたそうです。ありがたやー!

ボードゲームへの理解が深い図書館

江戸川区立東部図書館は、「<大人のための>はじめてのボードゲーム倶楽部」を月1回(次回は6月2日(日))開催するなど、ボードゲームへの理解が深い図書館です。
楽しい機会をありがとうございました。

ゲーム文学全集とは

ゲーム作家の米光一成さんが、「有名文学作品をモチーフにして、ゲームをつくってみようじゃないか。そして、作ったゲームをずらーっと並べて『文学ゲーム全集』を!」と企画して、ゲームづくり道場を開催。そこで15作のゲームが生まれました。

ゲームマーケット2019春(←コミケのアナログゲーム版みたいなイベント)で頒布します。

2019年5月25日(土) 10時~17時、東京ビッグサイト(青海展示棟)のM33-34のスペースです。
取り置き予約こちらで受け付けています。

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