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説得力の問題です。

性善説と性悪説があって、どちらが本当なのか知らない。
世の中には、根っからの善人や、心の隅から隅まで悪という人もいるかもしれない。
ひとりの人間の中に生まれつき、あるいは人生を経る中で、善性と悪性が育っていくのかもしれない。
自分の中でも結論は出ないし、また出さなくてもよいと思っている。

例えば医療のことを考えてみたとして、果たして医療人には善人が多いのかそうでもないのか、人によって意見の分かれるところだろう。
しかし少なくとも、医療の信頼性を語る時、特に不信感を抱いていたり、そこまでではなくとも漠然とした不安を感じている人に話をする時は、性悪説に立って話をした方がいい。
たとえ、医療の現場で働いている人々が、打算的で利己的で善をなしていると言えなくとも、制度や文化や規律によってそれら個人の行動が抑制可能であり、現実として医療は患者にとって良い方向に働くのだと説明する方が有効だと思う。

これは何も医療に限った話ではなく、学術関係者の研究不正や、政治、経済、家族、いろいろな場面に当てはまると思っている。
働いているのは善人だと信じる人の耳元で、わざわざ性悪説にのっとった説明をしなくてもいいが、自分とは反対の立ち位置にいて、こちらの善意や誠意に疑いを抱いている人にも話を聞いてほしいのならば、こちらが一歩、向こうに近づく必要がある。
良い悪いの問題ではなく、効率と実効性の点でそう思う。

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