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英語の発音についてのうすい感想 2(母音編 1)

先週の子音編に続き、英語の発音を。
子音編はこちら

今回は、母音についての個人的な覚え書きを書いてみたいと思う。
母音は、ネイティヴの間でもかなりバリエーションがあって、どれが正解というものはない。
例えば、"hot"の"o"の発音は、 / ɑ / 、 / ɒ / 、 / ɔ /の3種類ある(もうひとつ増えて4種類かもしれない)。
最近の潮流としては、アメリカでは / ɑ /が、イギリスでは / ɒ /が使われている。
いちばん日本語の「オ」に近い / ɔ /は使われなくなる傾向にあるらしい。

さらに私自身は、アメリカ式とイギリス式の両方を中途半端に勉強してしまったせいで、一部ごちゃ混ぜになっている。
子音の時は発音記号を載せずアルファベットで書いたが、これは発音記号と使うアルファベットがだいたい一対一で対応していたからで、母音はそうはいかない。
周囲のアルファベットによって大体の法則があることは学校でも習うが、そのあたりは今日は触れない。
発音記号と音との関係についてのみ考える。
どのように並べれば良いのか迷うので、あいうえお順でいこうと思う。

まずは、「ア」「オ」
/æ/ /ʌ/ /a/ /ɑ/ /ɒ/ /ɔ/
いきなり「ア」と「オ」を混ぜて紹介しているが、それは上記の例のように使用例が連続的だからだ。

/æ/ (fan, gas)
まず、鼻音である。鼻に掛けて出さないといまいち感じがでない。ドナルドダックの鳴き声を真似ると練習しやすい。
口の形としては文字通りaとeを足した音だ。aとeの中間ではない、足した音だ。まずは口を「エ」の形にして、そこから口を縦に開ける。
「エ」の時点で、口が横にそこそこ開いているが、そこからさらに縦に広げる。
ここで「ア」の音の要素が出てくる。
大事なのは、横に開いたまま、縦にも開くことだ。
だから、大口を開けることになる。
下の位置は、最初に「エ」のときの場所でよい。
この状態で声を鼻にかけて出す。
ちなみに、大口を開けるのに若干、時間がかかるため、最初は/e/の音がする。
「ェア (/e//æ/)」のような感じだ。

/ʌ/ (come, luck)
車のギアでいうのならば、「ニュートラル」。
口と舌の筋肉を緩めた、自然な位置で声を出すと、「するどいア」と形容されるこの音になる。
力が抜けた状態では口が半開きくらいで、あまり開いていない。
ここで音を出すと、比較的狭い空間を息が取り抜けていくので、するどい音になる。
強いていうのなら舌の位置は、力を抜いた状態からやや持ち上げる。
舌の前半分が、上にも下にも歯にも当たらないようにする。
アニメ作品の予約録画をしていないことに直前で気がついて、完全に素の状態で、「あっ」と言ったときの音。
驚きの感情が入る「あ!」は、しばしば口が大きく開くので例としてはふさわしくないように思う。

/a/
日本語の「ア」。イギリス系列の英語で出てくる。アメリカでは使われないと思う。
母音の発音は、イギリス英語のほうが日本人にとって圧倒的に楽だ。

/ɑ/ (hot)
大きく縦に口を開けて「ア」と言う。
ごく当たり前のことだが、日本語の「ア」の舌の位置は、下の前だ。
舌が前に来るのが、「イ」「エ」「ア」で、後ろが「ウ」「オ」。
前に来るもののうち、「イ」は舌の位置がいちばん高く、「ア」が低い。
日本語の「ア」に近いと書いてあったらそれは、舌の位置が下の前であるという意味だ。
話は少しそれるが、口を縦に開けるとき動いているのは下顎だけだ。
上顎は頭蓋骨と接着しているため動かない。
口を開けるというのは、下顎を押し下げる(根元の蝶番の部分を中心にして)ということで結構めんどうな動きだと思う。
だから、口の開き具合と舌の位置を連動させたほうが楽だ。
下顎を下げて口を縦に大きく開けるときは、舌も下げる。
下顎を思い切り下げて、舌を下の前の方に持ってくる音がこの/ɑ/の音だ。
ちなみに、アメリカ英語で/æ/と発音されるところが、イギリス英語ではしばしば/ɑ:/になる。
/ɑ:/は実践的には、/ɑ/を長く発音すれば良いのだけれど、かなり明確な鼻音になる。
例としては、 classとかaskとか。
イギリス人が声を鼻にかけながら「クラース」とか「アースク」と発音していると、優雅というかスノッブというか、彼らっぽい感じになる。

/ɒ/ (hot)
イギリス英語の音。/ɑ/との違いは、舌の位置が後ろ、つまりは「オ」と同じような位置にあること。
口を縦に開けて、「オ」と言う。
ちょっと話がややこしいのだが、日本語の「オ」の時、下顎は下がっているが、唇はそんなに開いていない。
だから、「口をやや閉じて発音する」というような記述も可能である。
口を開いているというのは、下顎を下げて、唇も下がっている状態。
口がそんなに開いていない時は、下顎が下がっていないか、下がっているけれど唇がそんなに開いていないかの二択だ。
下顎と口の開き方と舌の位置の話を延々としている理由は、/ɑ/、/ɒ/、/ɔ/の違いを明確にするためで、この次の項目で説明する。

/ɔ/ (hot)
日本語の「オ」に近い。アメリカ英語の話者にとってはおそらく、クラシカルな雰囲気のする音だ。
この音を出す時、下顎は下がっているが、唇は下がらず、舌は下の後ろ。
是非順番に、/ɑ/ → /ɒ/ → /ɔ/ の音を出してみてほしい。
下顎はずっと下がったままで、
/ɑ/ 唇は開いてる、舌の位置は前
/ɒ/ 唇は開いてる、舌の位置は後
/ɔ/ 唇は閉じ気味、舌の位置は後
ということになる。

「ア」と「オ」を説明するだけなのに長くなってしまった。
とりあえず必要なものからというのであれば、/æ/、/ʌ/、/ɑ/の3種類を覚えればなんとかなるのではないかと思う。
続きはまた今度でお願いします。


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