見出し画像

映画「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」

監督:池田暁

〜何十年もの間、川を挟んだ隣町と9時から17時まで規則正しく戦争をしている津平町。真面目に指示通りの戦闘をして暮らす兵士の露木。ある日音楽隊への異動を命じられるが、誰も音楽隊の兵舎も知らない。町では新兵器がやってくる噂が広がる。あらすじ読んだ時はどんな話やねんって思ってましたが、、大変面白かったし学びになりました。

簡単に形容すると"シニカルな反戦映画"ですかね。架空の街で年代も不明じゃけど、いい加減な首長がいて、兵隊は理由も分からず戦って、どんな影響出るか分からん兵器作って、格差や差別があって。これって現実世界で起こってますよね今でも、って皮肉が満載です。

好みだったのは、キャラクターで笑えること。ちゃんと。おそらく見た目でもなんか笑えることを意識したキャスティング。規律正しく表情も乏しい滑稽に見える人々だけど、個人感情があってそれぞれ喜びも悲しみも抱えてるんだってギャップ狙い。表面的な笑いの裏に込められた反戦の意図がある。

鑑賞者のコメントで「ロイ・アンダーソンやジャック・タチのようだ」とか「カウリスマキの構図」とか並んでまして。言いたくなるのは分かるし、褒め言葉なんでしょうけど、先人の手法を紹介するより今作から感じた人間や社会についての感想を書いて、多くの人を映画館にいざないたいですね。風刺の先にある優しい視線を感じましたから。片桐はいりさん演じる定食屋の女将さんの姿に心が動きましたから。

75年以上戦争をしていない国で、戦争を知らない私が見て感じて良かった映画。世界中で見てもらえるといいなあ。@テアトル新宿です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?