仕組みにも技術にも進化の可能性を
【ビジネスモデルの更新について】
ありふれた言葉ですが、ビジネスにおいて、どのようなやり方が今の時代にフィットしているのかを考えることは大切です。
例えば、EVERY DENIMが掲げている「作り手(生産者)を大事にし、その人たちの想いを使い手(消費者)までできるだけダイレクトに届ける」といったミッションは、見方を変えれば多くの業者を敵に回すような、ラディカルな考え方だと思いますし、今の時代まったくといってマジョリティではありません。
大量生産・大量消費の時代が終わり、インターネットがこれだけ普及した今の世の中になっても、相変わらず工場は下請けとして構造が固定され、設備投資にかけるお金もないまま、ずっと変わらずものづくりを続けています。
ジャパンデニムの優位性は続くのか
確かに、旧式織機を使った生地や複雑な加工技術など、日本のデニム職人が世界をリードしている技術は多くあります。その技術を認められ、海外から受注を受けている工場ももちろんあります。
だからといって、工場が大儲けなわけではありません、今の日本の業界構造では、いずれ工場はすべてなくなり、技術も失われるのは目に見えています。
しかも、その技術を新しく、より進化させていくような仕組みが今の構造にはまったくありません。むしろマーケット先行によって誕生した、”ありふれていてつくるのも簡単なジーンズ”たちが工場の職人さんたちの腕を落とすかたちで日々淡々と生産され続けています。
「マーケット主導=世の中が求めている、ジーンズなんだからそれが正義」と言ってしまえばそれで終わりですし、「無意味に手の込んだ商品など誰も欲しがらないよ」と言う人もいるでしょう。
光るところがあるのなら
ぼくは「工場がかわいそうだから助けないと」と言うつもりはまったくありません。ただ、自分がジーンズが好きで、デニムが好きで、日本の技術が素晴らしく他国に誇れる部分があると思っているからこそ、その技術を次世代まで活かしていくにはどうすればよいのか真剣に考えるべきだと思うのです。
その一つの結論としてEVERY DENIMは1stモデルの商品を、クラウドファンディングという方法を使って販売しました。職人さんが仕事の合間を縫ってコツコツと2年間研究開発した商品を、少しでも欲しいと思ってくれる人がいるなら届けたい。という想いからこの形をとることにしたのです。
仕組みにも技術にも進化の可能性を
クラウドファンディングという仕組みを使って「欲しい人のために適切な分だけ」生産された商品は、良い言い方をすればムダがなく希少価値の高いものになりますし、実際手にとってくださった方の数や、反応を直接得ることができます。そういった情報をきちんと職人さんにフィードバックし、また新しいものをつくる原動力やヒントにしてもらえたらと思っています。
モノに溢れてしまった世の中で、消費者の取捨選択だけに焦点が当たりがちですが、欲しいものを欲しい人に届ける仕組みや、欲しいものを作り出す仕組みも、考えないといけないのではないでしょうか。
山脇、毎日。