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令和も心のバリアフリーと言い続けるのか?

心のバリアフリー教育 協力者勉強会

先日、介助で向かった先は、東京の某区にて、10年ぶりに行われるという勉強会だった。

介助の内容は当日、利用者さんと会ってから知ることが大半です。なのでこの日は、前から気になっていた【障害平等研修フォーラム】の内容をたまたま聴くことができました。介助者として、グループワークにも参加。

研修動画を見ながら、気づいたことをディスカッションしていくというもので、以前私が監督した動画にそっくりで驚きました!(しかも知り合いが出演している)

実は、2017年から【社会モデル】をテーマにした、2020年東京オリンピック&パラリンピックの、ボランティア研修動画を制作しています。

車いす編、視覚障害者編、精神障害者編と、この2年間で30パターンほど作ってきて、動画には字幕や音声ガイドをつけています。

研修の内容は、

障害とは「何」?

障害は「どこ」?

というもので、参加した人の意見が様々で面白かった💡


日本と欧米の違い

欧米では一般的に障害を【ディスアビリティ/Disability】(能力障害)と呼びます。

稀に【インぺアメント/Impairment】(機能障害)とも呼びますが、こちらは【医学モデル】に基づいた日本的な感じです。 例えば自己紹介のとき、「私は障害が1級の脳性麻痺です」とか。

欧米では障害は2通りあり、そのほとんどが、環境とのやりとりで上手くいかず何か妨げになるディスアビリティのことらしいです。おそらく一人の人間としての個が尊重されており、障害者だからといって、健常者よりも下に見られることが極めて少ないのだろう。

また、障害を持つ人、障害と共に生きている人という意味合いで、People with disabilityesや、単にSpecialと呼ぶ場合もあるそうです。私の場合、香港の友達と話したときは、障害者のことをHandicapと言っていました。来年の東京パラリンピックでは、どんな風に呼ばれたり表記されるのか興味があります。

そんな言葉の意味を考えれば考えるほど、日本は【医学モデル】を脱し、【社会モデル】へ移行するべきだと思うのですが、この社会モデルの「社会」が漠然としていて浸透していないのが現状です。

私もオリパラのボランティア研修動画の依頼を受ける2016年までは、社会モデルを知りませんでした。そして社会モデルという言葉が未だにあまり好きではありません。ごめんなさいね、誰が言い出したのか知りませんが、何でも社会のせいにするのはどうかと思う。いや、それを社会と呼ぶのかどうか最近では微妙な気がしています。

それは何故かというと、こういう研修、勉強会、シンポジウムを今までいくつも参加して感じたのは、例えば短期的な目標はどこに定められているのか不明すぎるからです。

見た目で分かりやすい車いすユーザー向けには、徐々にバリアフリー化されてきているかもしれません。例えば段差をなくそうとか、駅にもっとエレベーターを設置しよう等。しかし視覚や聴覚、精神に関しては、研修のときにはみんなで理解したつもりでも、街や行き交う人々に反映されていない、という意見がとても多いです。

【合理的な配慮】とは?

【障害者差別解消法】とは?

言葉と研修だけが先走って、何も改善されないことに当事者たちから心配の声が挙がっています。研修をしたことに満足してはならない。大切なのは、その先の行動である。

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当事者団体の狭間で

話がまとまらない理由に、視覚障害者の気持ちになって考える【アイマスク体験】や普段より目線を低くしてバリアを感じる【車いす体験】を否定する意見もあって、当事者団体の間にも溝があるように感じています。

研修も後半になり、最終的にまとめの時間になると、当事者の自己満足で意味がないと当事者が当事者を否定するという結末もあります。

まずはこの溝を埋めないと、その先に何を生もうとしているのか?

分けるわけではないんだけれど、障害者が障害者を理解せず、健常者に何を伝えようというのか?

このときの勉強会の後半は、話を聴いていて不快に感じ、発言しようかと手を挙げかけました。介助者として参加しているので、発言はしませんが、この場で言わせてもらいます。

私は小学生の頃、学校に特別学級があって、知的障害者やダウン症の子と友達になり、そのときは何が障害かなんて分からなかったけど、いや、考えもしなかった。だからみんなで楽しく遊んでいました。一緒にスポーツをしたり、ビックリマンチョコを買いに行ったり! 当時のことを今でもはっきりと覚えていて、大切な大切な思い出です。

記憶を紐解くと、このときの触れ合いが、障害者の方たちと一緒に映画を作る、というスタートラインになっていたのかもしれません。それ以降、学生の頃はよくボランティアもしていたし。(老人ホームのお風呂でおじいちゃんの身体を洗ったり)

あと、高校のとき自主制作アクション映画を撮影中、2階から飛び落ちるシーンで左足を骨折(くるぶしも割れる!!)、さらに靭帯も切り3ヶ月間入院したことがあります。このとき初めて車いすの生活をしました。入院中は抜糸されながらカメラを回したり、まさにカメラを止めるな的患者。

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自宅にて編集中。VHS-Cカメラとテレビデオをビデオ端子で繋ぎ、S-VHSに録画してマスターを作るという超アナログな作業を当時はしていました。アクション映画なので数フレームの調整ができず編集は難航。自宅ではらちが明かないので、熊本NHKに相談したら何と編集室を貸してもらえることに! 日本映画学校入学前だったので、映像編集の知識はゼロでしたが、NHKの機材を使いこなし、映画を完成させました。よっぽど映画が楽しかったんでしょう 笑

そして、退院後は松葉杖で高校に通うのですが、自転車に乗れないのでバスで通学しました。いつもなら気づかなかったバスに乗る際のステップが高いこと!(1996年当時) 普段、何も考えず出来ていたことが急に出来なくなるんです。辛かった。

エスカレーター・エレベーターがない校舎や施設での移動が困難なこと! これは研修で映像を見たり、座学では絶対に気づけないことです。実際、自ら街で車いすや松葉杖で移動したり、生活をすることで会得します。一時的にでも車いすユーザーの気持ちを知れた貴重な経験でした。

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リハビリの先生と

「小学生に車いす体験なんてナンセンス!」と言い放ったそのファシリテーターのことをよく知りませんが、講師次第で、すべてがいい方向にも、そうでない方へも変わるんだと実感しました。

効率よりも大切な、心があたたかくなるものがあるだろうに。人が人に共感して心が動かなかったら、何も生まれない。


まとめ

東京都は【障害者差別解消法】は努力義務ではなく、義務に切り替えた。と言っても、そのこと自体に気づき、改善している人たちがどれだけいるのか?

なぜ街はバリアフリーにならない!?

10年前と比べ、日本の福祉は何が変わったのか? 多少はバリアは低くなったかもしれない。来年、東京でパラリンピックが開催されるから、前よりはパラスポーツを見る機会が増えたけど、、、表面的なことは美化されがちで、本質的なことはどうなのか?

研修を行うのもいいけれど、議論して出した結論が、「時間や予算の問題もあるからできない」ではなく、そんなこと言い訳にしていたら何も始まらないので、短期目標を明確にし、事前に予算とスケジュールの確保をやるべし!

誰がやるのか? どこの団体がやるのか?といった役所や内閣府任せにしないで、動ける人から小さいことでもコツコツと実践していく。誰かが必ずその姿を見ている。かっこいい大人を見た子どもたちは真似をします! その連鎖を広げていかないと。

自分だったら、何ができるかを考えて行動していこう!

何でもいいと思うよ〜👍

① 困ってる人を見かけたら、どうしたらよいのか勇気を出して声をかけてみる。

② 点字ブロックの上に自転車を停めない。

③ ヘルプマークやマタニティマークをつけている人を車内で見かけたら席を譲る。等々...


私の短期目標

問題と疑問はつきません。 だから、私は私にできることをこれからもやり続けます。継続は力なり!

心のバリアフリーという言葉を過去のものにすために、新作映画を撮ります。そんな時代もあったよね、と後に回想できるようになればいい。 本音は、平成が終わるときに、心のバリアフリーは卒業しておくべきことだった。

私は私らしく、映画という魔法で、新世界を切り拓きます✨

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過去のブログ参照 3選!!!

「アベプラを見て、障害者をネタに笑ってはいけないのか!?」2019年4月6日

「ジャパンタクシー」2018年3月29日

「K・B・F!」2013年11月15日(KBFとは心のバリアフリーの略)


noteには、障害者や介助、心のバリアフリーのことや、映画製作についても書いていきますので、ご支援をいただけますと助かります。

短編映画『上にまいります』『千里 翔べ』のブルーレイを現在制作中です。しかし資金が足りていません。 noteでのサポートは映画の製作費に直結いたします! 何卒よろしくお願い申し上げます。


短編映画『上にまいります』より、優先エレベーターのシーン


短編映画『千里 翔べ』予告編


スタジオウーニッシュ代表 / 映画監督と介護福祉士 堀河洋平


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