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さぁ、これからだ!

初の上智大学へ行って来ました。

チャイムの音が鳴り響き懐かしい感じです。夕刻、授業が終わりこれからバイトでしょうか? 学生たちが下校しています。

長年の眠りから覚めた世界

さてそんな中、6号館で開催された「映像が伝える、東京1964パラリンピック -当時の躍動感が 今 上智で蘇る-」に参加してきました。 無料でいいのっていうくらいの上映付き講演、学生たちも交え授業のような嬉しいイベントでした。

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まず最初に記録映画『パラリンピック東京大会』の上映なんですが実はこの作品、2015年に障がい者スポーツ協会内でフィルムが発見されたそうです! しかも日本語版と英語版の2バージョンが現存していたとか。日本語版は貸出ができるそうなので観たい方は、NHK厚生文化事業団運営【福祉ビデオライブラリー】にお問い合わせください。

上映前に上智大学名誉教授の師岡文男さんが言った「この作品は今まで人の目に触れず、ずっと眠っていました。今日来た人は初めて目撃する映像ばかりなのではないでしょうか?」そんなことを言われたので、映画監督としてグッと力が入って前のめりで終始鑑賞している自分がいました。泣いたり、笑ったり、うなづいたり、暗闇の中メモをしたり。

45分の全編モノクロの中編。選手宣誓以外は状況音なしのサイレント。ほぼクラシック音楽が流れてナレーションが入ります。途中で坂本九さんの『上を向いて歩こう』が流れ妙に感動してしまいました。時代を感じてしまったというか、1964年からものすごいバトンを私たちは託された気がしました。

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当時のパラリンピックはリハビリテーションの延長という位置づけが強く、社会復帰のためスポーツを行うというものでした。パラリンピック発祥のストーク・マンデビル病院のことも語られ、全世界から代々木に集結する選手たちの映像はかっこよかったです。こんな映像見たことないー!

海外の選手たちが選手村に到着し、庭で人気No1の車椅子バスケの練習をやっています。食堂のお姉さんたちが集まり選手を見ています。すると選手がお姉さんにボールをパスし、お姉さんがシュートします! 何この超がつくほっこり国際友好映像! なんてことないシュチュエーションかもしれませんが、モノクロ16mmのサイレント映像ということもあってか涙が。

それと清掃ボランティアの人たちの姿が美しかった。ナレーションでも言ってましたが「会場にはゴミひとつ落ちていません。」みんな笑顔で楽しそうなんですね。いいなぁ、素敵だなぁ。この映像撮ったキャメラマンえらい!

また私も学生のとき入隊していましたが、ボーイスカウトとガールスカウトのみんなが縁の下の力持ち、という表現もされていました。

初めて見たビリヤードの試合に興味を持ったり、試合後に街に出て買い物をEnjoyしている外国人のアスリートたち、その姿を見ているデパートの店員たち、そしてお別れのときに友情の証として記念品を交換しあったり、若かりし皇太子ご夫婦のお姿も。これは来年の2020年東京パラリンピックに関わる人は観ておかないと!

そんなテンションの上がる映画の枠を超えたエネルギー体的作品。しかもラストカットが手書きの縦書きで「さぁ、これからだ!」ですよ。『ONE PIECE』のドーーーン!並の衝撃。これって昭和から時代を超えて令和へ届いた最大のメッセージではないでしょうか?

そんなラストカットに恥じないようにしなければ。その当時から今はどう変わったのでしょう? 前進した部分もあれば、一歩間違えたら後退する危険性もあると感じます。それはメディアの捉え方だったり、過剰すぎる愛、差別や偏見も一向になくならないし、健常者がよかれと思ってやったことが感動ポルノとして反感をかったり、虐待も未だ行われています。

「さぁ、これからだ!」の一言にボディブローをくらった感じです。北野武監督の『キッズ・リターン』で「まだ何も始まっちゃいねーよ」というセリフがあり思い出しました。

日本の福祉って、制度の問題もあり、ヘルパーは人手不足で、福祉学校の介護科は入学希望者がゼロで閉校になり、なんちゃって偽造バリアフリーも多いし、本気でこれからを考えて行動していかないと、来年のパラリンピックはただのお祭りお金をかけた打ち上げ花火として消え、レガシーがどうのこうのではない危機感も生じてきました。 1964年から渡されたバトン、正々堂々と受け取りましょう。

映画のことで初めて知ったことを書きます。1964年のパラリンピックで製作された作品は全部で6作品。全て民間のもので資金組みが難しく自主映画として作られていたそうです。

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オリンピックの方では市川崑監督作『東京オリンピック』が有名でこれは国民の5人に1人は観たという『千と千尋の神隠し』並みのメガムービーです。ちなみに制作費は3億5千万年ほど。ではなぜパラリンピックになると資金難に陥るんでしょうか? ←ココ大事

話を戻し、パラリンピックの記録映画は全部で6本ですが、そのうち悲しいことに3本は消滅しているか紛失してもう観ることはできないそうです。 私がこの日観たのが、NHK厚生文化事業団が手がけた『パラリンピック東京大会』で残り2本は、KADOKAWAが所有している『愛と栄光の祭典』 、そして2011年に発見された箱根療養所と厚生省が製作した『東京パラリンピック』 こちらは10月3日小田原コロナシネマワールドで上映されるそうです。


レジェンドトーク

映画の上映が終わり、登壇者を交えてのトークセッションになりました。パラアーチェリーの上山友裕選手の紹介映像で同郷の女優、芋生悠さんが出演していました。(やっぱり声ですぐ分かる)

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NHK解説委員の竹内哲哉さんは、オリンピックと同様にパラリンピックも試合の中継を行いダイジェストにならないようにしたい。またパラリンピックは障がい者差別を拡大する側面も持っている。それはロンドンパラあたりから感じ障がい者雇用のときなんか「アスリートじゃないの?」と当事者が言われたり、スーパーマンのような輝かしいものがないと同じ障がい者同士でも差があり、時代と逆行する可能性もあると指摘されました。


1964年大会出場者で卓球の金メダリストの竹内昌彦さん(視覚障がい者)は、当時の様子を熱く語ってくださいました。おそらく会場にいた方の大半は感動して泣いていたのではないでしょうか?

当時は障がい者を外に出すようなことはなく、家の奥で隠されていた。しかし、私の家族は外に連れ出しなんでも触らせてくれ、動物園では象にも乗せてもらった。新幹線で東京へ向かうとき家族が見送りに来た。これまで何も言わなかった父が突然大声で「バンザーイ、バンザーイ!」と叫ばれたそうです。このバンザイの意味は、パラの選手として頑張れという激励よりも、この時代に一人の障がい者を立派に大人になるまで育て上げたことに対しての勝利宣言だった。そんなことを思い号泣されたそうです。1964のパラに出場した障がい者の選手たちにはおそらく一人一人にそんな家族のドラマがあっただろうと言われました。この辺りで私の席の前にいらした方は嗚咽。周りでも鼻をすする音がしてきます。

さらに話は続き、1964年パラリンピックのテレビ実況をしてくれました! 当時、野球の解説者として有名だった鈴木、下の名前は忘れましたが(私が)その方の真似をされ約2分に渡り一切かまずリアルで圧倒されました。

「聖火ランナーの○○選手が颯爽と走ってきます。障がい者の希望を背負って走る姿が美しいです!」みたいな感じで、間違っていたらごめんなさい。私の知り合いも見に来ていて、後で聞いたらやっぱり感動して泣かれたそうです。竹内さんは74歳、この実況中継を言い終わった後「まだ認知症じゃないね」と感動から今度は笑いを誘います。会場からは割れんばかりの盛大な拍手が贈られました! これには鳥肌が立ちました。動画で撮影して永久保存するべきです! 後世に残すべき宝です!

最後にオリンピックよりパラリンピックの方が人生に与える影響力が大きいと。1964年のときは、会場が埋め尽くされていなかったそうです。2020年は会場が満席になることを望んでいます。これはメディアの責任もあり、ダイジェスト放送ではなく、オリンピックと同様に平等に放送してと訴えました。


2020年のパラリンピック出場の内定が決まったパラアーチェリーの上山友裕選手は、先ほどの記録映画を観て変わった点は規模の大きさで、オリンピックと今では大差ないと。そして変わらない点は、海外の選手たちと国を越えて繋がり合えること。今ではリハビリという印象よりもスポーツですよね。 なので障害を取っ払ってスポーツとして観戦してほしいとPRされていました。

あと気になることとして、プレ大会に呼ばれ参加したとき、車椅子の導線が配慮されていなかった。私のような障がいであれば何とかなるが、もっと重度な車椅子ユーザーは移動が大変だろうと。おそらく健常者が設計している可能性があり、大会本番がうまく回っていくか心配だという。

この1時間半でたくさんの情報を知れました。主催の上智大学 ソフィア オリンピック・パラリンピック プロジェクトの皆様ありがとうございます。

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これも知られているか分かりませんが、1964年のパラリンピックの閉会式の後、実は【第2部】が開催されていて、車椅子のアスリート以外の方々も交え480名で行ったという記録があるようです。ろうはデフリンピックがあるので元々別れており一緒にはしてこなかったとか、歴史を紐解くと今を生きるヒントがたくさん隠れています。


現在、江戸東京博物館では特別展「江戸のスポーツと東京オリンピック」が展示されていて、個人が8mm Filmで記録したオリンピックの映像が上映されたりしているそうです。今度、利用者さんと行ってみよう♿️


受付でもらったホーム転落をなくす会のポストカード

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長くなりましたが読んでいただきありがとうございます。みんなで協力して、素晴らしい東京パラリンピックにしていきましょう。


私のブログにも以前パラリンピックについて書きました。(2017.12.24)

「東京でパラリンピック?」



さぁ、これからだっ!!!



スタジオウーニッシュ代表
映画監督と介護福祉士 堀河洋平


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